はじめに
新任研修が終われば、晴れて警備員として現場デビューとなります。警備員はシフトや勤務地を比較的自由に選べますが、施設警備と交通誘導・雑踏警備では融通のききかたが違います。シフトのパターンについてもあわせて解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
警備員のシフトは融通がきく?
■施設警備のシフトについて
施設警備のシフトはある程度の融通はききますが、交通誘導・雑踏警備にくらべると制限があります。なぜなら、その現場に派遣されているメンバーだけでシフトをやりくりする必要があるからです。
施設警備は24時間365日の現場がほとんどです。決められた人数で現場の警備にあたらなくてはいけません。欠員は契約違反となり、お客様に迷惑がかかります。
そのためメンバー全員が、好き勝手に休むことはできません。メンバー同士で話し合ってシフトを融通し合う必要があります。施設警備のシフトは1ヶ月単位で決められる現場が多いです。
年末年始やお盆休み、ゴールデンウィーク、シルバーウィークなどの大型連休は、休みたい人が重なる傾向があります。不公平にならないようローテーションで休みを取る現場が多いです。
冠婚葬祭や海外旅行、家族との関係などで連休が取りたい場合は、できるかぎり早めに上司に伝えましょう。早めに伝えておけば、上司もメンバーを工面しやすいです。以前その現場にいた人を応援で呼んだり、新人を入れて教育したりもできます。
施設警備は交通誘導・雑踏警備と違い、その現場特有の仕事やルールがあります。たとえば出入管理や巡回点検、施錠・解錠などです。これらを覚える必要があるので、施設警備は一定期間の教育が必要になります。
その現場がはじめての人は、いきなりシフト要員としては組み込まれず、教育要員としてカウントされることが多いです。シフト要員の先輩と一緒に勤務して、その現場のイロハをマンツーマンで学びます。ある程度慣れたらシフト要員としてひとり立ちします。
そのため施設警備は人手が足りないからといって、その現場のことを何も知らない人にスポットで入ってもらうことが難しいです。
■交通誘導・雑踏警備のシフトについて
交通誘導・雑踏警備のシフトは、施設警備より断然融通がききます。なぜなら、所属する警備会社の警備員全員が現場に出られるからです。施設警備のようにメンバーがかぎられていないので、好きな日に休みを取っても交代要員が工面されやすいです。
交通誘導・雑踏警備は施設警備と違い、固定現場でないかぎり現場特有の仕事やルールはありません。車両や歩行者の誘導、片側交互通行、交通規制など、一度覚えてしまえばどこの現場でも通用します。
固定現場ではなく毎回違う現場のほうが多いので、たとえブランクがあっても支障になりません。スポットでも勤務ができるので、多くの警備会社が「シフト自由」を謳って求人募集をしています。シフトは自己申告制で、1週間単位で決められるところが多いです。
■シフトのパターンについて
施設警備のシフトは「日勤」「夜勤」「当務(当直)」の3パターンです。日勤と夜勤が基本ですが、現場によって当務と呼ばれる24時間勤務があります。
一例として次のようなシフトがあります。
【日勤】9:00~18:00(実働8時間・休憩1時間)
【夜勤】18:00~翌9:00(実働10時間・休憩1時間・仮眠4時間)
【当務】9:00~翌9:00(実働16時間・休憩4時間・仮眠4時間)
3パターンをバランス良く組み合わせる場合もあれば、希望によって日勤専属もしくは夜勤専属が可能な場合もあります。当務だけの現場もあります。
フルタイムでの月間勤務日数は以下のとおりです。それぞれ専属を仮定しています。
【日勤】月22~23日程度
【夜勤】月20日程度
【当務】月10~12日程度
土・日・祝日に関係なくシフトがあるので、休みは上司やメンバーと相談して決めることになります。1ヶ月単位で決めるところが多いです。
当務の24時間勤務が終わった日は「明け休み」となり、原則的に連続勤務はありません。そのため月間勤務日数が少なくなっています。勤務時間が長いぶん、休みも長いです。
施設警備は変形労働時間制が適用されるケースが多いです。そのため夜勤や当務で1日8時間以上働いていても、日単位では残業代が出るとはかぎりません。
週単位または月単位、年単位で労働時間を計算し、規定の時間より超過したぶんが残業代として支払われます。規定の時間は以下のとおりです。
【週単位】
・40時間
【月単位】
・28日の月は、160.0時間
・29日の月は、165.7時間
・30日の月は、171.4時間
・31日の月は、177.1時間
【年単位】
・うるう年以外は、2085.7時間
・うるう年は、2091.4時間
交通誘導・雑踏警備のシフトは「日勤」「夜勤」の2パターンです。次のようなシフトが多いです。
【日勤】8:00~17:00(実働8時間・休憩1時間)
【夜勤】20:00~翌5:00(実働8時間・休憩1時間)
土・日・祝日に関係なくシフトがあります。日勤・夜勤2パターンが7日あるので、14パターンから好きなシフトを選べます。1週間単位の自己申告制で決めるところが多いです。
交通誘導は変形労働時間制が適用されません。そのため8時間以上勤務した場合は、残業代が日単位で発生します。
警備員の勤務地は融通がきく?
警備員は人手不足ですが、これは警備会社がたくさんの案件をかかえていることを意味します。それだけ勤務地もたくさんあるので、希望の勤務地を選べる可能性は高いです。
施設警備は一度現場に派遣されると、ずっとそこに常駐するパターンが多いです。面接の段階で希望の勤務地をしっかり伝えておきましょう。
交通誘導・雑踏警備は勤務エリアが広いので、事前に希望エリアや希望沿線を伝えておくと融通してもらえます。近場で働きたい場合は、地域密着型の警備会社を選ぶのも一手です。
どうしても都合が合わない場合は?
シフトや勤務地の都合が合わない場合は、ほかの人にお願いしてもらうしかありません。警備会社はどうしても人手が足りないときは、メンバーに休日出勤(残業)や連続勤務をお願いして乗り切るパターンが多いです。
連続勤務とは「当務→当務」「当務→日勤」「夜勤→当務」「日勤→夜勤→日勤」「夜勤→日勤→夜勤」など連続してシフトに入る勤務のことです。現場によりますが施設警備は仮眠があり、交通誘導・雑踏警備もインターバルがあるので可能になっています。
ただし警備員の負担が大きいので、常態的になるのは望ましくありません。企業には「安全配慮義務」があります。労働者の生命や身体などの安全を確保しつつ労働することができるよう配慮しなければなりません。
人手不足でシフトが厳しくなると離職者が増える原因となり、さらに勤務状況が悪化する可能性が高くなります。シフトや勤務地の都合が合わないのは仕方ありませんが、代替案を出したり出してもらったりすることも大切です。
事前に希望を伝えていなかったのなら、話し合いが必要です。早めに希望を伝えておくことで、会社も対応できる幅が広がります。
まとめ
警備員はシフトや勤務地を比較的自由に選べます。
施設警備は、派遣されているメンバーだけでシフトをやりくりしなければなりません。そのため制限はありますが、希望を早めに伝えることで融通してもらいやすくなります。シフトは1ヶ月単位で決められるところが多いです。勤務地は固定現場が基本なので、面接時にしっかり希望を伝えましょう。
交通誘導・雑踏警備は、警備会社の警備員全員が現場に出られます。そのため施設警備より融通がききやすく、シフトは1週間単位の自己申告制のところが多いです。勤務地は勤務エリアが広いので、事前に希望エリアや希望沿線を伝えることで融通してもらえます。
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