応急手当普及員または応急手当指導員という資格があります。この資格は近年重要度が増している「救命講習」の講師側の立場となることができる資格です。
救命講習はけが人などの応急処置の仕方を学べる資格であり「普通救命講習」「上級救命講習」と分類されています。いずれの講習も警備員にとっては重要な知識が備わる資格であり、キャリアアップや転職にも有利になる講習と言われてます。
今回の記事の応急手当普及員と指導員については、救命講習の講師となることができるためより高い知識を得ることが出来て、かつ警備員としてだけなく自身のキャリアとして更なる活躍の場を広げることができる資格です。
応急手当普及員と指導員の資格は開催頻度や受験要件などから取得がやや難しい資格と言われています。難しいからこそ警備員としてのキャリアの幅をより広げたいと考えている方にはおすすめの資格です。ぜひこの記事を最後まで読んでいってください。
応急手当普及員/指導員とは?資格の概要や取得メリットについて解説
応急手当普及員と指導員はどちらも「救命講習」の講師となることができる資格ですが次のような違いがあります。
・応急手当普及員 →普通救命講習のみ講師ができる
・応急手当指導員 →普通救命講習の講師に加えて上級救命講習と応急手当普及員講習の指導が出来る資格
応急手当指導員は応急手当普及員の上位の資格と位置づけられていて、指導員の受講資格として「応急手当普及員の資格保有」があります。
そもそも救命講習とは「AEDの使用方法」や「心肺蘇生の応急処置」など一般市民が知っておくべき緊急時の対応方法が学べる講習です。
警備員としては大多数が集まる施設での警備や、イベントなどの警備をしている立場上一般の人よりもより緊急時の対応の知識は持っておくべき職業ですので「救命講習」の知識は重要な知識といえます。
応急手当普及員や指導員は救命講習を教える立場になれるため、より専門的な知識を持っているということの証明にもなります。また自治体や事業所などで救命講習を教えることができるため企業からも重宝される人材となります。
そのため応急手当普及員や指導員の資格を取るメリットはかなり大きく、キャリアアップや就職に有利になる資格です。
今回の記事では次の内容を細かく解説していきます。
・警備員が応急手当普及員/指導員を取得するメリット
・応急手当普及員とは?
・応急手当指導員とは?
まずは取得するメリットからみていきましょう。
警備員が応急手当普及員/指導員を取得するメリット
一般の人が救急隊員が到着するまでの間の応急処置を学ぶ場として「救命講習」があります。救命講習の中でも普通救命講習に関しては広く一般市民向けに開放されている講習です。
この救命講習の重要性は次の理由により年々高くなってきています。
・通報から救急車が現場に到着するまでの時間が年々長くなっている
・心肺停止の場合は救急車到着までに適切な応急処置をしなければ、蘇生の可能性が低くなる
※救急車到着までの時間は1995年から2015年までの間に15分遅くなっているというデータもあります。
救命講習の重要性が上がっている一方で指導員不足に陥っているため、十分な講習会の開催ができていないのが現状です。救命講習の指導は主に医師や救急隊員が行うことが多いですが、これらの職業のかたは本来の業務を行う必要があるため救命講習の普及にまで手が回っていません。
そこで一般の人に対して指導を行うことができる人を医師や救急隊員以外の人からも募るために、指導に必要な技術や知識を備えた人を増やす目的で「応急手当普及員」が設置されました。
警備員としてAEDの使用方法などを知っておくという意味でも救命講習の知識は必要です。また自分が指導できる立場になればより知識も身につき業務の幅も広げることができるためキャリアアップに有利な資格です。
現在は応急手当普及員講習自体がなかなか開催されていないため、応急手当普及員はまだまだ広まっているとは言えない状況です。一方で資格を持っている人員が少ないからこそ取得できれば重宝される資格ともいえます。
さらに上位資格である「応急手当指導員」となるとより狭き門となります。応急手当普及員の資格を持ち普通救命講習の講師として講習を行っている経験が必要となるケースもあります。さらに技量や適正が講師として値するかも見られます。
応急手当指導員まで取得することが出来れば講師として技量や適正が備わっている優秀な人材であるという証拠にもなります。また普通救命講習だけではなく上級救命講習の講師も行うことができるため、自身の価値を高めることができます。
