2019年の警備業法改正のポイントとは?

2019年に警備業法が改正されました。警備員の業務内容は教育カリキュラムは全て警備業法によって定義されているものです。そのため警備業法の改正は警備員として働くものであれば内容は把握しておかなければなりません。

警備業法の改正を知っておくことで警備業界全体としての動きも知ることができます。今回の記事では2019年に改正されたポイントについて詳しく解説します。ぜひ最後まで読んでいってください。

目次

2019年の警備業法改正のポイントとは?

2019年の警備業法の改正ポイントは次のような内容となっています。
・新任・現任教育の時間
・教育方法の追加
・欠格事由の変更

これらの改正ポイントが現場にどのような影響を与えるかについて詳しく解説します。また世の中がどういう流れで警備業界としてこの改正に至ったのか、ということの経緯も知っておくとより理解が深まります。警備業法の概要から説明していきます。ひとつひとつ見ていきましょう。

警備業法とは

警備業法とは日本独自の法律であり警備員や警備会社はこの警備業法に従って運用されています。第8章まであり全部で60条の条項によって警備について定められています。

内容は多岐に亘り、例えば次のような内容が定義されています。
・1号~4号までの警備業務区分の定義
・警備員の欠格事由の定義
・警備員の責務の定義

業務区分の定義においては1号警備は「施設警備」であることと、施設警備とはどういう業務を具体的に行うのかなどが定義されています。2号警備~4号警備も同様に、それぞれの業務区分がどのような業務内容で区分けされているかを明記しています。

警備員の欠格事由については、暴力団や薬物中毒者などが警備員として業務できないことが定められています。またそれ以外にも18歳未満のものや破産手続きを受けた者などは警備員として従事することができません。欠格事由についても警備業法の第14条にて細かく定義されています。

警備員の責務については警備員の教育内容について明記されています。警備員として新任の際に受ける教育内容の総時間や現任の警備員に対する教育内容などが該当します。これらの内容については警備業法の第21条にて定義されています。

2019年改正の概要

2019年8月30日付けで警備業法が改正されました。大きく次の3つのポイントが改正内容になります。
・新任・現任教育の時間
・教育方法の追加
・欠格事由の変更

警備員の人材不足の解消と現任の警備員のコストカットを目的に教育時間が短縮されています。また、教育方法としてオンライン受講が可能となり現代の状況に合わせた法改正が行われています。同じく欠格事由についても現代の状況に合わせた柔軟な改正となっています。

警備員は警備業法に定められた内容に沿って業務内容や教育方法が決定されます。警備業法の改正については知っておく必要があるでしょう。ひとつひとつ詳しく解説していきます。

新任・現任教育の時間

警備員の教育は新任教育と現任教育の2つがあります。新任教育は警備員として新しく従事したものが必ず受ける教育カリキュラムです。

現任教育は現在警備員として活躍しているものが知識や技術を常に最新に保つことができるように、定期的に受けることが義務づけられている教育カリキュラムです。

この2つの教育について改正がありました。まずは新任教育からみてみます。新任教育は基本教育と業務別教育の2種類があり、以前はそれぞれ15時間ずつの教育時間が必要でした。警備業法の改正後は基本教育と業務別教育を合わせて20時間ですむようになりました。

東京オリンピックで多くの警備員の人材を必要としていた時期で、慢性的な人手不足にあった警備業界の負担を少しでも軽減するためであったとされています。教育時間を効率化することで短期間で現場に多くの警備員を出すことができました。

基本教育では護身術や応急処置、警察との連携など業務区分によらず警備員としての最低限の知識を学ぶことができます。業務別教育では警備員指導教育責任者の資格保持者が担当する教育で、区分別の専門知識について実際の警備会社で実地教育を行います。

次に現任教育の改正内容をみてみます。現在警備員として従事するものは定期的に教育を受ける必要があり改正前は半年に1回教育を受けていました。改正後は年1回に変更となり、それに伴い教育計画書の作成も年1回に改正となりました。

現場としては教育計画書の作成および教育を半年に1度の頻度で行っていたのは業務の負担となっていました。またそれに伴う残業などでコストがかかっていましたが、警備業法の改正により手間とコストのカットにつながりました。

教育方法の追加

2019年の警備業法改正により教育方法において新しい方法の追加がありました。具体的には「電気通信回線」を使用した講義が認められることとなりました。

ただし次の条件下においてのみとなります。
・本人確認ができること
・受講状況を確認できること
・知識の習得状況を確認できること
・質疑応答の機会が確保されること

これらの条件については主催者側が確認しなければいけない項目であり、警備員として受講する立場のものとしては非常にメリットのある改正となっています。

この改正によってオンラインでの受講が可能となりました。従来は会場に赴き現地で講義を受ける必要があり手間とコストがかかっていましたが、改正後はいつでもどこでも講義を受けることができるため現場の負担はかなり軽くなりました。

欠格事由の変更

2019年12月14日の改正で「警備業の要件」および「警備員の制限」が改正されました。いずれの条項も「成年被後見人、被保佐人」の条件が削除されました。

成年被後見人とは精神や健康面の問題から正しい判断をすることが難しいと認定された人です。例えば認知症の方が該当します。また被保佐人とは精神上の障害によって物事の理解が難しいと認定された人です。

従来はこれらに該当する人を警備員としては認めないような記載となっていましたが、改正後はその文言が削除されています。

この変更については警備業界だけの改正ではありません。成年後見制度は財産管理能力についての制度であって、この内容を特定の役職や職務の条件とするのは「人権侵害」にあたるという風潮が広まってきました。

このことから条件から「成年被後見人、被保佐人」の文言を削除する業界が多くなり、警備業界としても世の中の流れに合わせて文言削除となりました。

まとめ

今回の記事では2019年の警備業法の改正ポイントについてまとめてみました。警備業法は警備業界において警備員として従事するものであれば必ず内容を理解しておかなければならない法律です。

全8章にわたって警備業界としての基本的な内容が定義されており、この法律にそって警備会社は業務内容や教育カリキュラムを設定しています。

2019年には次の内容の改正が行われました。
・新任・現任教育の時間
・教育方法の追加
・欠格事由の変更

教育時間については新任教育の時間が短縮されたほか、現任教育の頻度を減らす改正が行われました。この改正により現場としての負担はかなり軽減される結果となってます。またオンラインでの受講が可能となったことでこちらも負担軽減につながっています。

欠格事由の文言削除からも分かるように警備業界としても現代の状況に合わせて法律を改正している状況です。警備業法は定期的に見直される法律であり、また警備員としては自分自身の業務内容に直結する法律です。

改正内容は逐次確認し理解しておく必要があるといえるでしょう。

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