年齢が高くても警備員になれる?定年後の警備員事情について解説

目次

はじめに

定年退職後の第2の人生に、生涯現役で活躍できる警備員という選択肢があります。警備業界は人手不足のため、シニア世代の方を積極採用しています。国も助成金を出して高年齢者の雇用を促進しています。

シニア世代の方ができる警備員として、施設警備と交通誘導・雑踏警備の2種類があります。同じ警備員といえども、まったく性質が違います。それぞれメリット・デメリットを解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

定年退職後でも警備員になれる?

警備員は、18歳以上だったら、何歳でもなることが可能です。そのため、もちろん定年退職後でも警備員になれます。

警備員というと年配の方が多いイメージもありますが、実際のところはどうでしょうか。警視庁が『令和3年における警備業の概況』に年齢別の統計をまとめています。結果は、以下のとおりです。

30歳未満10.5%、30~39歳10.0%、40~49歳15.2%、50~59歳19.3%、60~64歳13.1%、65~69歳14.1%、70歳以上17.9%となっています。

60歳以上の警備員を合計してみると、警備員全体の45.1%と半数近くにのぼります。70歳以上だけでも17.9%、数にして105,820人の方が警備員として活躍しています。定年退職後の第2の人生として、長く勤務できることがわかります。

警備業界は人手不足のため、定年退職した方を積極的に採用しています。警備員は、人々の安全と安心を守る社会貢献性の高い仕事です。必要とされると、毎日の生活にハリが出て、老け込むことがないともいわれています。

はじめて警備員をする場合は、法律で定められた新任教育と呼ばれる警備員研修を20時間以上受けます。座学と実技で、警備員としての基礎をしっかり学んでから、現場に出ることが可能です。

みっちり3日間かけての教育になります。お給料が出るだけでなく、お昼のお弁当も出るところが多いです。同期の仲間もたくさんできます。

ただし、警備員は人々の安全と安心を守る特殊な業務です。以下のような問題のある人は、警備員になることが法律で禁じられています。

破産手続き中の者、刑務所を出所してから5年経過していない者、最近5年のうちに警備業法違反をした者、反社会的勢力関係者、アルコールや薬物の中毒者、心身に障害のある者などです。

シニアでも働きやすい現場は?

同じ警備員といえども、次のように4つの業務区分があります。施設警備の1号業務、交通誘導・雑踏警備の2号業務、運搬警備の3号業務、身辺警備の4号業務。このうち、運搬警備と身辺警備は、警備員のなかでも実績と信頼のある選ばれた人しかできません。

シニア世代の方で、はじめて警備員をする場合は、施設警備か交通誘導・雑踏警備を選ぶことになります。この2つなら力仕事もなく、即戦力として活躍できます。

体力的に働きやすい現場は、施設警備です。常駐警備とも呼ばれ、基本的に固定の現場に派遣されて勤務します。現場は、オフィスビルや商業施設、工場、病院などです。立哨警備や巡回警備といった、いかにも警備員らしい業務だけでなく、館内受付などのお客様対応もします。

メリットは、屋内業務のため天候に左右されず、良い環境で安定的に仕事ができることです。立哨警備や巡回警備はありますが、座って待機している時間も多いので、そこまで体力的にきつくありません。

施設警備は机があるので、特に夜勤で対応が少ない深夜帯は、業務に支障がない範囲で読書などもできます。

デメリットは、拘束時間が長いことです。警備員は、8時間以上の日勤・夜勤が基本の勤務シフトですが、施設警備は現場によって、当直(または当務)と呼ばれる24時間勤務のシフトがあります。

仮眠時間はありますが、緊急対応があれば駆け付ける必要もあり、自宅と同じようには熟睡できません。ずっと現場に拘束されるので、精神的に疲れる人もいます。

施設警備は、24時間365日の仕事です。そのため土・日・祝日もシフトがあります。現場に派遣されているメンバーが少ない場合は、お正月休みやお盆休みも、交代で出なければならない可能性が高いです。

施設警備は、巡回ルートやカギの貸し出しなど、その現場特有のルールがあります。そのため、はじめは覚えることも多いです。

精神的に働きやすい現場は、交通誘導・雑踏警備です。工事現場やイベント会場などを、依頼に応じて転々とします。道路や建築などの工事現場では車両や歩行者の誘導、お祭りや花火大会などのイベント会場ではお客様へのご案内や不審者対応をします。

メリットは、頻繁に現場が変わるので、いつも新鮮な気持ちで仕事ができることです。相性の合わない人と、ずっと同じ現場で仕事をすることもないので、人間関係に悩まされません。

交通誘導・雑踏警備は、施設警備に比べると現場特有のルールも少ないです。そのため、比較的すぐ仕事を覚えられます。

交通誘導・雑踏警備は、その警備会社に所属している警備員が、基本的に全員シフトに入れます。そのため、シフトの融通がつけやすいです。好きな曜日に働くことができるほか、日勤だけや夜勤だけといった働き方もできます。

現場が早く終われば、警備員も早上がりできます。もちろんお給料は引かれず日給と同じなので、時給換算すると給料が高くなります。

デメリットは、基本的に屋外業務なので、夏は暑く、冬は寒いことです。工事現場は騒音や粉塵も多く、環境的に良いとはいえません。休憩はありますが、基本的に立ちっぱなしなので、体力的につらいと感じる人もいます。

特に夏の工事現場は、日差しをさえぎるものが少なく、炎天下での警備になります。水分補給や塩分補給など、十分な熱中症対策が必要です。

施設警備に比べると、危険な現場も多いです。特に車両を止めたり、誘導したりするときは、周囲の安全だけでなく、自分の身の安全にも十分気を配る必要があります。

シニアを積極採用している警備会社の探し方

警備業界は人手不足なので、一般の求人情報でも積極採用していますが、ハローワークに求人を出している警備会社は、さらにシニア世代の方を積極的に採用しています。なぜなら、ハローワーク経由で60歳以上の方を継続して雇用すると、国から助成金がもらえるためです。

「特定求職者雇用開発助成金」と呼ばれる助成金で「特定就職困難者コース」と「生涯現役コース」という2種類があります。

60~64歳の方には、特定就職困難者コースが適用され、条件によって30~60万円。65歳以上の離職者の方には、生涯現役コースが適用され、条件によって40~70万円が国から警備会社に支払われます。条件は、会社の規模や週の労働時間です。

まとめ

警備員は、定年退職後でもなれます。実際の統計をみても、60歳以上が45.1%と半数近くがシニア世代です。定年退職後の第2の人生として、長く勤務できます。

はじめて警備員をする場合、法律で定められた警備員研修を受けます。警備員としての基礎をしっかり学んでから、現場に出ることが可能です。

肉体的に働きやすいのは施設警備。精神的に働きやすいのは交通誘導・雑踏警備です。どちらにも、それぞれメリット・デメリットがあります。

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