MaaS、SaaSなど、世界を取り巻くインターネットサービスは、私たちの世界に深くかかわるようになっています。同様に、AIも身近なところではスマートフォンの音声認識など年々身近になっています。今回は、警備業におけるAiの現状とこれから期待されていることについて詳細に解説します。
はじめに
現状、警備業界ではAIの導入は積極的に進められています。その一番の理由は警備業界の慢性的な人手不足となります。社会の高齢化、漠然とした不安の増大、大規模施設から各家庭までセキュリティサービスの導入範囲は広がっているものの、警備員の人材はそれにともなって増加はできていません。事実、警備業界は他の業界の8倍へのぼっています。(参考 厚生労働省 一般職業紹介状況 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/114-1.html )
また、警備業界の従業員の高齢化も至近の課題となっています。2021年において、警備業における年齢構成は、60歳以上の警備員の割合が、約45%となっており、2人に1人がシニア層になっています。生産年齢人口の低下に伴い、働き手が不足する中で警備業界においても同様に人材の確保に苦戦する人は必至です。その状況の改善に警備業界は以前から警備AIの取り入れを推進しています。(参考 警察庁 警備業の概況 https://www.npa.go.jp/ )
警備AIとは
警備AIとは、AI=人工知能を用いた監視システムの活用が進んでいます。現状、AIの優れている分野は画像認識と音声認識、顔認証などになっています。この分野の正確性はすでに人間を超えているとも言われています。近年の犯罪は手口も多様化し、また動機が不確定な無差別的な犯罪、テロも発生しています。社会背景で警備の実施する行う頻度・場所は年々増加中です。警備員は間に合わない箇所、時間に画像認識技術、音声認識技術など併用で、より効率的に警備を行できます。また、警備ロボットにもAIの技術は積極的に採用されており、巡回警備中の警備ロボットに音声認識のAI機能を持たせることにより、巡回中の館内の問い合わせに自動対応ができるといった事も期待されています。
警備AIができること
では、実際どのような場面で警備AIは活用されているのでしょうか?オフィスビルやショッピングモールといった大規模は商業施設内においては、常に不審な人物の侵入により事故や事件が起こる可能性があります。そのため、基本的に24時間、365日警備員の配置が必要となります。しかしながら、常に100%安全が確保できるかとなると厳しい状況にあります。人間の場合は疲労や見落としなどのヒューマンエラーが発生してしまうからです。
また、24時間継続的に監視を行うということはそれだけ警備員の体力や精神力の維持も厳しくなります。警備員の約45%は60歳以上となっています。深夜勤務を考えると体力と精神力を常に保つことはかなり厳しいと言わざる負えません。警備員のシフト体制は、おおきく日中勤務と夜間勤務の二交代制、8時間ごとの三交代制、24時間交代制となっています。シフトの調整やアレンジを変更して一人一人の負担を減らそうとしても絶対的に警備員の不足が生じているためままならない場合もあります。
また、警備の対象は、大規模な商業施設、遊園地、オフィスビル、駅舎などに限りません。個人の自宅においても不審者の侵入を防ぎ安全を守るニーズが高まっています。それぞれの個人宅にも警備員を配置して安全を確保する必要がありますが、現状は警報装置の設置により、基本契約者からの連絡を待っての警備の初動となっています。これらの場合において、AIは人間より優れた画像認識技術、音声認識技術、高解像度センサーの働きと判断能力によって、365日稼働し、通常とは異なる箇所があれば監視部署へ通報する仕組みが現場ですでに始まっています。
警備AIの活躍分野
施設内の循環業務もAIが得意とする分野です。巡回業務は、通常は警備員が歩くことにより行いますが、疲労や注意力の不足により100%隅々まで確実に問題がないか確認目視確認することが難しくなっています。具体的には、常に巡回監視している場所であっても細かな場所の見落としや非常の出入り口の判断などが難しい時があります。その点AIであれば、あらかじめ警備対象の建物の情報をインプットすることで決められた巡回ルートを外れることはありません。また、不審者や不審物を感度の高いセンサーで検知、そしてその不審物かどうかの判断もAIで正確に行うことができます。巡回中においては、館内案内を来訪者からなされる場合もあります。音声認識が発達することにより、ロボットに話しかけることにより適切な情報をロボットからえられます。
AI・ロボットの精度の上昇は、不審者・不審物の発見した場合、動きのパターン化し問題の発生を事前に推測するシステムの開発がなされます。AIはそれ自体がデータの蓄積で学習を行うことができるため、今後、より精度の高い不審者や不審物の判断が可能となってきます。
警備AIのデメリット
このようにAIの活用によるメリットは多くのモノがありますが、一方デメリットもまだ残っています。まず、AI自体で突発的なトラブルの解決はできません。現状のAIはまだ異常を察知する技術がメインとなりますので、不審者の確保、不審物の回収など問題の根本的な解決まではできません。続いて、AIロボット自体が破壊されてしまう可能性もあります。また小型警備ロボットの場合は盗難のリスクもあります。AIの音声認識や画像認識技術は年々向上していますが、まだ完全とまでは言えない状況です。
認証漏れのリスクは残されています。
最後に、AI及び警備ロボットの電源の供給は大きな問題です。事件や事故、災害などでロボットやAIにおくる電気が止まってしまった場合には、システムそのものがストップしてしまうため、どれ程優れたシステムであっても役に立たなくなってしまいます。この点、自動的に充電するシステムを持つ警備ロボットも開発されていますが、今後より自立型のAIロボットの開発が期待されています。
警備AIの普及で警備業はどうなる?
AIやAIロボットの普及でこれからの警備業界はどのようになるのでしょうか?世の中では、AIが警備員の仕事を全て奪ってしまうという議論がなされる場合がありますが、現状のAIの機能であればその可能性は低いと想定されます。逆に、24時間365日稼働できることにより警備員の不足の解消、警備員自身の精神的、肉体的な負担の軽減、疲労等からくるヒューマンエラーの減少などメリットの方が多いと思われます。
また、完全自立型のロボットの完成にはまだまだ時間がかかる状況です。あらかじめ登録、設定されたルーティンワーク以外の突発的なトラブルが発生した場合には、遠隔で操作を行う警備員が対応にあたる状況となっています。今後AIの能力があがることによって、より正確な認識や判断ができるようになることで、警備員の負担を減らすことができ、また人件費の負担経費軽減によりコストパフォーマンスのよい警備サービスの提供が可能となる可能性が高まります。より人々の生活に警備業が身近になり、安全安心に生活できるようになります。
まとめ
警備ロボットや警備AIの進化や、警備業に限らず人々の生活を豊かにしてくれます。これから日本の労働力人口の不足を補ってくれる大切な取り組みとなります。今後の警備AIの発達を期待しましょう。
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