近年は、ホームセキュリティといわれる家庭や地域の安全を守るサービスがひろがりを見せています。ホームセキュリティの中でも、ここ数年、利用者が増えているサービスが緊急通報サービスです。今回は、社会的なニーズが高まっている緊急通報サービスについて詳細に説明します。
緊急通報サービスとは?
緊急通報サービスは、警備業務において第4号警備業務に分類されています。第1号警備業務は、オフィスビルや商業施設内での巡回や監視を行う施設管理業務、第2号警備業務は、工事中の通行の誘導や大規模会場の導線の確保や会場内の誘導、第3号警備業務は、現金や貴重品、危険物などの搬入搬出、輸送警備業務となっています。
第4号警備業務は、ボディーガードのイメージが強い身辺警護業務と緊急通報サービスに分けられます。2021年度、全国の警備会社で、この緊急通報サービスを行っている警備会社の割合は1.6%となっています。第1号警備業務を行っている警備会社の割合が66.6%、第2号警備業務を行っている警備会社の割合が、75.8%となっている事と比較し少ない数となっています。
この違いは、緊急通報サービスを行うためには、警報装置の開発と設置、窓口で問い合わせ対応をおこなうコールセンターの運営といった緊急情報サービス提供にあたり、大きな設備投資が必要となるためだと思われます。このような背景から、大手の警備会社を中心にこのサービスは提供されています。
また、緊急警報サービスは、警備会社だけでなく、都道府県や市町村などでも、主に高齢の方を対象として、同様のサービスの提供が進んできています。その理由は、ご高齢の方で単身者の世帯が現在、増加しており、今後ますます増えてくる事が予測されているからです。
事実、厚生労働省の「国民生活基礎調査」によれば、2019年6月の全国の世帯数は約5,179万件、そのうち65歳以上の人がいる世帯数は約2,558万件となっています。実に全世帯数の49.4%を占めています。そのうち、65歳以上の一人暮らしの世帯数は約737万件あり、今後も増加する見込みとなっています。行政が行う対応は、自宅内における不慮の事故、病状の急変への対処が遅れてしまう可能性が高いため社会全体で対処する考えからとなっています。
緊急通報サービスは、どのようなサービスなのでしょうか?
警備会社と契約をした自宅に、最初、緊急警報装置を設置します。緊急警報装置は、ご高齢の方でも簡単に操作がしやすく作られています。通常、ボタン一つで総合の窓口へ連絡ができるように作られています。万が一、契約者の方が、ご自宅で体調不良や事故にあってしまった場合に、自身で緊急警報装置の緊急ボタンを押すと、警備会社の総合窓口に連絡が入るようになります。
緊急警備装置は、スマートフォンのように通話機能の用途がついています。その機械を通して、警備会社の窓口担当者と話せます。警備会社の担当者は、連絡をいただいたお客さまにとって、最善の対応方法を実施します。例えば、病気の可能性が高い場合は救急車を自宅へ手配するように連携を行います。また、事件や事故の場合は、最寄りの事務所で待機をしている警備員を自宅へ急行するように指示を行います。
また、警備会社によっては、緊急警報装置は、据え置き型だけでなく、常に携帯ができるように小型化されたペンダント型やリストバンド型の通報機器も開発されています。小型化された機器であれば、外出中にも常時携帯することができるため、急病や事件、事故が発生した場合もすみやかな対応が可能となっています。
小型の緊急警報装置は、高齢者だけではなく、幼稚園などの児童安全の維持にも効果的です。近年、犯行の動機が不明瞭な自暴自棄、無差別的な事件も多発しています。日常生活の中、世の中の危険が増加する中、子供の安全も緊急通報サービスも守れます。
緊急通報サービスが役立つ場面
さらに具体的に、緊急通報サービスが役に立つケースを説明します。
・高齢者の自宅
2040年には、65歳以上の世帯の中で約40%が一人暮らしになると予測されています。高齢者が単身で暮らしていく中で、体調の急変や転倒といった自宅内での事故が発生した場合、連絡を行うことができず、すみやかな対応が難しくなります。また、家族がいる高齢者の方も各家族化が進んでおり、遠く離れて暮らしている場合にも非常時の対応は困難となります。
家族が離れて暮らすといった家族環境から発生する初動の遅れの問題は、警備会社による緊急通報サービスを導入することで、防ぐことができます。また、警備会社のサービスによっては、一定期間連絡がなければ警備会社からご自宅へ安否確認の連絡を行い、自宅に設置したセンサーで一定期間お住まいの方の動きが感知されない場合に、警備員がご自宅に出動する体制を整えている警備会社もあります。
また、単なる事故や病気に備えたサービスだけでなく、日常の健康相談や一人暮らしの孤独感を支える精神的なサポートとしての役割も期待されています。メンタル面でのケアサービスの対象もますます増加する可能性が高いと予想されています。
・ストーカー被害者
従来の犯罪は、思想の違いや金銭のトラブルといった犯行にいたる明確な動機がある場合がほとんどでした。しかし、近年、精神的な異常や漠然と社会とした不平不満のはけ口、また無差別テロなど犯行にあたる明確な動機がない場合も増加しています。世の中に不安が広がる中で、女性に対する痴漢やストーカーの被害も発生しています。日常生活を送る中で、万が一このような事件や事故に遭遇した場合、その機器の緊急ボタンを操作すると警備会社への連絡が速やかに行われ出動命令がなされます。
ストーカー脅迫や痴漢被害など、日常生活でトラブルにあわれている方は精神的に追い込まれた状況で毎日を暮らしています。
このような緊急通報サービスを携帯することで、日常生活を安全に過ごせるようになり、精神的な安定に繋がります。
・ペットの首輪
一般社団法人ペットフード協会「2020年全国犬猫飼育実態調査」によると、2020年現在日本国内で犬を飼育している世帯は約680万世帯と言われています。実に日本の全世帯の11.9%になっています。今や、犬やねこを始めとしたペットも家族の大切な一員です。家族同様にいやしの時間を与えてくれ、楽しい時間を過ごす存在となっています。
街を歩いている時に迷子になった「たずね犬」などの張り紙を見ると心が痛くなる方も多いでしょう。家族の一員、ペットにもこの緊急警報装置をつけておくことで、万が一散歩の途中や外出中に迷子になってしまった場合にも、どこにいるのかがすぐにわかるようになります。
なぜなら、首輪につけている緊急警報装置にはGPS機能がついており、どこに機器があるのか警備会社でわかるようになっているからです。ペットはこれからも大切な家族の一員であることは変わらず、今後ますますペットへの利用も増加する可能性があります。
まとめ
緊急通報サービスは、警備の対象が家庭や個人にまで広がりを見せる中で発展してきました。そして、今後より緊急警備サービスは拡大することが予測されています。緊急通報サービスの警備員の求人も継続的に行われています。挑戦したい方は求人サイトで調べてみることをおすすめします。
コメント