はじめに
複数の警備員が一つの現場で働くのであれば、その中から隊長や副隊長など、警備チームをまとめる人材が必要となります。
今回は警備員の隊長がどんな役割をするのか?隊長を任命されたら、どんなメリットがあるのかを紹介していきます。
警備員の階級システムについて
一般的な会社では、社長がいて、部長、課長、係長というような階級システムがあります。
上位層から下位層の全員へ、指示命令が伝わりやすい、反対に下位層にいる1人1人から、上位層へ報告・連絡・相談(ホウレンソウ)が伝わりやすいことから、このような階層システムが採用されてます。
警備員が、一つの現場内で複数人勤務していれば、チームの連携が大切になります。そこでの指示命令やホウレンソウといった伝達面が重要なものとなってきます。
そのためには警備員と階級を区別した隊長を置くことで、先ずは伝達面でスムーズに行くようになれば、組織として都合が良いことが多く生まれてくるのです。
警備員の中で隊長を配置することは、警備業法などの法律で定められていないため、隊長を置かないという選択肢があります。また警備対象施設や建設現場など、人員1名のみの警備員の派遣であれば、その1人が隊長兼警備員となります。
よって警備業務においては、複数人の警備員となる場合は、隊長を置くことが一般的となっています。
隊長とは?
一つの現場に複数の警備員が派遣されるのであれば、隊長が必要ということは理解してもらえたかと思います。隊長としての役割は、伝達面でのメリット以外にはどういったものがあるのかを、下記に具体的な内容を挙げています。
まとめ役
複数の警備員が、バラバラに行動していては、警備としては不安です。そのため隊長が警備員をまとめる役目になります。
教育面
はじめて現場に立つ警備員に対して、警備の方法や現場における注意事項を指導することで、他の警備員の負担が軽減されます。
管理面
その日の業務を開始するに当たり、遅刻や欠勤が無いか管理すること。警備業務上1人欠けた場合でも、安全面の低下につながります。警備会社本部に連絡して補充してもらうことや、警備の委託先である現場関係者にも伝えておくことが必要です。
配置の指示
現場で業務に携わる警備員全員の能力を把握し、適切な場所へ配置すること。また休憩のローテーションを指示すること。
緊急連絡
事故や怪我などが発生したときに、現場関係者や警備会社に連絡を行うこと。また緊急性があれば、警察や消防に通報することもあります。
警備報告書の記入及び提出
警備の委託先へは毎日警備報告書を記載し提出することになります。その日にどのような警備業務を行ったのかを報告するだけでなく、警備を行う上での改善内容や、外部からの些細な苦情、委託先へ警備料金を請求する資料として、重要なものです。
以上の内容が隊長の主な業務です。専任として隊長の業務を行う場合もあれば、他の警備員と同じ様に、通常の警備業務も行いながら、隊長としての業務を兼任として行う場合もあります。
もう一つ警備員のサポートをするのが、警備会社本部の業務となります。但し他にも現場が複数ある警備会社では、一つの現場で、四六時中においてサポートすることは、難しいため、現場の代表となってサポートする隊長が必要になってきます。
隊長になるメリット
隊長となることで、先ほど紹介したような業務を、していかなければなりません。
そのため、これまで一警備員として勤務していた人が、隊長となったときには、負担が増えてしまい、戸惑うことがありますが、負担が増えることは、デメリットということばかりではありません。ここではメリットについて紹介していきます。
給料
隊長と一般の警備員では、業務が増えることと、警備員の先頭に立つことの責任から、給料に差をつけていることがあります。
警備会社によって違ってきますが、警備員としての通常の給料以外に、隊長手当または役職手当がついています。
その他に給料が増える要素としては、他の警備員よりも早く来て、その日の段取りをすることや、警備報告書を作成するために残業することもあります。その分の時間外手当が給料として支給されることもあります。
やりがい
1日1日、事故が無く安全に業務を遂行していくことで、隊長としてのやりがいが生まれます。そのやりがいを積み上げていき、隊長として任命された期間、最後までやり遂げることで、大きなやりがいへとなります。
基本的には、一度隊長に任命されれば、余程のことが無い限り、交代させられることはありません。会社などの施設警備業務や、公営の競馬場などの雑踏警備では、1年間単位での警備契約がされています。
交通誘導警備業務は、簡単な道路工事であれば数日間の警備業務となることもあります。また高速道路を建設するような大規模工事であれば、数年間という長期間の警備業務と言うこともあります。
期間が短い長いと様々ですが、いずれにせよ、命ぜられたときから最後まで、隊長をやり遂げることは、警備会社にとっても、警備を依頼する会社にとっても、更に警備員同士の間でも、高い評価や信頼が得られることで、やりがいへつながります。
この期間を何事も無くやりきった実績は、別の現場でも再度生かされるものと考えられ、新たな現場でも、期待を込めて、隊長として配置されることになります。
またその実績が繰り返されることで、場合によっては、警備員から本部への昇進昇格することも考えられます。このことから更なるキャリアアップへつながることになり、この繰り返しが、連鎖となり良い方向へと進んでいきます。
隊長になるには
通常は所属する警備会社が、その現場の警備員の中から、隊長を任命することになります。必ずしも1人だけということではなく、夜間勤務がある場合など、交代制であれば時間帯ごとに、隊長を任命することがあります。
また警備するエリアが広範囲の場合、区切ったエリアごとに隊長を任命し、そのエリアごとの隊長を統括する隊長を置くこともあります。そうすることで隊長の目が、一般の警備員まで届くようにする効果や、隊長レベルの責任者の不在となることを回避する目的があります。
隊長に任命する基準としては、交通誘導警備であれば、交通誘導警備業務1級または2級、施設警備であれば、施設警備業務1級または2級と言った検定合格者から任命します。
検定合格者であれば、警備業法や警備に関する法律など熟知していることや、緊急時の連絡に関しても訓練されていることなど、無資格者よりも能力が高いことが証明されているからです。
但し必ずしも、どの現場にも検定合格者が配置されているとは限りません。交通誘導警備業務においては、高速自動車国道または自動車専用道路では、場所ごとに1人以上を配置しなければなりませんが、そうではない小規模の現場では、検定合格者が不在となる場合があります。
警備員は、下は10歳代から上は70歳代まで幅広い年代の人が勤務しています。隊長に任命するに当たり、年功序列で選んだりはしません。警備員の資質や能力の他に、これまでの勤務態度、警備経験、責任感などを考慮して、隊長を選ぶことになります。
まとめ
以上の内容から警備員の隊長の業務は、警備員としての業務をするよりも、負担が増えることになりますが、給料面での増額や、やりがいが得られるメリットがあります。
これによって昇進や昇格と言ったキャリアアップにもつながっていくことになるので、やっておいても損は無い役目と言えるでしょう。
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