核燃料物質等危険物運搬警備業務検定2級とは?試験内容や取得するメリットについて解説!

警備業は施設内の犯罪や災害防止などにあたる「第一号警備」、道路工事現場・駐車場・イベント会場などで安全のために車や人を誘導する「第二号警備」、高価な金品や核物質などの特赦な危険物を運搬警護する「第三号警備」、有名人や財界要人などの身を守るボディーガード役の「第四号警備」の4つに区分されます。

今回は、運搬警備業務とも呼ばれる第三号警備の中でも最も特殊である「核物質などの運搬」に注目し、業務に関わる重要な資格「核燃料物質等危険物運搬警備業務検定2級」について詳しく説明致します。

核燃料物質等危険物運搬警備業務検定2級とは

「核燃料物質等危険物運搬警備業務検定2級」とは、原子力事業などで重要な燃料となるウランや、それに準ずる危険物質を運搬するために必要な資格です。また、2級という言葉でわかるように、更に上の資格である1級があります。

「核燃料物質等危険物運搬警備業務検定1級」は、2級を取得してから1年間業務にあたることが必要とされており、2級は1級への登竜門と位置付けられている資格でもあります。

核燃料物質等危険物運搬警備業務検定2級取得のメリット

核燃料などの危険物質を運搬するには、「核燃料物質等危険物運搬警備業務検定2級」以上の資格者を運搬車両に1名以上配置することと法律で定められています。

そのため、核燃料物質等危険物運搬警備業務は有資格者がいないとできない仕事であり、有資格者がいない警備会社では運搬作業を引き受けられません。

作業にあたるもの全てに資格が必要なわけではありませんが、運搬には最低でも2級以上の有資格者を一人は同伴させる必要があるのです。

つまり、「核燃料物質等危険物運搬警備業務検定2級」を取得することで、核燃料などを運搬できる資格が得られるとともに、会社に有資格者がいない場合には新たに「核燃料物質等危険物運搬警備業務」をする資格を取得できると理解できます。

ですから、2級の資格取得は自分の警備業務をレベルアップするとともに、会社では受注できる仕事の種類が増えるという大きなメリットがあるため、資格取得後には会社で優遇措置を受けることも多い有効な資格です。

核燃料物質等危険物運搬警備業務検定2級を取得する2つの方法

「核燃料物質等危険物運搬警備業務検定2級」の資格を取得するには、公安委員会が実施する試験に合格するか、国家公安委員会の登録を受けた事業所が開催する講習会を受講し、最後に行われる終了考査に合格する2つの方法があります。

講習会による資格取得とは
各都道府県の警備業協会および一般社団法人警備員特別講習事業センターで行われる2級の講習は、誰でも受講することが可能です。ただし、現役の警備員は講習期間が2日間(警備会社からの受講申請が必要)で、これから警備員になろうと考えている方は講習期間が6日間と講習の期間に違いがあります。

また、講習後の終了考査と聞くと、誰でも受かるイメージを持つ人も多いかもしれませんが、終了考査の合格率は約63.8%となっており、講習後の試験としては簡単すぎるものではありません。

その後の業務のためにもきちんと講習をうけて、知識と作業の要領および重要な注意事項などを頭と身体でしっかりと覚えるようにしましょう。

核燃料物質等危険物運搬警備業務検定2級試験について

講習を受けるには講習中は拘束されることもあり、「核燃料物質等危険物運搬警備業務検定2級」の資格を取得する方法として、公安委員会が行う直接試験を受験する方法もあります。以下に詳しく受験の方法を説明致します。

受験資格

年齢や学歴等の制限なし

受験費用

16,000円

試験内容

学科
①警備業務に関する基本的な事項(10点)

②法令に関すること(20点)

③核燃料物質等危険物質に関すること(10点)

④車両による伴走および周囲の見張りに関すること(25点)

⑤核燃料物質等危険物運搬に係る盗難等の事故が発生した場合における応急措置に関すること(35点)

実技
①車両による伴走および周囲の見張りに関すること(40点)

