警備員の業務において最も危険な業務は不審者や不審物への対応です。実際に不審者を目の前にした場合に適切な対応が取れるかどうかは、日頃から業務に対していかに真面目に取り組んでいるかによって変わってきます。
日々の警備をただ時間が過ぎるように業務をしていると少しの違和感に気づくことができません。少しの違和感が大きな事件に繋がるきっかけにもなります。不審者や不審物は一般のお客様へ危害が及ぶ可能性もありますし、早期発見は自分自身の身の安全にもつながります。
今回の記事は不審者や不審物に関する特徴や対処についてまとめましたので、ぜひ最後まで読んでいってください。
警備員が不審者や不審物を発見したときに対応することは?
警備員が不審者や不審物を発見したときにまず行うべきことは「刺激をしない」ことです。そのためには不審者が暴れたりする前に違和感を発見し上司や周りに報告をするべきです。
日頃から警備をして周囲に気を配っていることでほんの少しの違和感を捉えることができます。今回の記事では次の内容について詳しく解説します。
・不審者の特徴
・不審者への対処
・不審物の特徴
・不審物への対処
知っているのと知らないのとでは何か起きたときの危険度が全く違います。しっかり心に留めて日々の警備業務に向き合ってみてください。
不審者の特徴
日常の生活において不審者をみかけるタイミングというのはなかなかありません。施設の巡回警備中は普段の生活よりも気を引き締めて周囲を警戒しているとはいえ、実際に不審者を目の当たりにしたときに、その人物が不審者であることに気づけない可能性もあります。
不審者といわれて思い描くイメージは漫画や映画のような不審者かもしれません。黒ずくめの服装でひげを生やしてサングラスをしているような人物を想像するかもしれません。
ただし実際にはそんな服装をしていたら目立ってしまいます。ましてやアニメに出てくるようなほっかむりをして風呂敷を背負っている人物などはまずいないと思ってよいでしょう。
不審者は実際には一見すると分からない服装で一般のお客様などに紛れています。ただしその行動には特徴が次のような特徴がみられます。
・人の家の敷地を覗きこんでいる
・常に周囲を警戒するようにキョロキョロしている
・下を向いたり顔を背けたりして人に自分の顔を見られないようにしている
・子供だけを興味深くじっくりと見定めている
施設警備をしていると同じ場所を巡回警備することになるかと思いますが、いつもいない人が急に頻繁に現れるようになったり「何か変だな?」という違和感に少しでも気づいたりしたらまずは周りの警備員に相談して情報共有しましょう。
不審車両の特徴
警備対象の施設によっては不審者だけでなく不審な車両にも気をつける必要があります。不審車両の特徴は警備員として覚えておいて損はないため頭の片隅に入れておくとよいでしょう。
不審車両は次のような特徴であることが多いです。
・「わ」もしくは「れ」のナンバープレート
・他県のナンバープレート
・スモークやカーテン、または車内の荷物で車内が外から一切見えない
・運転席にややスモークがかかっており運転手が見えにくい
・法定速度をかなり下回る速度で同じ個所を周回している
このような車両が巡回警備対象の施設内または施設の外で頻繁に見かけるようになったら警戒したほうが良いでしょう。
不審者を発見したときは?
不審者を発見したときに最も気を付けなければいけないのは相手を刺激しないことです。相手に対して高圧的な態度を取ったり、相手を挑発するような発言をしたりしてはいけません。
不審者の感情を逆なでしてしまうと自分自身に危害が及ぶ以上に、その場にいる一般のお客様にも危害が及びます。
不審な行動や挙動をとっている人物を発見した場合はまずは観察をします。そして警備責任者に報告をします。決して一人で対処しようとせずに警備員でチームを組んで対応します。またこの段階で必要であれば警察に通報します。
警備員が不審者を逮捕することは基本的にはできません。逮捕するのは警察の仕事であって、警備員がやるべきことは警察が現場へ来るまでの時間稼ぎです。そのための対処法として護身術を研修で学びます。
護身術も積極的に相手を攻撃するものではなく相手の攻撃から自分自身や身の回りの人を守るための手段です。とにかく不審者を下手に刺激しないように観察をしつつ周りを固めていきます。
ただし現行犯の場合に関してのみ警備員でも不審者を逮捕することができます。警備員はその時々の状況によって対応を柔軟に変える必要があります。普段の警備以外の部分で緊急時に対応をしっかりとできるように身体的にも知識的にも事前の訓練が必要です。
不審物の特徴
不審物も不審者同様に日常的に目にする機会はなかなか無いものです。巡回警備などをしていて「不審物」として認識できるかどうかは経験と勘が重要になってきます。
普段巡回警備をしている時から常に細かいところまで目が行き届いていれば小さな変化にも気づくことができるでしょう。不審者も不審物も普段のトラブルが起きない巡回警備をしっかりと行っている警備員ほど早い段階で気づくことができます。
不審物の主な特徴は次のようなものです。
・不自然な場所に荷物が放置されている
・不必要なほど包装が厳重
・機械音が荷物の内部から聞こえてくる
・液体や粉が付着していたり漏れてたりする
これらの特徴は誰が見ても不審物だと分かりやすい状態となっていることは少なく、気を配っていないと気づくことができません。日本は海外などに比べるとテロ行為などはかなり少ないですが今まで全く無かったわけではありません。歴史に残るようなテロ行為が行われているのも事実です。
巡回警備をしていてそのような現場に遭遇する可能性はあります。普段から置かれている荷物や物の位置など日常に潜む違和感に気づくことができるよう訓練が必要です。
不審物を発見したときは
不審物を発見したときに必ず守らなければいけないのは「さわってはいけない」ことです。
不審物は爆発物や化学剤などがありますが、どの不審物においても見つけた場合に対象のものに触れてはいけません。
警備員がやるべきことは不審物を発見したことを上司へ報告することと必要に応じて警察へ連絡することです。そして周囲の安全を確保するために仲間の警備員と協力して一般人を安全な場所へ誘導します。においをかいだり不審物の場所を移動したりすることはNGです。
不審物の処置は基本的には警察に任せましょう。警察がくるまでは自分自身と周りのお客様の安全を最優先に行動します。自分自身の役割をしっかりと理解し役割の範疇で最大限の仕事を全うすべきです。
まとめ
今回の記事では警備員が不審者や不審物を発見したときの対処方法についてまとめてみました。不審者も不審物も、日ごろの巡回警備などをしっかりと気を抜かずに行っていることが違和感の早期発見につながります。
発見した場合は決して刺激せずによく観察し周りへの報告や必要であれば警察へ通報するなどの対処をとります。
30時間に及ぶ護身術の研修を受けているために力を発揮したくなるところですが警備員の仕事は不審者を倒すことではなく、不審者から自分や一般のお客様を守ることが仕事です。
不審者を刺激して逆なですることが無いように細心の注意を払いながら対処を進めます。不審物に関しても同様に絶対に触れないようにして上司への報告や警察への通報に務めます。
警備員が施設にいること自体が犯罪の抑止につながるためトラブルに遭遇することは多いとは言えません。ただし不審者や不審物の違和感に気づくことができるのは普段から日常的に巡回している警備員に他なりません。
いざトラブルに遭遇したときに適切な対処をとることができるように普段の業務をしっかりと行いつつ訓練も怠らないことが重要です。
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