2022年現在、日本全国の警備会社数は1万社を超えています。この数値は毎年増加しています。今回は警備業の始め方について詳細に説明します。
警備業設立の流れについて
警備業の設立にあたっては、要件が多く定められています。まずは、警備業の4つの種類について説明します。種類を間違えて設立申請を出すと再申請となりますので注意が必要です。
第1号警備業務(施設警備・保安警備)とは、工事の駐車場、商業施設など警備業務対象施設における事件や盗難等の事故や災害の発生を巡回し、防止する業務となります。第2号警備業務とは、交通誘導や雑踏警備をさします。おおぜいの人や車両の通行する場所、人や車両の通行にあたって事故などの危険のある場所におけるトラブル発生を警戒し、防止する業務となります。
第3号警備業務は貴金属や現金の輸送警備となります。運搬中の現金、貴金属、美術品、核燃料輸送等の盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務です。最後に、第4号警備業務は身辺警護をさします。一般的にはボディーガードと呼ばれます。主に要人の身体に対する危害の発生や災害から、その近くにおいて警戒し、防止する業務となります。
警備業を開業するときに、どの分野の業務を行う予定なのかを想定して申請する必要があります。どの分野に該当するかの決定権者は、認証側となります。誤って、認定された業務と異なる業務を行っていることが判明した場合、警備業法違反の処され、最低でも5年間警備業を営めなくなりますので、注意が必要です。
また、第1号業務から第4号業務までその種類によって、取得しなければならない資格も異なっています。申請前に必ず、どの業務、施設警備を行うのか?交通誘導を行うのか?身辺警護を行うのか?など具体的な業務を決めてから申請をしてください。
注意すべき点は、警備業をはじめるためには、その営業所ごとに警備員指導教育責任者を配置する必要があります。責任者の配置ができないと設立できません。警備員指導教育責任者になるためには、座学が必要です。
座学の受講要件は、3年間、警備会社で警備員として働いた実務の実績が必要となります。警備についていた警備会社の証明印も必要となりますので注意が必要です。責任者が不在となると営業ができなくなりますので、開業を行いたい人みずからが取得しておくことが安全です。
実務経験については、正社員でもアルバイトでも問題ありません。またフルタイム勤務でなくても週3回程度の勤務が3年間の実務経験があれば要件を満たすとされています。また、警備業の認定を受けられない人は、警備業法で厳格に定められています。設立したい法人の役員全員、個人事業主、警備員指導責任者いずれかが、以下に該当する場合は、書類がそろっていても認可を受けることはできませんので注意が必要です。
成年被後見人、若しくは被保佐人、又は破産者で復権を持たない方(成年被後見人や、被保佐人と言うのは、何かしらの理由によって、ご自身で判断等をされる事が難しいと裁判所に認定されている方)
禁固以上の刑に処され、又は法律の規定に違反して罰金刑に処されて、その執行が終わるか、又は執行を受けなくなった日から起算して5年を経過していない方
アルコール、麻薬、大麻、阿片(アヘン)又は覚醒剤の中毒者
心身の障害によって、警備業務を適正に行う事ができない者として、国家公安委員会の規制で定める方
(参照 警備業法 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=347AC0000000117 )
警備業の設立に必要な書類は?
続いて、申請の手続きについて説明します。個人で警備会社を開業する場合には、個人事業の開廃業等届出書、所得税の棚卸資産の評価方法、減価償却資産償却方法の届出書、青色申告承認申請書等を納税を行う所轄税務署へ提出します。開業・廃業届出書はイメージがつきやすいかと思います。
その他の減価償却資産償却方法届出書については、会社設立にあたって、事務所の家賃、事務所内の備品、警備員の制服などさまざまな費用が必要となってきます。それらの費用は事業を行うためのものなので、収入から減算して利益を計算します。その費用をどのように計算を行えばよいのか申請を行うこととなります。定額法は毎年一定額を費用として計算します。定率法は毎年一定の割合を費用として計算します。青色申告承認申請書は、簿記の規則にしたがって納税申告を行うと一定額の減税が行われる制度となります。
続いて、法人の場合の会社設立について説明します。法人として警備会社を設立するためには、定款作成、会社設立登記を行い、法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払い事務所等の開設届出書、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書、地方税の法人設立届出書などの提出が必要になってきます。個人で開業する場合と比較し、手続き、提出の書類がかなり多くなります。
警備業の申請の際に必要な書面は?
公安委員会の認定がおりると認定証の交付を受けます。書類の不備などで不認定の場合には不認定通知書が送付されてきます。申請にあたって必要な書類は個人開業、法人の場合それぞれ以下のとおりとなります。
・個人申請の場合
本籍地が記載されている住民票の写し(外国人の場合は国籍等記載)
履歴書
登記されていない事の証明書
本籍地の市区町村が発行した身分証明書
医師の診断書
欠格事由に該当しない旨の誓約書
業務を誠実に行う旨の誓約書
警備員指導教育責任者資格者証の写し
・法人申請の場合
本籍地記載の住民票の写し(外国人の場合は国籍等記載)
履歴書
本籍地の市区町村が発行した身分証明書
医師の診断書
欠格事由に該当しない旨の誓約書
業務を誠実に行う旨の誓約書
警備員指導教育責任者資格者証の写し
定款
登記事項証明書
(参照 警視庁 警備業の認定申請 https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/ )
警備業の服装の決まりはあるの?
警備員の服装についても、届け出の決まりがあります。届出先は、管轄の警察署を通して国家公安委員会となります。注意点としては、警察や海上保安庁の制服ににている制服は使用できません。また、仮に私服で警備につく事が想定される場合でも、私服で勤務する届け出が必要となります。
服装届出書の提出期限は、警備業務認定後、届出を希望する制服を使用して業務につく前日までとされています。
服装としては、制帽、ヘルメット、制服の上着、ズボン・スカート・標章・ネクタイ・靴。防寒コート・腕章などが挙げられます。いずれも届出がなされてないと着用できません。
警備業設立の認可の内容は?
警備業の設立の許認可は、あくまで国家公安委員会の認定となります。申請を行っても認定を受けることができなければ、警備会社を開業することはできません。申請を行う先は、警備会社を開こうとする場所を管轄する警察署となります。
認定申請の手数料は、「23,000円」となります。警察署へ申請書を提出してから、国家公安委員会の認定を受けるまでの期間は約40日となっていますので、時間に余裕を持った申請が必要です。
また、開業許可を受けた後も、5年ごとに更新申請が必要となります。有効期間の更新については、5年に一度更新申請が必要となります。更新手続きがもし漏れてしまうと、改めて新規の認定申請が必要となるため注意が必要です。更新申請期間は、期間満了日の30日前から申請することができます。
まとめ
今回は、警備業を開業するための方法について解説してきました。警備業の開業、特に法人での開業にはさまざまな手続きが必要となってきます。事前の準備は大変ですので、開業の営業や業務に集中したい場合には、行政書士など行政手続き申請の専門家に相談することも一つの手段だと思います。
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