警備員として「救命」に関する知識は必須の内容です。警備の施設に設置されている「AED」などは、いざというときに使えるように知識を持っておく必要があります。また、多くの人が集まる施設などでは、さまざまな救命が必要となるアクシデントに遭遇する機会もあり得ます。
今回の記事では次の内容について取り扱います。
・普通救命講習
・上級救命講習
それぞれについて、資格の概要と「警備員が取得するメリット」について解説していきます。
いずれも一般市民向けに広く開催されている講習のため、他の資格などと比べて受けやすい内容です。その上で業務にも役立つ資格ですので、ぜひこの記事を最後まで読んで自身のキャリアに役立ててください。
普通/上級救命講習とは?資格の概要や取得メリットについて解説
普通/救命講習には次の種類があります。
・普通救命講習Ⅰ
・普通救命講習Ⅱ
・普通救命講習Ⅲ
・上級救命講習
いずれも消防局、消防本部が指導する公的資格です。
このうち、警備員として受けておくと役に立つ講習は次の3つの講習です。
・普通救命講習Ⅰ
・普通救命講習Ⅲ
・上級救命講習
普通救命講習Ⅰについては、一般市民向けの講習で「成人への応急処置」が内容となってます。※普通救命講習ⅡについてはⅠと違い「日常的に応急処置を行う頻度が高い(例:医務室勤務など)」かた向けの講習です。警備員としてはそこまでの講習は不要であるため今回はこちらも割愛しています。
普通救命講習Ⅲについては、「乳児や小児に対する応急処置」が内容となっています。上級救命講習は、普通救命講習ⅠおよびⅢの内容に、さらにより専門的な知識を加えた内容です。
今回の記事では、普通/上級救命講習の資格の概要と「警備員が取得するメリット」について解説していきます。
警備員が普通/上級救命講習を取得するメリット
警備の業務において「救命」の知識は必要な知識です。警備は「何が起こるか分からない」環境にあることも多く、また、人が多くあつまる環境下にもあります。
たとえば、普通救命講習Ⅰでは次のような内容が講習内容となっています。
・成人への救命処置(心肺蘇生法、AEDを用いた除細動)
・成人への気道異物除去や止血法などの応急手当
心肺蘇生が必要となる場面や、気道異物除去が必要になる場面などは日常ではなかなか起こりえませんが、いざそうなったときに警備員が頼られる可能性は高いです。
とくにAEDについては、警備員をしていれば機器自体を目にする機会は多いと思いますが、講習を受けていないと全く使えないと思います。この内容について学べるだけでも普通救命講習が警備員にとって重要であることが分かります。
また、上級救命講習で学べる「搬送法」も警備員には関わりが深い知識です。けが人や急病人が出たときに、近くにいる警備員が、けが人をその場に放置するわけにはいかず、まずは安全な場所に移動する必要があります。この搬送の仕方を学ぶことができます。
振動をなるべく与えずに傷病者に負担をかけない搬送方法を学ぶことができるため、この知識だけでも重宝します。もちろん、本業が警備であるため医師や救急隊のような対応は出来ませんが、救急車を呼んでくるまでの数分間の時間を適切な処置ができる知識は必要です。
また、そのような講習を受けている警備員であれば雇う側も安心感が増します。普通救命講習Ⅲでは、乳児や小児向けの対応も行えるようになり、上級救命講習ではさらに自分のできる応急処置の範囲が広がります。
いざという時に迅速かつ適切な対応ができる警備員でいられるためにも「普通/上級救命講習資格」を持っているメリットはとても大きいといえます。
資格概要
普通救命講習と上級救命講習それぞれについて、もう少し詳しくみていきましょう。いずれの資格も基本的には一般市民向けの内容です。
講習を受ければ資格を取得することができます。※実技、筆記の効果測定はありますが、講習をしっかりと受ければ通ることができる内容です。
普通救命講習
普通救命講習にはⅠ、Ⅱ、Ⅲの三種類があります。※Ⅱについては医務室などのような日常的に応急処置が必要となる人向けの講習です。
普通救命講習では、心肺蘇生法、AEDを用いた除細動の救命処置と、気道異物除去や止血法などの応急手当が学べます。普通救命講習のⅠおよびⅢともに「一般市民向けの3時間の講習」となってます。Ⅰは成人への救命処置、Ⅲは小児や乳児向けの救命処置です。
10歳から受講できる「救命入門コース」90分というものもあります。東京消防庁では入門コースを受講してから1年以内であれば2時間講習で普通救命講習の認定がもらえるコースなどもあります。※各自治体の消防庁により講習の開催頻度や細かいルールは異なります。
講習を終えると消防庁から「救命技能認定証」が交付されます。有効期限は3年間となっており、継続したい場合は期限が切れる前であれば「普通救命再講習」を受けることが出来ます。再講習の場合は講習時間は2時間20分に短縮されます。
上級救命講習
普通救命講習ⅠおよびⅢと同様の内容、つまり成人から小児や乳児への救命処置や応急手当が対象となります。またそれに加えて、ファーストエイドと言われる次の内容も対象となります。
・三角巾を用いた骨折などの外傷救護法
・熱中症、やけどなどへの対応
・事故などでの頸椎損傷が疑われるけが人への頭部保持
以上の内容に「搬送法」を加えて実技と筆記を伴う8時間のボリュームの講習となります。
ファーストエイドとは、「急な病気やけがをした人に対する最初の行動」と定義されています。救急車を待っている間のけがをした人が取るべき最適な体位(回復体位と定義されています)などを学ぶことができます。
このような内容含めて、警備員としては「熱中症」「搬送法」などの対策もこの講習に含まれることから、ぜひ上級まで資格を取っておきたいところです。8時間の内容であるため普通救命講習の内容と重複している部分についてもより詳しい知識を得ることが出来ます。
心肺蘇生、AEDの使用方法、熱中症、小児への対応など、警備員として起こりうる可能性の高いアクシデントへ対応出来る資格となってます。
上級についても普通救命講習同様に、「ステップアップコース」が用意されていて、普通救命講習を受講してから1年以内に受講することで5時間の講習時間で受講することができます。
費用については自治体や消防庁によってさまざまですが、基本的には「無料」または「有料」だとしても2~3,000円程度です。普通救命講習を受講してから、ステップアップコースで上級を受講する流れが良いと思います。
講習を終えると消防庁から「上級救命技能認定証」が交付されます。有効期限は3年間となっており、継続したい場合は期限が切れる前であれば「上級救命再講習」を受けることが出来ます。再講習の場合は講習時間は3時間に短縮されます。
まとめ
今回は普通救命講習と上級救命講習について、それぞれの資格の概要と、警備員が取得するメリットについて解説しました。警備員であればぜひとも「上級救命講習」を受けて、日々の業務のアクシデントへ適切に対応できるよう備えておきたいところです。
繰り返しになりますが「AED」についての知識は警備員としては必須の知識であり、いざというときに「分からない」ということが無いようにしておきたいところです。
いずれの講習も特に資格要件などはなく、一般市民向けに公開されているため、今後の自分のキャリアアップを見据えて講習を受けて幅広い知識を身につけておくと良いでしょう。
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