特に上級救命講習では次のように警備員にとっても必要な知識が多く含まれてます。
・熱中症の対応
・ファーストエイド(けが人などに最初に行うべき対処。楽な体位などが学べる)
・搬送法 →危険な場所にいるけが人などをなるべく体へ負担をかけずに移動する方法
このような内容を講師として教える立場にまでなれる警備員はなかなかいません。
救急隊員などが保有する資格であるため警備員としてこの資格を取ることが出来れば、キャリアアップや就職などで大きく役立つ資格となります。
資格概要
ここからは応急手当普及員および応急手当指導員それぞれについての資格の概要について解説します。どちらの資格も「救命講習の講師ができる」というのは変わりませんがそれぞれに講師ができる範囲も異なり、また資格要件なども異なります。
応急手当普及員の上位資格が応急手当指導員となるためまずは応急手当普及員から見ていきましょう。
応急手当普及員とは
消防庁が定める「応急処置」の普及を支援し救命講習を教授することができる資格で、消防本部により認定が行われる公的資格です。普通救命講習のみ講師を行うことができますが上級救命講習の講師を行うことはできません。
24時間の応急手当普及員講習Ⅰの座学・実技を修了し、かつ筆記・実技の効果測定で合格する必要があるため難易度は高めの資格です。※4時間の応急手当普及員講習Ⅱもありますがこちらは救急隊員などの資格が必要です。警備員が受ける場合には多くの人が応急手当普及員講習Ⅰを受けることになります。
開催場所は自分の住んでいる自治体(または勤務地)の消防本部にて開催される講習を受けることになります。ただし講習を行っていない消防本部もあるため、その場合は近隣の消防本部で受けることも可能です。
資格の有効期間は3年間となっており再講習を受講することで3年間の更新が行えます。再講習では最新の応急処置の内容にアップデートされているため常に最新の知識を身につけることが出来ます。
資格を取得することで救命講習の「普通救命講習」の講師となることができます。ただし注意点として認定を受けた消防本部の管轄内のみとなることがあります。管轄外の場合は対象となる消防本部に確認が必要です。
警備員としてこの資格を取る場合は、勤務地で活躍の場を広げることができるため勤務地での取得をなるべく推奨します。
応急手当指導員とは
応急手当普及員の上位資格になります。応急手当普及員同様に救命講習を教授することができる資格ですが、普通救命講習の講師に加えて上級救命講習と応急手当普及員講習の指導が出来る資格です。受講要件含めて取得がかなり難しい資格です。
講習は3種類あり、応急手当指導員Ⅰと応急手当指導員Ⅱ、そして応急手当指導員Ⅲがあります。応急手当指導員ⅠとⅡについては「救急隊員」や「消防隊員」の資格などが必要となるため警備員として受講する場合には応急手当指導員Ⅲが該当します。
応急手当指導員Ⅲは応急手当普及員の資格保有が受講資格となっていますが、普通救命講習で講師または講師補助としてのある程度の経験も条件としている機関もあります。各消防本部によって条件は異なるため自分が受ける消防本部の条件を確認する必要があります。
応急手当普及員の資格をとり普通救命講習で講師としての所定時間の経験を積む必要があるという資格要件の難しさから、この資格は警備員としてはキャリアアップや就職に有利になる資格であるといえます。
3年ごとの資格更新が必要で4時間の再講習を受けることで資格更新されます。ただし救命講習と異なりただ講習を受ければ良いだけではなく、消防長から技量や適正を考慮し認定を受けなければ更新されません。
応急手当指導員の資格を持っているということは消防長からも認められる人材であるという証拠にもなります。こういった面からも応急手当指導員の資格が就職などに有利な資格であるといえます。
まとめ
今回は次の2つの資格について解説しました。
・応急手当普及員
・応急手当指導員
いずれの資格も警備員として保有しているとメリットが大きい資格です。特に上位資格の応急手当指導員については取得難易度も高いため、取得できれば自身のキャリア形成におおいに役立つ資格といえるでしょう。
救命講習の内容自体がとても重要な内容です。警備員としてももちろんですが、日々の生活においても周りの家族や友人がもしもアクシデントに見舞われたときにこの知識があれば助けることができます。
また自身が講師となることで多くの人に知識を与えることができるため社会貢献にもなります。モチベーションも高く保つことができる内容であるため、警備員として働きながらぜひ目指していきたい資格といえるでしょう。
コメント