夜警という言葉があるように、警備員は夜間に業務することも多い職業です。夜中であっても定期巡回をすることがあり、睡眠をとるといっても仕事中は2~3時間の仮眠程度になります。
警備員の多くの方が睡眠不足や、眠れても疲れがとれないなどの悩みを抱えているようです。今回は睡眠不足や疲労に悩む警備員の方々のために、疲れがとれる仮眠のとり方などについて紹介いたします。
警備員は睡眠不足になりがち、その理由は
警備員の多くが、睡眠不足に悩まされているようで、その原因には「不規則な勤務体系」と「残業が多い」ことが深く関係しています。
不規則な勤務体系
警備業務は不規則な勤務が多く、とくに施設警備と呼ばれる第一号警備ではその傾向が顕著に見られます。というのは、警備とは一般の職員の方々が帰ったあとや、休日の日に職員の方にかわって施設の管理を行うものであるからです。
そのため、夕方から翌日の朝までの勤務となることが多く、日曜や祭日に施設が稼働しないとなれば、終日の業務となり24時間勤務になることもあたり前の職業です。
また、お正月やお盆にゴールデンウィークなども、施設従業員の方々が大型連休となるため、警備員は代わるがわる24時間の勤務が課せられることもあります。休日も一般企業とは異なり明け勤務を含めて2日くらいまでしか休めないのが現状となっています。
このように朝と夜が逆転したような日々を過ごすことになるため、警備員の方には身体の不調を訴える人も少なくありません。とくに問題といえるのが、不規則な勤務により自律神経に乱れや、拘束された場所で数時間の仮眠しかとれないことの繰り返しによる睡眠障害です。
たとえば3時間の仮眠といっても、すぐに眠ることが出来る人は珍しく、実質は2時間も眠れれば良い方です。また、電話が鳴ったり地震などがおきたりすれば対応にあたる必要があるため、熟睡することは難しく、かえって眠れなくなることも多くなり睡眠不足に陥ってしまいます。
ほかにも夜間警備は二人で巡回業務を行うことも多いため、一緒に勤務する人に気を使うこともあるため、睡眠不足はより深刻なものになっているようです。
残業が多い
施設警備での夜間勤務では、従業員が帰宅する17時から翌日9時頃までの勤務が多く、普通に計算しても16時間という長時間労働になります。法律上では8時間を超えると残業になりますので、非常に残業の多い仕事です。
くわえて土日や祭日などは、社員の方の帰りが早かったり休日をとったりするため、さらに就業時間は長くなります。
施設警備だけでなく、第二警備にあたる道路工事などの交通誘導業務も、夜間に行われることが多く、仕事が一段落しなければ終わらないとか、天候によって作業の進み具合も変わるため急な残業も多く、ストレスを抱えるとともに睡眠不足などの障害になってしまうことが多くあります。
また、残業が多いこと自体が不規則な生活にもつながって悪循環となり、持病などの症状が悪化して警備業をやめる方も少なくありません。
作業はそれほど重労働でなくても、人間らしい規則正しい生活を送らないと、睡眠障害だけでなく精神的に落ち込んでしまうとか、免疫が弱くなって思わぬ病気を患うことも多くあるようです。
疲れが取れる睡眠の方法
警備業の悪いことばかりを語ってしまったようですが、前述のように作業自体は重労働は少なく、定期巡回なども慣れてしまえば真冬の朝の寒さも気持ちのよいものです。
ただし、健康管理をきちんとしないと病気になりがちであるのは事実ですので、自分自身で対処法を考えて管理をしなければ、長く警備業を続けることはできないでしょう。
では、疲れや睡眠不足でお悩みになっている警備員のために、疲れが取れる睡眠の取り方をご紹介します。
寝る前の食事
睡眠不足や自律神経障害では、寝る直前の食事は厳禁であり、ほかの糖尿病などの疾患にも悪影響を与えることはご存知かと思います。
しかし、警備員は交代で勤務することが多いため、食事の時間もとくに決まっていないのが普通で、好きな時間に食事を取れる現場もあれば、交代で食事をする場所もあります。
そのため、毎日同じ時間に障子をすることができず、遅い方では寝る1時間前などに食事を取る人も多くいて、分かっていながらも良くない食生活の習慣をつくりだしています。健康診断などでも注意を受けることがありますが、寝る2時間前までには食事を済ましておくのが健康の秘訣です。
また、夜にお腹が減るかもしれませんが、夜に採る間食もおすすめできないので、ドリンク程度にして翌朝の朝食まで我慢しましょう。
ドリンクといったのは、夜に眠くなることを避けてコーヒーやお茶などを飲む人も多いようですが、これもコーヒーなどに含まれるカフェインが原因で不眠や熟睡できないことにつながり、疲労が蓄積されてしまいます。
ただし、あれもこれもダメということになると、かえってストレスを抱えてしまうので、少し控えるところから始めていきましょう。
寝る姿勢
勤務先や自宅で熟睡するためには、寝る姿勢も重要です。まずは、身体に負担がかからない姿勢をとるようにします。また、呼吸も熟睡にはかかせない条件ですので、布団や毛布にもぐり込んだりすることは深い呼吸を妨げてしまい、身体全体を小さくしてしまいリラックス効果も得られなくなります。
