警備員はいつでもマスクを着用すべきか?

2019年の12月ごろに発生したとされる新型コロナウイルスは、2020年に豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス号」の集団発生でその名前を知らしめるとともに、かたちを変えながら現在も世界中の人々を震撼させています。

日本ではコロナウイルスの予防にはマスク着用が最も効果的とされ、世界中がマスクをする習慣が当たり前となり、日本ではマスクをしない人たちが蔑視されるなど衣類の一部であるように定着しました。

ウイルス対策としてワクチンが開発され、それに伴って予防対策も緩和されつつあります。海外からの渡航者も増えるとともに、マスクの着用については厚生労働省が不要の場合も多いと報告されており、マスク着用については個人の意識レベルに委ねるところまできています。

では、多くの人々に接し、人々の命と資産および施設を守る警備員は、マスクの着用についてはどのように考えるべきか、現在の国の方針や世間の実状を踏まえて詳しく解説いたします。

目次

マスクの重要性

マスクの重要性は、やはりコロナウイルスやインフルエンザなど、風邪を含む飛沫感染症の予防および感染拡大に効果が大きいことにあります。

現在ではコロナウイルスの重傷者は減っているものの、根絶までには時間がかかるうえに、特効薬がない状況にあります。

加えてインフルエンザなどの感染症の拡大も心配され、重症化すれば命の危険や後遺症などに苦しめられることもあり、マスクによる予防は重要だと有識者の多くの方々も言及しています。

さらには感染してしまった場合には他に広げることを抑止する効果もあり、感染予防と感染拡大防止の観点から現在も日本では多くの人がマスクを着用しているのが現実です。

マスクを着用する警備員は?

警備業は大きく分けて4種類の業務がありますが、その全てが人に関わる業務であり、マスクの着用は悩むところです。

とくに施設内の巡回や出入り監視業務を行う施設警備と呼ばれる第一警備では、スーパーなどの商業施設などを担当することもあります。

他では屋外での巡回や、第二警備業務などの道路工事現場や駐車場における人や車の誘導時にマスクをするべきかも難しい問題です。これらの個々の問題について説明いたします。

施設警備

前述のように警備業務の中で最も人と接することが多く、それも近距離で話すことも頻繁にあるのが施設警備です。施設内には施設で働く従業員や、施設を訪れる人がたくさん往来し、飛沫感染症にかかるリスクが多いと考えられます。

また、夜間の勤務などでは交代で業務にあたることも多く、警備員同士が近距離で話したり仮眠をとったりすることもあります。

もし、一人がウイルスなどに感染してしまうと同僚までを巻き込む可能性が高く、ひいては施設全体のクラスターにもつながることも考えられるためマスクを外すことに抵抗を感じる人も少なくないのも事実です。

全国警備業協会では新型コロナウイルスの拡大を踏まえて警備員のマスク着用を推奨してきましたが、2022年の11月に新しいガイドラインが発表されましたので以下に掲載いたします。

勤務・教育

屋外では人との距離(目安2m)が確保できず、会話をする場合には、マスク着用に努めること。 屋内では、人との距離(目安2m)が確保でき、会話をほとんど行わない場合を除き、マスクを着用すること。マスクの着用に関して契約先関係者にもその旨の理解を得られるよう努めること。

休憩、仮眠等

使用する際は、入退室の前後の手指消毒を徹底する。食事、着替え、喫煙などでマスクを着用していない時は、会話を控え、会話をする場合は、マスクを着用することを徹底すること。喫煙を含め、休憩・休息をとる場合や飲食する場合には、距離 を確保し対面で座らないよう努めること。屋内休憩スペースについては、常時換気を行うなど、3つの密を防ぐことを徹底すること。 飲食時等、マスクを着装していない場合は、会話を控え、咳エチケットを徹底すること。

参考元:https://www.ajssa.or.jp/2022

上記のように施設警備にあたる場合のマスク着用の新しい方針が掲載されていますが、「マスクの着用に関して契約先関係者にもその旨の理解を得られるよう努めること」と最後にことわっていますが、契約する施設の管理者の理解を得られるように工夫をしなければいけません。