②核燃料物質等危険物運搬に係る盗難等の事故が発生した場合における応急措置に関すること(60点)

かっこ内の点数は本試験における配点になります。どこに重点をおいて勉強すればよいかが分かりますので、ぜひ参考にしてください。

また、各項目の詳しい内容については、募集要項や警視庁のホームページ(手続き→警備業から)でご覧いただけますので、ぜひご活用されることをおすすめします。(※試験の内容および配点は、講習後の終了考査と同じものになります)

2級の合格率は講習を受けた方が圧倒的に高い

核燃料物質等危険物運搬警備業務検定2級の合格率は都道府県によって異なります。また、講習を受けて終了考査での合格率と、直接試験での合格率にも大きな開きがあることも事実です。

講習を受けたあとの終了考査の合格率は63.8%で、再試験による合格率は62.7%となっています。実は講習の場合には終了考査で合格できなかったとしても再試験を受けることができ、合格すれば資格を取得することができます。

63.08を除く26.92%の人が再試験を受けることができ、再試験受験者のうち62.7%が合格したということは、全体で80%以上の受講者が合格したと計算できます。

なお、再試験は不合格の発表後に決められた場所で2時間の講習を受けてから再試験を受けることになり、これにも不合格となれば最初からやり直しです。

一方の直接試験での合格率は、地域によって受験者数が大きく異なるなどの理由から確かな数字は公表されてはいませんが、講習合格率の半分にあたる40%以下といわれています。

講習では合格者の発表が終了考査の約1ヶ月後となっているため、学科と実技の両方を受けられますが、直接試験では学科の合格者のみが別の日に実技の試験を受けられることになります。

直接試験では、学科で合格できなければ練習した実技を披露することもかなわないまま試験は終わってしまいます。合格点は学科も実技も100点満点中90点となっており、初めて受験するには非常にむずかしい試験といえるでしょう。

しかし、講習会では学科の要点を教えてくれながら、実技は終了考査と同じ形式で練習させてくれるため、受講費用は33,000円程度(再試験は約13,200円・購入代含む)と安くはありませんが、試験合格には非常に有効です。受講費用も教材費や実技の講習などを考えれば、高くはない金額といえます。

直接試験に備えて独学で勉強するのも良いですが、始めて学習する事柄も多いうえに一般販売されている教材は多くありません。

実技についても一人で勉強して本番で本領を発揮するのは非常に難しいことですので、講習を受けてから受験することは合格者になる近道といえるでしょう。

ただし、他の警備講習は頻繁に行われているものも多くありますが、核燃料物質等危険物運搬警備業務検定の講習については、受講希望者が少ないせいか、コロナなどの影響もあり、一時中断としている場所もあるようです。

募集人員も20名程度と少ないため、早めに地元の公安員会に問い合わせて申し込まないと間に合わなくなりますので注意しましょう。

では、難度の高い直接試験を合格するための方法ですが、身近に核燃料物質等危険物運搬警備業務検定の合格者がいるのであれば、遠慮せずに合格の秘訣や勉強方法を聞くことです。

実際に直接試験を受ける人も、すでに核燃料物質等危険物運搬警備に従事されている方が多く、大手の警備会社では先輩から教材をもらい実技指導も受けている人が殆どのようです。

また、実技における護身術や規律訓練などは、他の警備検定と共通することが多いので、別の資格を持っている方に指導を仰ぐことも良い方法といえます。

難しい試験だからこそチャレンジする

どんなに難しい試験であっても、問題集などを何度も繰り返していると出題の傾向などが見えてくるものです。難しそうだからと敬遠せずに、メリットの大きな資格には、ぜひチャレンジしてみましょう。

1度で合格しなければいけないといこともありません。合格してしまえば、一発合格の人も5回目で合格した人も同じ立場です。難しそうだからと最初からあきらめることはせず、一度や二度不合格になっても簡単に挫折しないで、2級合格後の一級取得までを視野に入れて資格取得を目指しましょう。

(画像は写真AC、ぱくたそより)

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