街中のさまざまな場所で警備員は日々働いています。一度は巡回している警備員を目にした方も多いと思います。オフィスビルやショッピングモールに限らず、商業施設やビルなどで警備を行う業務を施設警備業務といいます。今回は施設警備業務を説明します。
施設警備業務とは?
施設警備業務の説明をする前に、警備業務の全体像を説明します。警備業は主に以下4つに分類されます。
・第1号警備業務
・第2号警備業務
・第3号警備警備業務
・第4号警備業務
第1号警備業務は、ショッピングモールやオフィスビルを始め、学校、病院などさまざまな施設の警備にあたる業務をさします。屋内での業務が基本となっています。また、人が多い場所の警備にあたる場合が多いことも第1号業務の特徴です。
第2号警備業務は、道路工事の現場の交通誘導やコンサート会場などの誘導整理など、主に屋外で車や人の通行整理と警備を行う業務となります。続いて、第3号警備業務は、貴重品や現金などの輸送を主に取り扱う業務です。最後に、第4号警備業務は、いわゆるボディーガードとして、要人の身辺警護にあたる業務となります。
警察庁生活安全局による警備業の統計によると、2021年度において、第1号警備業務を行っている警備会社は全体の66.6%をしめています。第2号警備業務と並んで、日本国内にある約1万社の警備会社の半数以上はこの施設警備の業務を取り扱っています。それほど、私たちにとっては身近な存在となっています。
施設警備業務の業務内容を徹底解説!
施設警備業務を詳しく説明します。施設警備業務として行う業務は、主に以下のとおりです。
・施設への入退場のチェック
・施設へ機材や荷物搬入の車両誘導
・施設内の巡回業務
・施設の営業が終了した後の門の開閉、かぎの施錠確認
・施設内防犯カメラを用いた防災監視
・防火設備の点検
・災害や傷病人発生時の対応
・モニター監視
いずれの業務も、盗難や火災などの問題が発生しないように行う業務のため、施設内の巡回チェックや監視を通じた警備が中心となります。また、商業施設やオフィスビルなどでは、施設内やビル内の案内をお客さまより質問される場合があります。その際には、サービスマインドを持って、お客様に合わせた柔軟な対応が必要となってきます。続いて、巡回警備業務となります。
巡回警備業務は、施設の場所にとどまって警備を行わず、1日に数回定期的にショッピングモールや工場内などを巡回し、異常がないか確認する警備業務となります。巡回中に異常が見受けられた場合には、関連各所への報告と同時に、異常に対して速やかに対処を行う必要があります。警備を行う場所によって、巡回の頻度や時間などは異なります。事前に定めた計画に従い常に緊張感を持ち、警戒心を持って巡回する必要があります。
続いて、保安警備業務となります。保安警備業務は、多くの人が出入りする商業施設や百貨店などで、窃盗や迷惑行為を防ぐことを目的とした警備です。全国万引き犯罪防止機構「第11回全国小売業万引き被害実態調分析報告書」によると、商業施設の売り上げロスのうち、約60%が万引きによる原因といわれています。
それほど、万引きなどの不法行為は、商業施設内の店舗やテナントの収益に大きな営業を与えています。巡回警備業務では、お客さまの安全を守ると同時に不法行為を予防する役割を担っています。
続いて、機械警備業務となります。監視センターで、警備対象施設内に設置されたモニターやセンサーの動作をチェックする業務となります。異常者の侵入や火災などが発生した場合、カメラやセンサーが反応し、監視センターへ通報が入ります。
通報が入ると、警備員が施設の現場へ駆けつけ異常の有無を確認します。監視センターは、24時間運用のため、夜間においても緊張感をもって各センサーからの通報を待機する忍耐力が必要とされています。従来、機械警備はオフィスビルのテナントや配送センターや製造工場といった場所がメインで行ってきましたが、最近では、ホームセキュリティの導入も増加し、家庭への出動の機会も増えています。
空港での警備業務もあります。空港保安警備業務といいます。空港で搭乗手続きの際に、事金属探知機による検査や手荷物検査を受けた方も多いと思います。検査を行っている係員は、空港保安警備業務にあたる警備員です。テロの危険性や危険な機内持ち込み物による爆発など、万が一発生すると多くの人命にかかわります。
そのため、機内手荷物検査では、荷物の中に、爆発物や火薬類、刃物、ガスボンベや発火性のあるものが入っていないかを厳重にチェックし、万が一入っていた場合は回収を行う業務を行っています。
施設警備業務の勤務の体制はどうなっているのか?
施設警備業務の勤務の体制はどのようになっているのか説明します。施設警備業務といっても、オフィスビルから病院や空港までと幅広い場所が警備対象となります。
全ての警備場所ではありませんが、一番警備対象として多いオフィスビルや商業施設を例に説明します。これらの施設は年中無休で稼働しています。例えば、オフィスビルや商業施設にお客さまやテナントの人がいなくても、火災や事故の防止には24時間の監視体制が必要となります。そのため、警備員も24時間常に必要とされます。
警備会社によっては、日勤と夜勤の2交代制で現場を運営する場合は、1日を2つのシフトに分けます。例えば、朝8時〜夜20時までの日勤、夜20時〜翌朝8時までの夜勤といったシフトとなります。それ以外にも、さまざまなパターンがあります。また、1名で24時間勤務する場合もあります。24時間勤務と聞くと過酷なイメージを持たれる方もいるかもしれません。
しかし、実際は、途中で仮眠時間として約5時間、その他合間に休憩をはさみ、実働時間は16時間前後といった勤務時間となります。勤務後は、2日間の休みをはさんで、再度24時間勤務といった流れになる場合が多いです。
常に2連休となるため、プライベートの時間をしっかり確保したい方には向いている勤務形態となります。また、シフトでの勤務となるため、土日祝日が固定の休みをとったことは少なく、平日に休みとなる場合も多くなります。この点も、旅行などは週末は料金が高くなり、人も混んでいる場合が多いので、安く、落ち着いた時間を過ごせます。
日勤と夜勤の交代制の場合であっても、日勤のみの夜勤のみと固定している警備会社もあれば、日勤と夜勤を合わせてシフトを作成している会社もあるため、応募時に詳細事項を確認することをおすすめします。24時間勤務制以外に、8時間制をとっている警備会社もあります。例えば、7時から15時まで、15時から23時、23時から7時までといったパターンでシフトを作成します。
一度に働く勤務時間は、日勤夜勤制や24時間制より短くなりますが、勤務の時間帯が不規則になりやすくなるため、体調管理に注意が必要です。会社のビルから空港や病院、家庭まで、施設警備業務が行われる場所は多岐にわたり、私たちの生活に密着している重要な業務となっています。
まとめ
警備業の市場規模は約3兆円といわれており、今後ますます警備員の需要が予想されています。施設警備業務に関心がある方は、求人サイトでどの警備会社がどの施設を警備しているのか調べてみることをおすすめします。
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