身体も呼吸も頭の中までもリラックスできる姿勢をつくることが、疲れがとれる睡眠の重要な手段といえます。
寝る前のスマホは厳禁
警備員は平均年齢が高い傾向が見られますが、最近では年配の方も殆どの方がスマホを所有されています。スマホ自体に問題はないのですが、スマホから放たれるブルーライトは不眠の原因とされています。
とくに寝る直前にスマホのブルーライトを見ることにより、眠りにつくまでの時間を長くしてしまうことが実証されています。深い眠りにも影響があるため、スマホを寝る前に使うことはやめるようにしましょう。
ブルーライトをカットするフィルムなども販売されていますが、脳を休めるためにも寝る前にスマホは使わないことをおすすめします。
疲れが取れる仮眠の方法
人間の睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があり、90分から120分の間隔で繰り返される仕組みになっています。
レム睡眠とは「rapid eye movement sleep」の頭文字を取って略したもので、直訳すれば分かるように「眼球の急速な運動を伴う睡眠」であり、外見からでは分かりませんが、まぶたの下で眼球が高速で動きながら眠りについているため、浅い眠りとなっています。
これに対するノンレム睡眠は眼球の動きを伴わないため、ゆっくりとリラックスして眠っている状況のことをいい、大きな物音がしたり揺さぶられたりしても簡単に起きることはありません。
リラックスできる姿勢で眠る
上記の説明だけではレム睡眠は悪くノンレス睡眠を取ることが大事だと考えてしまいそうですが、レム睡眠は浅い眠りでありながらも身体の筋肉を緩めて休めてくれるため、疲れをとるためには重要な睡眠です。
眠ってすぐにはレム睡眠から始まりますが、眠れなくても目をつぶっているだけで、レム睡眠のように身体の疲れをとることができますので、眠れないからといって起き上がらずに目をつぶって身体を休ませてください。
また、目をつぶることも大事ですが、寝る姿勢によっても睡眠の質や疲れのとれ方がかわります。自宅のように会社でもゆっくり休める場所で眠ることが理想ですが、仮眠ということで簡易ベッドやイスを並べて寝たりすることも多いと思われます。
中には壁によりかかって寝るとか、イスでそのまま寝る人もいるようですが、できるだけ横になって自宅での睡眠と同じように近づけることが大事です。
イスに腰かけたままで寝たり壁に寄りかかってねたりすると、首の筋肉や腕などに負担がかかり、かえって身体の疲れが溜まってしまうことにもなりかねません。なるべくリラックスできる状態を作るように、クッションや座布団などを使って工夫して身体が休まる寝床をつくりましょう。
仮眠の時間は3時間が目安
一般の人が6~8時間の睡眠をとると仮定すれば、4~5回のサイクルで2つの睡眠が繰り返されます。
睡眠の時間が長くなるにつれて、ノンレム睡眠の時間は短くなるというデーターが残っており、あまり長く睡眠をとることはリラックスした状態のノンレム睡眠が少なくなるため、長く睡眠をとれば余計に熟睡できなくなるということが分かります。
会社で仮眠しかとれないからといって、自宅で長い時間を睡眠にあてようとしても、良い睡眠はできないので、適度な時間だけ眠るのがおすすめです。
通常は最初にレム睡眠がきて、1時間程度でノンレム睡眠に突入しますから、ワンサイクルを取ることを考えると3時間の仮眠が理想です。ただし前述のように、眠れないからといって起き上がらずに、身体を休めるつもりで目をつぶりましょう。
また、眠れないと考えすぎることが眠れないことにつながってしまい悪い循環を引き起こします。そこで、眠れないときは、目をつぶって深呼吸をしましょう。
普段は浅い呼吸となっているため、深い呼吸を意識して繰り返してください。そのうちに眠れないことを忘れてリラックスした状態になり、いつの間にか眠ってしまうこともあります。
まずは、心身共にリラックスするような状態をつくり、眠れなくても目をつぶって身体を休めましょう。
無理に眠ろうとせずにリラックスすることを心がける
レム睡眠は身体を休めるための眠りといわれ、ノンレム睡眠は脳を休めるための睡眠といわれます。両方の眠りを適度にすることで、健康な精神と身体を維持することができます。
良質の眠りを得るには、リラックスして眠れる状況をつくることが大切です。いつも眠れないからと悩んだりあきらめたりせずに、使えるもので工夫して少しでも身体が休まる寝場所を作ってください。
そして、なるべく規則正しい生活に近づけることを心がけ、自宅での生活と大差がないように過ごしましょう。
また、ストレスを抱えすぎるのも眠りの妨げになりますので、一緒に働く同僚たちとも良い人間関係をつくっていくことで本当のリラックスができ、良い睡眠が得られることでしょう。
(画像は写真ACより)
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