例えば、施設内の殆どの人がマスクを着用していたとすれば、その中を何度も巡回する警備員がマスクを着用しないのは非常に不自然です。

ガイドラインで曖昧な表現になっているように、マスクの着用はハッキリと決められるものではなく、その場の状況や雰囲気に合わせることが大切だという結論に至ります。

屋内での業務の場合

屋外の作業においても3密にならない場合はマスク着用の必要なく、一定の距離をおいていれば安全であるという考え方です。

これは厚生労働省にならうものですが、実際に制服を着た警備員としては、安全と安心を提供する業務であるという観点からすると、マスクをした方が一般の方にも安心感を与えることができると考えます。

マスクを外すことはできる?

職場の環境や人との距離によってマスクをしたり外したりということは、非常に煩雑で一緒に勤務する人たちの考え方もそれぞれですから、穏便に業務にあたりたいと考えるのであれば常時マスクを着用した方がよいでしょう。

屋外で密集しない場合

屋外で3密にならない場所ではマスクの着用の必要はないと専門家の方も断言しています。そうした場所での警備ならばマスクを外しても構わないというのが、警備業協会のガイドラインにも明記されています。

基本的には日常生活と同じ考え方ですが、警備会社としての方針や警備員としての自覚によって左右されるというのが現状です。

国および警備協会の見解としては、上記のガイドラインにあるように、人との距離を約2m以上保てる屋外ではマスクを外して作業ができ、会話をする場合にはなるべくマスクをするようにと書いており、感染予防もしながら快適に警備業務をおこなうことが重要です。

熱中症の危険のある現場

真夏などでは熱中症の危険があり、屋外業では人の目を気にしながらも自分の身を守る必要があります。

道路工事現場での誘導などでは路面の照り返しもあり、思わぬ暑さを我慢しながら業務を続ける必要があります。道路を通行止めにしない限り作業は続くため、いつもよりも倍以上の重労働になって非常に危険です。

ガイドラインの変更はそのためでもあり、周囲からの視線も感じますが自分の身は自分で守るしかありません。

そのためのガイドラインと考え、無理をしない程度でマスクの着用に努めていれば、周囲からの目線も気にせず、安全に警備作業が続けられるはずです。

周囲に我慢している方がいれば、声をかけてマスクを外して水分補給をするようにお互いに気遣うのが良いでしょう。

マスクの代わりになるものは?

マスクの代用品としてフェイスシールドなどがありますが、警備業務で使っているところはあまり見かけません。フェイスシールドなどマスクの代わりになるものの使い勝手はいかがなものか検証してみました。

フェイスシールド

警備員はヘルメットや帽子を着用して業務にあたるのが通常であり、それに加えてフェイスシールドも着用するとなれば、準備も大変なうえに巡回業務で視界をさえぎることや、重さや形によっては作業のジャマになることも多いのが現状です。

飛沫感染防止にはマスクと同等の効果を発揮してくれるフェイスシールドですが、警備員として使うには不都合な場面が多くなっています。

ただし、金品や貴重品などを運搬する第三号警備などでは、フェイスシールドは役に立つこともあります。現場や仕事の内容により、マスクではなくフェイスシールドを着用することで、周囲に安心感を与えるとともに感染症から身を守ることができます。

ガイドラインは努力目標、危険なときはマスクを外そう!

国が示す方針や警備協会が提示するガイドラインは、こうした方が良いだろうという指針となる努力目標というもので、決定事項でもなければ義務でもありません。

ただし、警備員は制服を着て安全を維持することが業務上の指名である以上、周囲の方々に不安をあおる行為は慎まなければいけません。

そうはいうものの、屋外などでの警備業務では自分の命の危険が伴うこともあり、国や警備協会でもマスクの着用についての緩和策を提示していますので、周囲に気を配りながら人々の安全を守るだけでなく、自分の命も大切にしてください。

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