警備会社と警備先の関係は?請負契約の注意点について解説

警備会社は依頼者であるクライアントと契約をして警備にあたりますが、その契約とはどのようなものであり、警備会社と警備員、警備先との関係はどのようになっているのか、詳しく解説いたします。

とくに間違いやすい、委託契約と請負契約についても分かりやすく説明しますので、ぜひ最後までお読み下さい。

目次

警備会社と警備先の契約関係とは

警備会社は必ずしも警備先と契約を結ぶ訳ではなく、あくまで依頼者であるクライアントと契約して業務を遂行します。

例えば、スーパーなどの大型商業施設などで万引きなどの犯罪防止に警備をすることになったとしますが、この場合にはスーパーなどと直接に契約するのではなく、その親会社である大元がクライアントになります。

ですから、スーパーの為に警備をしているのは間違いありませんが、契約相手に親会社(スーパー自体が親会社であることもあります)などがある場合には、そこと契約を結んでいるため、スーパーの店員さんなどから、警備とは関係のないことを依頼されたとしても、それに従う義務はありません。

警備員は、あくまで警備会社より指示されたことを全うすることが警備業務であり、近くで暇そうにしているからといって、まるでスーパーの人の下で働いているようにすることはないのです。

実際には女性が重いものなどを持っていると、少し手伝ってあげようなどとしてしまいますが、厳密にいうと、これは警備業ではないので手伝う必要はなく、間違って怪我をしたとしても労災として認められないこともあるので注意しましょう。

とくに北国では冬場に雪が降ることもあり、除雪などを手伝うことも多いかもしれませんが、警備会社と依頼主のあいだで、詳しく話をしていなければ、本当に事故にあったときには手伝い損ということになってしまうので注意してください。

請負契約とは

一般に良く使われる用語に「業務委託」という言葉がありますが、実は法律上ではこうした契約は存在せず「請負契約」と「委任/準委任契約(俗にいう委託契約)」という表現が正確であり、外注契約は大きくこの2つに分かれます。

この2つの契約の違いを良く理解されている方は少ないと思われますが、大きな違いは業務に対して成果を求めるのが請負契約であり、成果を求めずに与えられた業務をこなして対価をもらう契約が委託契約と覚えるのが最も簡単です。

警備業のことはおいておき別の業務で分かりやすく説明すれば、事務作業などで頼まれた作業を決められた時間だけ働くことで対価を貰えるのが委託契約です。

それに対し、依頼された成果物を渡すことによって同時に対価を受けられるのが請負契約であり、成果物にあとで不具合がおきた場合には責任を負うことも辞せません。

委託契約では現場から指示を受けることもありますが、請負契約では請負会社から指示を受けて業務にあたることになり、現場から指示を受けても従う必要はありません。

ただし、委託契約や派遣などでは現場が指示を出せますが、作業についての指導を行う必要があります。請負契約の場合には、依頼したら成果物が届くまで待つだけで良く、細かい作業方法などを教える必要がなく、それぞれにメリットとデメリットが存在します。

また、請負契約は成果を目的とするのであれば、業務をまた委託することができ、警備会社から警備員が委託されているという考え方もできます。

下請けとか孫請け会社という言葉も聞いたことがあると思いますが、それぞれに契約を結んで成果物を提供し報酬を受けとることに変わりはありません。

自社では仕事を受けるものの自社で作業は行わずに下請け会社に仕事をさせて成果物を受け取り、また上の請負契約をしている会社に成果物を提供して契約が終了するかたちも多くあります。

では本題の警備契約についてですが、警備業は特に成果というものが見当たらないため委託契約と思いがちですが、実は請負契約の場合が殆どです。

では何が成果かといえば、何も問題も起きないことが成果であり、警備員がいたおかげで犯罪や災害が防げたという理解になります。ですから、警備員がいるにもかかわらず事件がおきてしまったり災害を広範囲に広げてしまったりすれば、その責任は重大であり、責任を追及されることも避けられません。

警備員と警備先の関係は

警備会社と警備先の関係については、施設などにより非常に複雑になっていることも多く一概には言えません。

たとえば、施設自体の運営を母体となる会社が委託していることも多く、警備先の会社にいつ方々も委託された会社の社員ということも多くあります。われわれ警備員は、施設の所有者である依頼主から請負契約を結ぶことが殆どであり、委託契約をしている警備先の社員の方々と同じ立場にあるといえます。

請負契約自体が契約を依頼するものと受けるものが対等の立場であるとされており、そこと契約をしている警備会社と受託会社も対等の立場でありながら、全く別の契約を結んでいるので、事実上は全くの他人と考えることもできます。

しかし現実では同じ場所で働いているうえに、有事の際には協力して施設や人命を守るように連携することもあり、とくに長期で働く場合には簡単に割り切れないこともあるのが実状です。

同じ職場でお互いに長く楽しく働くためにも、多少の融通をきかせることは必要ですが、度を超してなあなあで作業にあたっていると、思わぬところで契約の違いが表面にあらわれ、お互いに嫌な思いをすることにもなるので、ほどほどの距離をとってお付き合いしていくのが最良の方法だと考えます。

また、経営母体となる企業は、複数の業務を複数の業者に委託することもあり、逆に自社本体が運営している場合もあります。

どちらにしても、請負契約で警備をしているならば、あくまで依頼者と請負会社は対等であり、自分が勤めている会社の指示通りにきちんと作業をして安全を維持できれば、お互いの関係は対等であり引け目を感じることも顔色をうかがうこともありません。

警備会社と警備員の指揮命令関係

警備会社はプロの人材を投入することで依頼者の負担を軽減することができる請負契約が一般的なのは先述の通りです。ですから、警備員への指揮命令は警備会社が警備員にするものであり、依頼者や施設で働く人たちが警備員に指示することは筋違いといえます。

ただし、警備に関する事項であれば、なるべく臨機応変に対応し、事後報告にて会社に連絡する方法をとった方がよいでしょう。

もし警備契約が委託契約であるとすれば、警備員は施設の社員などより受けた指示に従う必要があります。

施設警備などでは、上司があまり現場に来ない場合も多く、どうしても施設の人から指示を受けるようになってしまいがちですが、本来の契約とは違ったことをしていることになるので注意した方がいいでしょう。

契約を良く理解して正しい働き方を!

警備員は警備契約を見ることもなく作業をすることが多く、どんな契約で誰の指示に従うのが本当なのかも考えることもなく仕事をしている人も多いでしょう。

ただし、契約内容などを良く見て理解しておかないと、万が一ケガをしたりしたときに大きな問題になることがあります。

また、警備員さんは何でもしてくれると勘違いしている人も多いので、毅然とした態度で与えられた職務のみをきちんと実行することに専念してください。

警備先やクライアントとも良好な関係を築きながら、警備業法および雇用契約にのっとって正しい働き方で社会貢献に努めましょう。

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