海上を警備?警備員の警戒船業務について解説!

目次

はじめに

皆さんは警備のお仕事というと、施設の入退出管理や交通誘導警備、貴重品輸送警備などをイメージされると思います。日常的に目にする警備の仕事というのはそのような警備員が不審者の侵入を防いだり、交通事故を防ぐといったものが多いと思います。

しかし、危険を守っているのは私たちが日常生活をすごしている身の回りだけではありません。海や川でも危険を守る警備の仕事があります。本日は海や川で事故やトラブルを防止するために活躍している警戒船という警備の仕事をご紹介いたします。

警戒船とは

警戒船とは、海や川で船が航行や工事作業などを行う際に、船同士の事故やトラブルがおこらないように周囲を監視したり、警告を行う船のことをいいます。

身近な例であげると、片側交互交通の規制を行っての道路工事作業を行う際には、工事作業を行う車両や作業員の安全を守るためや、道路交通を円滑にするために、誘導や交通規制を行う警備員が配置されています。

警備員が通行車両の規制や誘導を行っているため、交通事故やトラブルがなく、工事作業に集中できます。それは海や川でも同じで、工事作業を行っている船や多くの船が航行している河川域の安全を守るために周辺の船へ警戒や警告を行うのが警戒船の役割です。

警戒船が周囲の安全を確保しているため、工事作業を行う船は工事作業に集中できるのです。

警戒船業務の内容

工事作業を行う事業者は、工事に関わる船舶や工事作業現場の周辺を航行する船舶の安全を守るために、警戒船を配置しないといけません。警戒船の配置については、「海上における工事作業等の警戒船の配備等に関する指針」により定められています。

警戒船を配置しないといけない例としては、交通制限が必要な工事作業、多数の船舶が航行する海域、爆破作業や危険度の高い潜水作業等です。警戒船はこういった工事作業現場に配置され、航行している船舶が事故をおこさないように周囲を警戒しています。

警戒船の配置数についても規定されています。警戒船の配備位置、速力や航行船舶の旋回距離にもよりますが、工事作業が行われている約500mから1000mの距離ごとに1隻の警戒船を配置することが目安として定められています。警戒船の数が少ないと船舶航行の頻度が高い海域では対応できず、作業船や作業員の安全が守れないためです。

警戒船に必要な性能、設備も定められています。堪航性として、工事作業を行う海域付近の気象・海象条件で警戒業務を行う適性があることが求められます。また、速力として、工事作業を行っている海域付近を航行する船舶の速力を、船舶自動識別装置をつかって把握し、工事作業海域の現在の状況を把握し、航行船舶への注意喚起、警告を適切に行う必要があります。

警戒船に必要な設備や乗組員について

警戒船に求められる設備として、連絡設備、監視機材、注意喚起器財、表示器財等があります。

連絡設備とは、ほかの警戒船や工事作業現場などと連絡できる無線設備や携帯電話、超短波無線電話をいいます。監視機材とは、双眼鏡やレーダー、AIS送受信機をいいます。注意喚起器財とは、拡声器や手旗、探照灯、サイレンなどをいいます。表示器財とは、警戒船であることがわかる横断幕や表示板、電光掲示板をいいます。

警戒船の乗組員についても規定があります。警戒船を運航する乗組員とは別に一人以上の森組員が海や川の警戒業務に専従することができる人員体制が必要であると規定がされています。この警戒業務に専従する乗組員のことを専従警戒員といいます。

専従警戒員は、専従警戒員の業務講習を受講し、関係法令や警戒船の任務、業務の実施方法、緊急時の対処方法などの知識、技能を身につける必要があります。

警戒船を配置する際は、警戒船業務を正しく実施し、事故やトラブルを防ぐために警戒業務の管理を行う必要があります。この警戒業務の管理についても規定があります。警戒業務の管理を行う人を警戒管理業務者といいます。

警戒業務管理者の役割は、警戒業務全般の調整、警戒船の運用や警戒業務に必要な情報収集、ほかの警戒船や海上保安官との連絡、警戒船の船長や専従警戒員に工事内容の周知などがあります。

専従警戒員になるには

専従警戒員になるためには警戒船業務講習を受講して、資格を取得します。この講習は1年以内に警戒員として働く予定のある人を対象にしています。講習は日本各地の海上保安庁で年に1回から2回の頻度で開催されています。講習にかかる費用は無料です。

講習では法律、警戒船の任務、警戒業務の実施方法、緊急時の対処法などについて学びます。

法律の講義では、海上衝突予防法、海上交通安全法、港則法、海洋汚染等及び海上災害の防止に関 する法律を学びます。警戒員として業務に従事するためには法令を理解しておく必要があります。法的根拠にもとづいて、許可されていること、禁止されていることや優先順位などを学習し、安全な船舶航行を保証できるようにならないといけません。

警戒船の任務として、警戒船の業務、基本的留意事項、警戒業務実施前の遵守事項などについて学びます。警戒船が安全な船舶航行を保証するための業務内容を理解する必要があります。

警戒業務実施方法の講義では、一般的な工事作業等の警戒の要点、移動しながら行われる工事作業等の警戒の要点、警戒船の運航中止基準、異常気象・海象時の措置及び警戒船の交替等について学びます。工事作業が行われている周辺の海域でどういった点に留意しながら警戒業務を行うのか、中止を判断する基準や異常気象・海象がおきた場合はどういったことに注意するのかを身につけます。

緊急時の対処法での講義では、 異常接近船舶等に対する措置及び事故発生時にとるべき措置について学びます。船舶航行や工事作業船、作業員の安全を保証するのが警戒船の役割であり、専従警戒員は事故やトラブルを絶対におこさないように警戒、監視を行うために配置されています。万が一事故やトラブルがおこりそうな場合やおきてしまった場合の対処について身につけます。

警戒業務管理者になるには

警戒管理業務者になるためには警戒船管理講習を受講し、資格を取得します。この講習は1年以内に警戒船管理者として働く予定のある人を対象にしています。講習は日本各地の海上保安庁で年に1回から2回の頻度で開催されています。講習にかかる費用は無料です。

講習では、法律、職務内容、管理、緊急時の措置などについて学びます。

法律の講義では、海上衝突予防法、海上交通安全法、港則法、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律について学びます。警戒業務管理者として正しい法的根拠を身につけ、警戒船乗組員や孤児作業員に適切な指示を出せるよう身につける必要があります。

職務内容の講義では、警戒業務管理者の職務について学びます。警戒船乗組員や航行船舶乗組員、工事作業員の安全を保証するために管理者としての役割を身につけます。

管理の講義では、管理体制、管理方法、警戒船配備隻数の原則、管理運用要領、専従警戒要員や乗組員に対する教育について学びます。警戒業務管理者として現場をどのように指揮していくのかについて身につけます。また、警戒船の配備数やほかの警戒業務に関わる従業員への指導や教育方法についても身につけます。

緊急時の措置の講義では、万が一事故やトラブルがおきてしまった場合の対処について身につけます。また、他の機関との警戒業務の調整方法についても学びます。

まとめ

いかがでしたか。警戒船というと一般的にはあまり聞いたことがないかもしれません。しかし、事故やトラブルなく安全に川や海の船舶航行や工事作業を行うためには必ず必要になってくる、とても大切な警備の仕事です。

船舶を所有している漁業関係者が副業として警戒船の仕事をしているという話もあります。

船舶を所有している人で新しい仕事を探している人や、副業として違うことをやってみたいという人にとっては一度調べてみるのも良いのではないでしょうか。

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