日常的に私たちが使用している現金、そして、非日常的な場において見かける機会がある貴金属類、これらの貴重品は警備員が専用の車両で運搬しています。
しかし、貴重品を運搬している車両は不審者に狙われる可能性があるため、厳重な警備のもとで運搬しなければなりません。
貴重品の運搬を安全・確実におこなうためには、貴重品運搬警備業務検定の資格を持つことが望ましいです。
この資格は1級と2級の2種類があります。この記事では貴重品運搬警備業務検定2級の内容について説明します。
貴重品運搬警備業務検定2級とは
貴重品運搬警備業務検定とは、現金や貴金属など、貴重品の運搬警備業務に関する知識や能力を判定する試験です。
貴重品運搬警備業務検定は1級と2級があり、2級は貴重品の運搬業務に関する基本的な内容を中心に出題されます。
なお、貴重品運搬警備の業務は、貴重品運搬警備業務検定の資格を持っていなくてもおこなえます。
しかし、この資格を取得することで、周囲に警戒しながら貴重品の運搬をより安全におこなえるため、信頼度が高まる点がメリットとなります。
それを踏まえると、貴重品運搬警備をおこなう警備員は、貴重品運搬警備業務検定の資格を取得することが望ましいといえます。
貴重品運搬警備業務検定2級ができること
貴重品運搬警備業務検定2級の資格者ができることとしては、下記があげられます。
・貴重品運搬車両の操作全般
・貴重品運搬車両の伴走
・貴重品運搬中の見張り業務
・貴重品の運搬中にトラブルが発生した場合の対応
・資格者として現金輸送車に乗車する
それぞれの業務内容について説明します。
貴重品運搬車両の操作全般
貴重品運搬警備業務検定2級の資格者は、貴重品運搬車両の操作をおこなえます。
貴重品運搬車両の構造を理解したうえで、車内に現金を収納する方法や、車内から安全に取り出す方法などを習得します。そのほか、警備会社と直接連絡を取れるように、車両に搭載されている無線の操作方法も学びます。
貴重品運搬車両の伴走
貴重品運搬車両の伴走とは、貴重品の運搬中にトラブルが発生しないよう、貴重品運搬車両とともに伴走用の車両で走行することです。
伴走をおこなうことによって、貴重品運搬車両の周囲に目が行き届きやすくなるため、より安全性が高まります。
貴重品運搬警備業務検定2級の講習では、貴重品運搬車両の伴走を的確におこなう方法を理解します。
貴重品運搬中の見張り業務
貴重品の運搬中にトラブルが起こりやすいのは、車両の中から貴重品を取り出すタイミングです。
このタイミングを見計らって不審者に貴重品を狙われる可能性があるため、周囲の見張りは厳重におこなう必要があります。特に、不審とみられる行動を取っている人を見かけたら、即座に察知して警戒しなければなりません。
貴重品の運搬中のトラブルを防ぐために、資格者は見張りに関する専門的な知識や能力を持ちます。
貴重品の運搬中にトラブルが発生した場合の対応
貴重品運搬中に周囲を厳重に警戒していたとしても、場合によっては貴重品を狙われるトラブルが発生することもあります。
そのようなトラブルが発生した場合に備え、資格者は適切な対応方法を理解しています。
たとえば、不審者からの攻撃に備えて警戒棒の取り扱いや護身術を身につけること、トラブルが起きたら迅速に警察に通報すること、万が一、負傷者が発生した場合に応急手当や止血をおこなうことがあげられます。
これらの方法を習得することにより、トラブルが発生した場合の被害を最小限に食い止めます。
資格者として現金輸送車に乗車する
現金輸送車には、貴重品運搬警備業務検定の資格を持つ人が最低一人は乗車することが義務づけられています。検定の資格は1級と2級のどちらでも差し支えありません。
つまり、貴重品運搬警備業務検定の資格者がいなければ、現金輸送車で現金を運ぶことができません。
特に、現金輸送車は不審者に現金を強奪される可能性があるため、厳重な警備のもとで現金を輸送する必要があります。そのため、現金輸送車には貴重品運搬警備業務検定の資格者が乗車します。
貴重品運搬警備業務検定2級を取得するには
貴重品警備業務検定2級の取得者になるには、下記の2つの方法があります。
・公安委員会が実施する検定を受検する
・各都道府県の警備業協会、または警備員特別講習事業センターが実施する講習を受講
※講習が終わった後に修了試験を実施
