はじめに
立哨業務と座哨業務、いずれも施設警備の際に主に行われる業務内容ですが、いずれもわかりにくいと思います。「立哨=りっしょう」、「座哨=ざしょう」とよみます。今回は、立哨と座哨の違い、それぞれの仕事のメリットデメリットについて、詳細に説明します。
立哨警備とは?
立哨業務とは、警備業務の中のオフィスビルの入り口や商業施設など定まった場所の安全と安心を守る業務のことを指します。そして、立哨とは立った姿勢で施設内へ不審者や不穏な車両などが入ることがないように見張りを行う業務をさします。よく、門番として神社やお寺でも目にしたことがある方が多いと思います。
注意点としては、大使館の前の見張りは警察官となっていますので、警備員とは異なります。基本的には、定位置に立ったまま監視を行い、異常があれば速やかに警察や施設管理者への連絡連携を行います。また、商業施設内においては、警備員が立哨業務を行っていることで、万引きや窃盗への抑止力となっています。
警備員は、警察官とは異なり、不審な行動をしている人物を発見しても、捜査や逮捕を行う事はできません。しかし、警備員が見ていることで万引きなどの発生率を下げることができているということは、それだけ警備員の制服と立哨業務における勤務態度が、緊急時、異常時に備えて警戒している姿勢を示している効果が現れていると言ってもよいでしょう。
座哨業務とは?
座哨とは、立哨業務が立ったまま業務を行う事と異なり、座って周辺に異常やトラブルがないかどうか監視作業を行うことを指します。不審者や不審物がないかどうか確認を行う点において、立哨業務と座哨業務は、同じ役割を果たしています。
通常は、お客様出入り口付近に立哨業務にて行い、商業施設・放送局等の従業員通り口において座哨業務にて管理が行われているケースが多くなっています。関係者向けの出入り口となりますので、不審者の侵入抑止という監視の面と受付の面を併せ持った役割を持っています。
立哨業務のメリットは?
立哨業務にはどのようなメリットがあるのでしょうか?まずは常に立ったまま業務を行っていますので、不審者や不審な車の発見や侵入を見つけた際に素早く移動することができます。警備員は捜査や逮捕ができません。また、強制的に人や車の移動を規制する法律上の指示を行うこともできません。
そのため、できるだけ素早く先回りして、侵入しないように協力を仰がなければなりません。警備員における警備業務の一番の役割はトラブルの未然防止なのです。立哨業務を行っている警備員としても、常に立ったまま業務を行う事で、緊張感を持って業務に当たることができ、目の前の人や車の動きに集中すす事ができ、また昼食後の眠気などの防止にもなります。
続いて、立哨業務を行っている警備員の姿を見せることで。万引きや盗難の抑止効果があるからです。しっかりとした身だしなみをした警備員が鋭い視線で見張りを行っている事で、万引きなどを行おうとする人が見つかったら大変なことになると警戒をして、盗難する思いをとどまる効果が大いにあります。
立哨業務のデメリット
立哨業務のデメリットは、やはり体力面負担が大きくなる点があがります。もし、ショッピングモールや百貨店の入り口に立っている警備員が、片方の足に体重をかけて休んだ姿勢や、だらしなく立っていたらどう思うでしょうか?おそらく、その百貨店での犯罪率は高くなってしまうでしょう。
それほど、万引き犯や窃盗団は警備員の姿を見ています。警備員は常に姿勢をただして、鋭い眼光で入場する人を監視しなければなりません。実は立ったままの姿勢は、走ったり、歩いたりするよりも足にかかる負担は大きくなります。それは、足が地面についている時間がそれだけ長くなるからです。
足への疲れ方は、立ち姿>歩き>走るとも言われています。立ち仕事での仕事は、立哨業務に関わらず、それだけ立ったままの姿勢は足に負担をかけるのです。警備員はそれを直立不動で長時間行うといった忍耐力も必要となります。
座哨業務のメリット
座哨業務を行うメリットは、立哨業務と比較して、人とコミュニケーションをとる機会が多くなるケースが増えます。その理由としては、座哨業務は受付業務を兼ねている面が多く、受付を通る際に従業員との挨拶、施設のかぎの受け渡し、落とし物の問い合わせや管理、通用時間外のイレギュラーの入退館対応などが発生するからです。
例えば、オフィスビルの開館時間が夜9時までのところ、テナントの従業員が忘れ物などで9時以降に来館した場合、警備員へその旨伝えて、安全確保のため一緒に、テナントまで向かうといったケースも考えられます。また、テナントのマスターキーを誤って持ち帰った従業員がいた場合には管理人の方に相談の上、スペアキーでの施錠をお願いしたりする場合もあります。
このように、座哨警備の対象は主に従業員やテナントの関係者であり、話をすることが楽しい、対人のコミュニケーション能力を高めたいと考えている方には適切な業務といえます。また、立哨業務と比較して、体力を使う場面は少なくなります。座りながらの警備のため集中力は必要ですが、体力面での負担は少ないため、体力に自信がない人や比較的高齢者の方に向いている業務ともいえます。
座哨業務のデメリット
座哨業務のデメリットとしては、基本ずっと座ったままの業務となります。そのため、腰痛やお尻への負担が大きくなります。特に、腰痛を抱えている方にとっては、巡回業務や立哨業務よりも大変つらい状況となる可能性もあります。また、長時間着座をした状態のままで集中力を保たなければなりません。昼職の後や、睡眠が不足していたりすると睡魔が襲ってくる可能性があります。
立哨業務においては立ったままであるため、少々の睡魔が襲ってきても、立ち続けることで眠気をさますことができますが、着座の状態であれば、眠気をまぎらわすことも非常に難しくなります。警備員には自分を律する力が立哨業務以上に必要になってきます。また、来訪者や業務がない場合の座哨業務中は非常に時間が長く感じてしまうようになります。そのため、集中力を切らしてしまい、私用をおこなってしまい警備員をクビとなってしまうケースも発生しています。
一般的に、立哨業務よりも座哨業務の方が楽というイメージを持つ方も多いですが、忍耐力、集中力といった点ではむしろ座哨業務の方がきつい一面がある点には注意が必要です。また、座哨業務は館内の受付業務も兼ねている場合もあるため、24時間業務となっているケースが多くなっています。深夜の時間帯には、限られた人員の中、不審者の侵入を警戒しなければならないため、危険な状況となる場合もあるため、チーム内のメンバーとの連携をしっかりと行って業務に当たる必要があります。
まとめ
立哨業務と座哨業務、いずれにもメリットとデメリットが存在します。体力面に自信のある方は立哨を、体力面に自信のない方は座哨を選択される場合が多くなります。警備会社によっては、立哨業務と座哨業務、それと巡回警備業務をローテーションしてシフト配置している会社もありますので。応募時に警備会社へ確認してみることも大切です。立哨業務、座哨業務いずれも犯罪や盗難の防止のために集中力が必要な業務となりますので、その点を意識した応募が必要です。
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