テレビなどで違法滞在の外国人の住居へ突撃して摘発するシーンなどが流れることがあります。その仕事は入国警備官という警備の仕事です。テレビで見てると憧れを抱くようなかっこいい仕事と思われがちですが実態は非常に危険の伴う仕事です。
また外国人とのやりとりができる程度の外国語の知識も必要で、抵抗する外国人に対抗する身体能力も合わせて必要です。今回の記事では、入国警備官に関して業務内容や採用難易度について解説していきます。ぜひ最後まで読んでいってください。
入国警備官とは?業務内容や採用難易度について解説
入国警備官とは違法に滞在している外国人を調査し摘発、そして国へ強制退去させることを仕事とする国家公務員です。警察官と同じく拳銃所持が認められていることからも分かるように非常に危険の伴う業務内容です。
採用難易度も高く、外国語と身体能力両方が必要となる大変な仕事です。今回の記事では入国警備官について次の内容で詳しく解説します。
・入国警備官とはなにか?
・入国警備官の実際の業務内容は?
・入国警備官になるにはどうすればいいか?
では、みていきましょう。
入国警備官とは
入国警備官とは法務省の「出入国在留管理庁」所属の国家公務員です。国家公務員は「総合職」と「一般職」に分けられますが入国警備官の試験難易度は一般職相当といわれています。
国家公務員自体が非常に難易度の高い試験のため入国警備官になるには相当難しい試験に合格しなければいけないことが分かります。外国人が来日し観光したり学校に通ったり働いたりするにあたって入管法という定めを遵守しなければいけません。※入管法は正式名称が「出入国管理及び難民認定法」といいます。
不当な労働や殺人などの犯罪行為を目的に入管法に違反した状態で来日する外国人も後を絶ちません。入国警備官はこのような入管法に違反して滞在している外国人を取り締まり強制的に退去させることができる権限を持った仕事です。
外国人の違法滞在は犯罪と隣り合わせの状態にあることも多いです。その外国人の摘発にあたっては外国人が抵抗をすることも多く、危険を伴う業務です。日本の国の安全を守るという実感をすることのできる素晴らしい仕事ですが、選ばれた人だけがなることのできる職業でもあります。
入国警備官の勤務先
日本における海外からの入国を管理するトップの組織が法務省の出入国在留管理庁です。その下に地方公務員として地方出入国在留管理局が下部組織としてあります。出入国在留管理庁で勤務する入国警備官は基本的にトップの集団になります。
新人含めて多くの入国警備官は地方出入国在留管理局で働くことになります。他にも地方出入国在留管理局の支局や出張所などもあります。外国人が来日する窓口である港や空港近くにあることが多いです。違反者を一時的に収容する入国管理センターも勤務先の候補となります。
入国警備官の業務内容
入国警備官の業務は入管法に違反している外国人を摘発して強制退去させるのが一連の業務になります。入国警備官の業務内容は大きく4つに分かれます。
・違反調査
・摘発
・収容
・送還
それぞれ詳しくみてみます。
違反調査
入国警備官の最も基本的な業務は違反調査です。出入国管理を行い違反をしている外国人の調査を行ったりパトロールを行ったりします。調査に関しては自ら得た情報はもちろんですが一般の方から寄せられた情報なども参考に調査を行います。
警察官と同じように拳銃や警棒の所持が認められていることも特徴の一つです。このことからも入国警備官の仕事の危険さが分かるかと思います。
摘発
違反調査によって証拠が揃ったタイミングで強制捜索を実施します。これには裁判所の許可が必要です。主任の収容令書により違反者の身柄を拘束する権限も持っています。これを摘発と呼びます。
摘発に関しては早朝や深夜に及ぶことがあるため手当や残業代が加算されることが多い職業です。摘発は違反者が潜伏している工場などのようなところへ赴くため非常に危険が伴う仕事です。
収容
違法行為が発覚し摘発によって身柄を拘束された外国人は一時的な収容施設に収容されます。収容に関連する業務も入国警備官の仕事になります。収容の手続きから処遇、収容施設の警備などが業務となります。入国審査官の審査を受けた後に退去となるかどうかが決定されます。
収容施設は地方出入国在留管理局に設置されています。収容施設で外国人は安全を保つ上で支障がない範囲で比較的自由に過ごすことができます。冷暖房完備で食事もつきます。入浴、洗濯、運動なども自由に行うことが出来ます。
送還
入国審査官による違反審査の結果、違反が確定となった場合は外国人を国籍の国へ強制的に退去させます。これを「送還」といいます。外国人の空港までの護送も入国警備官の仕事の一つです。
何らかの事情により国に帰すことが出来ない場合は入国管理センターに一時的に収容されます。入国管理センターは茨城県と長崎県にあります。
入国警備官になるには
入国警備官になるには出入国在留管理庁の入国警備官採用試験を受験し合格する必要があります。入国警備官は国家公務員であるため採用試験は非常に難しい試験に合格しなければいけません。
採用試験は1次試験と2次試験があり1次試験に合格すると2次試験の具体的な試験案内がきます。2次試験の日程は1次試験合格後に決定しますが、日程変更は不可となっているため注意が必要です。採用試験合格者は地方出入国在留管理局もしくは入国者収容所入国管理センターのいずれかに採用となります。
入国警備官は違法外国人の取り締まりを行うため言語能力や身体能力など非常に高い能力が求められます。日本の安全を守るという正義感、意思、行動力も合わせて求められます。
入国警備官として必要な能力を身につけるための次の研修が用意されています。
・初任科研修
・中等科研修
・語学委託研修
研修施設は茨城県にあり、体育館や運動場も完備しています。研修では外国人相手のため外国語をはじめとして武道や逮捕術、さらには拳銃の操作訓練なども行われます。
入国警備官は国家公務員であるため福利厚生がしっかりしてます。諸手当として次の手当が完備されています。
・扶養手当・・・扶養親族のある者に支給。子月額10,000円等
・住居手当・・・借家(賃貸のアパート等)に住んでいる者等に、月額最高28,000円
・通勤手当・・・交通機関を利用している者等に、定期券相当額(1か月当たり最高55,000円)等
・期末手当・勤勉手当・・・いわゆるボーナス参考元:https://www.moj.go.jp/isa/supply/recruitment/nyukan_nyukan06.html
まとめ
今回の記事では入国警備官の業務内容や採用難易度について解説しました。入国警備官とは法務省の「出入国在留管理庁」所属の国家公務員であり、入管法に違反して滞在している外国人の摘発や送還を行います。
違反調査を繰り返し行い情報収集をし、必要な情報が出揃った段階で摘発を行います。摘発は違法外国人を取り押さえることになるため非常に危険の伴う仕事です。時間帯も早朝や深夜など人が活動しない時間帯を狙うことが多いです。
違法外国人が滞在している工場などが取り押さえ現場となることも多く、抵抗する外国人に対抗する身体能力も必要な仕事です。
採用難易度は非常に難しく、出入国在留管理庁の入国警備官採用試験を受験し合格する必要があります。合格後は研修制度がしっかりしており基礎から学ぶことができます。また福利厚生もしっかりしているため体力知力に自信のある人にとっては非常にやりがいのある職場となるでしょう。
国民の安全を外国人から守る重要な仕事のため、正義感や気力、そして行動力に自信のある方は目指してみても良いのではないでしょうか。
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