公安委員会が実施する検定を受検するためには、試験の内容を自分で学ぶ必要があります。
独学で学ぶことも可能ですが、不明点があった場合に理解が進まなくなるうえに、学ぶためのモチベーションが上がりにくくなってしまい、学習の効率が下がりやすくなってしまいます。
その点、各都道府県の警備業協会などが実施する講習は、講習を受けられるために理解がしやすくなります。さらに、講習が終わった後に修了試験を受けられるので、公安委員会が実施する検定よりも合格しやすいといえます。
貴重品運搬警備業務検定2級試験について
貴重品運搬警備業務検定2級試験の受験資格と試験内容、合格率について説明します。
受検を検討している場合は、これらの内容をあらかじめ理解しておきましょう。
受験資格
貴重品運搬警備業務検定2級の受験資格は特に設けられていません。
ただし、警備員の業務をおこなえるのは満18歳以上となります。
そのため、実質的には満18歳以上であることが受験資格となります。
貴重品運搬警備業務検定2級は、警備員として新任教育を受けた人はもちろんのこと、これから警備員になろうとする人も受験できます。
試験内容
試験内容は、学科試験と実技試験の2種類です。それぞれの試験内容について説明します。
学科試験
学科試験は、学科の講義の内容を理解しているかどうかを問う試験です。問題数は20問で五肢択一式、試験時間は60分、90点以上で合格となります。
学科試験の内容は下記のとおりです。
・警備業務に関する基本的な事項
・法令に関すること
・貴重品運搬警備業務を実施するために使用する車両並びに車両による伴走及び周囲の見張りに関すること
・運搬中の現金、貴金属、有価証券等の貴重品に係る盗難等の事故が発生した場合における応急の措置に関すること(出典:警視庁 貴重品運搬警備業務検定(1級・2級)の学科試験及び実技試験の出題範囲及び配点基準)
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/
実技試験
実技試験は、実技の訓練で学んだことを実際の現場で実施できるかどうかを判定する試験です。90点以上で合格となります。
実技試験の内容は下記のとおりです。
・貴重品運搬警備業務を実施するために使用する車両並びに車両による伴走及び周囲の見張りに関すること
・運搬中の現金、貴金属、有価証券等の貴重品に係る盗難等の事故が発生した場合における応急の措置に関すること(出典:警視庁 貴重品運搬警備業務検定(1級・2級)の学科試験及び実技試験の出題範囲及び配点基準)
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/
合格率
貴重品運搬警備業務検定2級の合格率については、一般社団法人 警備員特別講習事業センターのサイトを参照します。
それによると、2006年~2021年の合格率は70.7%でした。なお、2021年に限ると80.9%となりました。
このことから、雑踏警備業務検定2級の合格率は長期的にみると70%程度といえますが、2021年のように80%を上回る場合もあります。
出典:一般社団法人 警備員特別講習事業センター 合格率データ
http://www.csst.jp/05/05.html
貴重品運搬警備業務検定2級の合格率は高めであり、合格しやすいといえます。しかし、合格するためには、講習の内容を十分に理解することが重要です。講義の内容を理解したうえで試験に臨みましょう。
まとめ
貴重品運搬警備業務検定2級は、貴重品の運搬警備業務の基本的な内容について習得したことを認定する資格です。
この資格を取得することで、貴重品運搬車両の操作ができるようになるほか、見張り業務もおこなえるため、より安全に貴重品の運搬ができます。
貴重品運搬警備業務検定2級の受験資格は特に設けられていませんが、警備員の業務をおこなえるのは18歳以上であるため、実質的には18歳以上であることが資格取得の条件となります。
貴重品の運搬警備は不審者に狙われる可能性があるため、十分に警戒しながら業務をおこなうことが求められます。貴重品運搬警備業務検定2級の資格を取得することで、貴重品をより安全な状況で運搬できます。
(画像は写真ACより)
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