警備員を監督する立場!警備員指導教育責任者ってどんな資格?

警備員の業務は、施設の巡回や商業施設などの警備、交通誘導など多岐にわたります。警備員がこれらの業務を確実に行えるのは「警備員指導教育責任者」が適切な指導や教育を実施しているからといえるでしょう。

警備員指導教育責任者とはどんな資格であり、実際にこの資格を得るためにはどのような手順を踏めば良いのでしょうか。この記事では、警備員指導教育責任者の資格について説明します。

目次

警備員指導教育責任者とは

警備員指導教育責任者とは、警備員に対して指導や教育を行うことができる国家資格です。この資格は、主に警備会社で警備員を育成する際に活用されています。

警備員指導教育責任者は、警備に関する専門的な知識や技能を有していると認定され、公安委員会から警備員指導教育責任者資格者証が交付されます。

警備員指導教育責任者が適切な指導や教育を行うことによって、警備員の業務水準は一定以上に保たれています。

警備員指導教育責任者の資格が制定されたのは1982年のことで、当時はこの資格があれば全ての警備業務の指導と教育を行うことができました。

しかし、2005年に警備業法が改正されたことを機に、警備業務は1号から4号の4種類に分割されました。現在では、原則として1号から4号のうち、いずれかの警備業務の指導と教育を行うことができます。

警備に関する指導や教育を行う立場としては、警備業務が1号から4号に分割されたことで指導・教育の範囲が限定され、より効果の高い指導や教育が行えるようになりました。

警備業務(4つの区分)

1号警備から4号警備の内容は下記の通りです。

1号警備
1.施設警備業務
2.巡回警備業務
3.保安警備業務
4.空港保安警備業務
5.機械警備業務

2号警備
1.交通誘導警備業務
2.雑踏警備業務

3号警備
1.貴重品運搬警備業務
2.核燃料物質等危険物運搬警備業務

4号警備
1.身辺警備

出典:一般社団法人 全国警備業協会 警備業務の区分
http://www.ajssa.or.jp/security/types/

警備員の一般的なイメージとしては、施設の巡回や商業施設の警備、交通誘導やイベント開催時に参加者を誘導するなど、1号警備や2号警備の内容が思い浮かぶ人が多いことでしょう。

警備員の業務はそれ以外にも、現金や貴金属、核燃料物質など、貴重品・危険物の輸送や、いわゆる「ボディーガード」として依頼者を守ることなどがあり、重要な任務も担当しています。

警備員指導教育責任者になるには

警備員指導教育責任者になるには、警備員指導教育責任者講習を受講し、修了試験に合格する必要があります。

修了試験に合格した後、警備員指導教育責任者資格者証の交付を受けることで、警備員指導教育責任者として業務を行えます。

警備員指導教育責任者講習を受けるためには、一定の条件を満たしている必要があります。その条件とは下記の通りです。

1.受講する警備区分の業務について、最近5年間に通算3年以上従事している
2.受講する警備区分の警備業務検定1級の合格証明書の交付を受けている
3.受講する警備区分の警備業務検定 2 級の合格証明書の交付を受けてから1年以上継続してその区分の業務に従事している
4.受講する警備区分の旧検定1級に合格している
5.受講する警備区分の旧検定2級に合格した後、1年以上継続してその区分の業務に従事している

出典:一般社団法人 東京都警備業協会 新規取得講習 受講資格と必要な書類
https://www.toukeikyo.or.jp/

警備員指導教育責任者になるためには、警備の業務について熟知していることが求められます。

そのため、警備員指導教育責任者講習を受講するには、受講する警備区分の警備業務検定に合格していること、もしくは最近5年間で通算して3年以上警備の業務を行っていることが条件となります。

警備業務検定の1級に合格していれば講習を受講する資格が得られます。なお、2級に合格している場合、講習を受講するためには、合格証明書が交付されてから1年以上にわたって同じ警備区分の業務を行っている必要があります。

警備員指導教育責任者講習の概要

警備員指導教育責任者講習は、新規取得講習と追加取得講習の2種類があります。

新規取得講習は、警備員指導教育責任者の資格を持っていない人が、資格を取得するために受講するものです。

追加取得講習は、警備員指導教育責任者の資格のうち、1号警備から4号警備のいずれかを取得した人を対象としています。現在指導している警備区分に加え、他の区分の警備についても指導を行いたい場合は、これまでの区分に追加して資格を取得できます。

追加取得講習を受ける人の例としては、1号警備の警備員指導教育責任者の資格を持っている人が、2号警備の指導・教育も行うために、2号警備の追加取得講習を受講するケースがあげられます。

いずれの講習も、数日間の講習を受講し、講習の最終日に修了試験が行われます。

新規取得講習の日程は警備の種類によって5日~7日間と長めであるのに対し、追加取得講習は2日~4日間であり、新規取得講習と比べると講習の期間はやや短めとなっています。

新規取得講習と追加取得講習の講習時間、修了試験の時間と問題数、合格基準、受講料について下記に示します。

新規取得講習

講習時間
・1号警備:47時限(7日間)
・2号警備:38時限(6日間)
・3号警備:38時限(6日間)
・4号警備:34時限(5日間)
※講習日は土日祝日を除く

修了試験(1号~4号共通)
・試験時間:100分
・問題数:40問

試験の合格基準:正答率80%以上

受講料
・1号警備:47,000円
・2号警備:38,000円
・3号警備:38,000円
・4号警備:34,000円

追加取得講習

講習時間
・1号警備:23時限(4日間)
・2号警備:14時限(3日間)
・3号警備:14時限(3日間)
・4号警備:10時限(2日間)

修了試験(1号~4号共通)
・試験時間:35分
・問題数:14問

試験の合格基準:正答率80%以上

受講料
・1号警備:23,000円
・2号警備:14,000円
・3号警備:14,000円
・4号警備:10,000円

出典:一般社団法人 東京都警備業協会
新規取得講習スケジュールと受付日
https://www.toukeikyo.or.jp/

試験の難易度・合格率

警備員指導教育責任者の試験は、警備員指導教育責任者講習の最終日に修了試験として実施されます。ここでは、試験の難易度と合格率についてみていきます。

試験の難易度

修了試験の合格基準は正答率80%以上です。そのため、多くの問題に正解する必要があり、難しいようにも感じられます。

しかし、毎日講習に出席して講義の内容を理解できれば、十分に回答できる問題は多くあります。その点からみると、試験の難易度はさほど高くないといえます。

ただし、講習の内容を十分に理解できなければ問題に答えられない場合もあります。正答率を高めるためにも、講習の内容を十分に理解することを心がけましょう。

試験の合格率

警備員指導教育責任者の修了試験の合格率は公開されていないため、合格率を数字で確認することはできません。

ただし、講習の内容が理解できれば回答できる問題が多いことを踏まえると、合格率はさほど低めではなく、むしろ比較的高めとみられます。

試験に合格するかどうかは、毎日の講習の内容を理解できることがポイントといえるでしょう。

まとめ

警備員指導教育責任者とは、警備員に対して指導や教育を行える資格です。質の高い警備員を育成するためには必須の資格といえるでしょう。

警備員指導教育責任者になるには、警備員指導教育責任者講習を受講し、講習最終日の修了試験に合格する必要があります。試験に合格した後、警備員指導教育責任者資格者証の交付を受けると、警備員指導教育責任者の業務を行えます。

試験に合格するためには、講習の内容を十分に理解することがポイントとなります。警備員指導教育責任者の資格を取得し、警備員の育成に努めましょう。

(画像は写真ACより)

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