警備業務は責任重大!もし失敗したらどのような事故が起こる?

目次

はじめに

警備業務は危険と隣り合わせです。もし失敗したら取り返しのつかない事故になる可能性があります。誰でもできる仕事と思われがちですが、その責任は重大です。警備業務の失敗について、事故事例や対策を交えて解説します。

警備業務の重要性

警備業務は生命・身体・財産などを守り、人々に安全と安心を提供する重要な仕事です。電気・水道・ガスなどのインフラと同じく、警備員が安全と安心を提供するのは当たり前のことです。そのため警備員の監視不足や判断ミスなどの失敗によって、安全と安心が損なわれることは許されません。

財産など金銭的なものは保険がききますが、生命や身体は取り返しがつかないため責任は重大です。天変地異などの不可抗力に対しても、安全と安心を守る警備のプロフェッショナルとして被害が最小限になるよう、その責務を果たす必要があります。

人を守ると同時に、警備員自身も守らなくてはいけません。業務上、危険にさらされることが多いですが、それ以上に不注意による転倒などで労働災害になるケースも多いです。事故だけでなく、熱中症などにも注意する必要があります。

警備業務で失敗が起こったらどうなる?

■施設警備の場合

施設警備において失敗が起こると「犯罪」や「火災」につながります。施設警備における警備員の役割は「防犯」と「防災」です。強盗や万引き、放火、迷惑行為などを防ぐために立哨警備や巡回警備、出入管理などがあります。

監視不足や注意不足が、不審者や不審物を見逃す原因です。だらしない格好や態度での警備も、犯罪や火災に隙を与えます。ただし警戒が強すぎても、一般のお客様からクレームが来ることもあるのでバランスが大切です。

犯罪や火災を未然に防ぐことのほかに、それらが発生した際の対応も重要です。緊急の一次対応とともに、警察や消防、救急との連絡もスムーズでないと被害が広がります。これらの手際が悪い場合も、施設警備における失敗と言えるでしょう。

施設警備では転倒による労働災害が多いです。とくに夜間の巡回警備は足元が見えづらいので、段差などに注意する必要があります。階段は手すりを持って昇降しましょう。

■交通誘導警備の場合

交通誘導警備において失敗が起こると「交通事故」や「交通渋滞」につながります。交通誘導警備における警備員の役割は、人や車両を安全かつスムーズに通行させることです。監視不足や判断ミス、コミュニケーション不足などが事故の原因になります。

交通誘導の代表的なものに「片側交互通行」があります。単純なものなら2名、途中に進入路があるなど複雑なものなら3名以上の警備員で対応します。

この交通誘導において、車両を双方向から進入させてはいけません。止めるべき車両を監視不足で通過させたり、判断ミスで進めたりすると、正面衝突する恐れがあります。事故にならなくても、すれ違いができないため渋滞を引き起こします。

カーブや長い道路での片側交互通行だと、相手が見えません。トランシーバーでのやりとりになるので、コミュニケーション不足が事故につながります。

警備員は特別な権限がないので、強制的に人や車両を止めたり、進めたりできません。まわりの状況を判断して、上手に協力してもらう必要があります。手際が悪いとクレームにつながります。

交通誘導では転倒のほかに、交通事故や熱中症での労働災害が発生しています。交通誘導は安全な位置を選定することが重要です。工事車両のバックを誘導するときは真後ろに立たず、サイドミラーに映る位置で誘導しましょう。

熱中症は水分や塩分補給とともに、体調に異変を感じたら無理せずに救急車を呼ぶことも大切です。

■雑踏警備の場合

雑踏警備において失敗すると「群集事故(雑踏事故)」が起こります。雑踏警備における警備員の役割は、人の流れをコントロールし、群集密度を高めないことです。

群集密度3~5人/㎡以上の人の流れがある過密状態で、人が転倒したり押されたりすると「将棋倒し(ドミノ倒し)」になる可能性があります。群集密度10人/㎡以上の身動きが取れない状態では、人がしゃがんだり、うずくまったりすると「群集雪崩」が発生しやすいです。

最近の事故事例は、2022年10月29日に韓国で起きた「ソウル梨泰院雑踏事故」です。ハロウィンの仮装行列などで混雑するソウルの繁華街・梨泰院(イテウォン)で群集雪崩が発生しました。日本人2人を含む158人が犠牲になっています。

当時周辺に集まっていたのは10万人以上と言われていますが、雑踏警備の警察官は130人ほどで、警備体制の不備が指摘されています。

日本で最近の事故事例は、2001年7月21日に兵庫県明石市で起きた「明石花火大会歩道橋事故」です。最寄り駅と会場を結ぶ経路が歩道橋しかなく、双方向から群集が押し寄せ過密状態となり群集雪崩が発生しました。11人が犠牲となっています。

この事故でも警備体制の不備が指摘されています。事前協議が不十分で、15~20万人の予想参加者に対して雑踏警備要員は36名でした。

■ボディガードの場合

ボディガードにおいて失敗が起こると「傷害事件」や「死亡事件」になります。ボディガードの役割は警護対象者の生命と身体を守ることです。命が狙われるケースもありますが、交通事故や災害などから守る目的もあります。

2022年7月8日に起きた「安倍晋三銃撃事件」は世界に衝撃を与えました。場所は奈良県奈良市の近鉄大和西大寺駅北口。衆議院選挙の応援演説中、元内閣総理大臣の安倍晋三氏が凶弾に倒れました。

演説の場所は360度警戒が必要でしたが、背後を警戒する警備要員がおらず、犯人に隙を与えています。手製の銃だったため銃声と認識できず、ボディガードの反応も遅れました。警備業務の失敗が取り返しのつかないことにつながり、責任の重大さが示されています。

ミスを起こさないためのポイント

警備員は監視不足や判断ミスが命取りになります。頭を明晰に働かせ事故を未然に防止するとともに、緊急対応では機敏に動ける身体が必要です。万全の状態で警備するために、日頃から栄養や睡眠など体調管理を怠らないようにしましょう。

危険予知(KY)も重要です。その日の現場にどんな危険が潜んでいるか考えて、安全対策をシミュレーションします。たとえ慣れた現場や作業でも安全確認や周囲とのコミュニケーションを忘れず、決められたルールはきちんと守りましょう。

警備業務は危険を警戒する仕事でありながら、不特定多数の人を相手にするサービス業の一面があります。どんな状況であっても心を落ち着けてクレームのない対応ができるよう、警備員としての知識や技能をレベルアップさせていくこともポイントです。

まとめ

警備業務は生命・身体・財産を守り、人々に安全と安心を提供する重要な仕事です。警備業務の失敗は、取り返しのつかないことにつながる可能性があるため、その責任は重大です。

施設警備での監視不足は「犯罪」や「火災」につながります。防犯や防災がもっとも重要ですが、緊急対応における手際の良さも求められます。交通誘導警備での判断ミスが引き起こすのは「交通事故」や「交通渋滞」です。人や車両をスムーズに流せないとクレームになります。

雑踏警備で人の流れをコントロールできないと発生するのが「群集事故(雑踏事故)」です。発生すると多数の人が犠牲になります。ボディガードでは犯人に隙を見せると「傷害事件」や「死亡事件」となり、取り返しのつかないことになります。

頭と身体が万全の状態で警備できるよう、栄養や睡眠などの体調管理を怠らないようにしましょう。危険予知(KY)で現場の安全対策をシミュレーションすることも大切です。クレームのない対応のために、警備員としての知識や技能をレベルアップさせていくこともポイントになります。

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