近年、世界中でデジタル化やハイテク化が進んでいます。警備業界もデジタル化やハイテク化が波がきています。警備業界の進化のひとつに、防犯センサーや防犯カメラを用いた遠隔監視システム、機械警備業務があります。今回は、機械警備業務の説明をします。
機械警備とは?
機械警備業務は、防犯センサーや防犯カメラなどの機械を用いて警備をおこなう業務をさします。警備業には、対象施設の警備を行う第1号警備業務から、道路の交通誘導や大規模会場での通行整理を行う第2号警備業務、貴重品や現金輸送をおこなう第3号警備業務、要人の警護を主に扱う第4号警備業務まで大別されます。
機械警備業務は、第1号から第4号まである警備業務の中で、第1号警備業務、施設警備業務に分類されています。機械警備業務は、人や物の姿や声などに反応検知するセンサー技術の発展によって活用場所の広がりをみせてきました。機械による警備が広がる以前は、基本的にすべて警備員が施設内を定期的に巡回する方法で安全を守っていました。全て警備員が定期的に巡回をおこなうことで、事件の発生の抑止や事故に対する警戒や注意を行っていました。
警備環境も機械化が進んでいます。多くの警備対象施設で、施設内に設置された防犯センサーや防犯カメラが、24時間365日施設内に異常がないか、確認を行えるようになりました。防犯センサーや防犯カメラが人の動きを感知することで、監視センターへ連絡が自動的に入り、警備員が出動するようなり、効率的な警備体制がとれるようになりました。
機械警備の仕事の内容は?
機械警備の仕事の内容は以下となります。
・センサーからの異常検知時の緊急対応
・警備対象施設内の巡回監視
・銀行ATMなどの機会障害の対応
センサーからの異常検知時の緊急対応は、防犯センサーや監視システムが異常を感知した場合に、現場へ急行する業務となります。
防犯センサーや監視システムからの異常検知のアラートがあがるまで、原則、警備員は待機をします。待機場所は事務所の場合もあれば、警備移動車の中の場合もあります。警備員は、待機中は、いつアラートが検知されて、出動できるように緊張感をもって待機する必要があり、他の監視カメラの監視や事務作業などを行います。
警備対象施設内の巡回監視は、警備対象となる施設内や施設外を巡回警備することを指します。警備車両を用いて施設周囲を巡回し、不法侵入や不審な行動者を発見すると迅速に対応し、場合によっては警察へすみやかに連携します。
駅やコンビニエンスストアなどに設置されている銀行ATMなどの機会障害の対応は、最近街中でよく見られるようになりました。機械警備の警備員は、銀行ATMだけでなく、コインパーキングの集金機器などの故障対応も行います。ATM利用中の故障対応は、紙幣のつまりなどが発生した場合、監視センターにて、ATM内に設置したカメラの状況と利用者の申告を確認の上、故障したATMへ急行指示をします。
現地到着後、機械に詰まっている紙幣を取り除き、お客さまへ返却を行う作業を行います。コインパーキングの警備も同様に、駐車車両を止めているゲートが開かなくなった場合や釣り銭がでなくなった場合、監視センターより連絡をうけ現場へ急行し、機械の修理や金額の返却を行います。次に、どのような警備システムが用いられているのか説明します。
・監視カメラ
・赤外線センサー
・熱感知器
・ガラス破壊センサー
・マグネットセンサー
・シャッターセンサー
監視カメラは、カメラを警備対象施設に設置し、カメラに不審者など異常があれば現場へ急行します。赤外線センサーは、施設内の通路や扉などにセンサーを設置し、施設内への侵入者がセンサーに触れることで、異常を検知するようになっています。防犯カメラと同様に異常を検知した場合、警備員が現場へ急行します。
ガラス破壊センサーは、施設のガラスが破壊された場合にセンサーが反応しアラートが通知されます。通報に従い現地へ向かいます。熱感知器は、主に火災に対する予防対応となります。施設内の温度が、設定以上になった場合にアラートが上がる仕組みになっており、火災の早期発見に役立ちます。
マグネットセンサーやシャッターセンサーなども開発されています。マグネットセンサーは、窓や扉にマグネットを設置し、設定時間以外に開閉されるとマグネットが反応して、アラートが上がる仕組みとなっています。シャッターセンサーは、施設やビルに設置しているシャッターに取り付けられたセンサーにより、不可解な開閉が行われた場合に通知が行われる仕掛けとなります。近年ではドローンの監視カメラを用いた監視もはじまっており、空中からより広い視野での機械監視も可能となってきます。
機械警備のメリットとは?
機械警備のメリットにはどのような点があるのでしょうか?
機械警備によるメリットは、まず人件費を抑制できる点があげられます。大規模な商業施設やオフィスビルなどの場合、警備員だけで24時間365日監視を行おうとすると警備員の配置も多くなります。その点、機械警備の場合は、監視カメラやセンサーが常時見張っている状況のため、一つの施設で必要となる警備員の数を抑制できます。
また、警備員にとっても、日中夜間の巡回監視業務は常に歩き続ける業務のため、体力を使います。その点、体力の消費が少なく、維持のためにも機械警備は有効な手段となります。現在、警備員の約30%が60歳以上となっています。日本全体が少子高齢化に向かっていますので、今後も仕事を行う人の高齢化は避けることはできません。警備業も例外なく、今後も高齢化が進むことが予想されます。機械警備の利点を今後より活かしていく必要があるでしょう。
機械警備を導入するオフィスビルや商業施設にとっても、多数の警備員を発注するより、機械警備を利用した方が、人件費のコスト削減になり、トータルの警備費用の削減効果を得られるメリットもあります。センサーやカメラは24時間364日稼働しても疲れることはありません。どうしても人間であれば、夜勤時の疲労やミスによる見逃しなどが発生してしまうリスクがあります。防犯センサーや監視システムを用いる機械警備は、その心配は原則ありません。その点も大きなメリットといえるでしょう。
機械警備は、警備業界のデジタル化、ハイテク化が進む中で導入事例が年々増えてきています。警察庁の調査によると、機械警備業務の対象施設は2021年度には320万カ所を超え、年々増加しています。機械警備の導入は、コスト削減効果だけでなく、体力をあまり使わない業務としてシニア世代の警備員の方にとっても大きなメリットをもたらしてくれます。
今後は、ドローンだけでなく、AIの本格導入もはじまれば、不審者の画像自動認識などあらゆる警備の場面での応用ができるようになります。警備業界の市場規模は現在約3.5兆円となっており、今後ますます、拡大が予測されている警備業界です。機械警備もオフィスビルなどの大規模施設から今後家庭や地域のセキュリティまで広がっていくでしょう。
まとめ
機械警備は、体力に少し自信がない方も戸惑うことなく勤務開始できます。
警備業界未経験の方でも機械が支援してくれ、より働きやすくなります。求人サイトで警備会社の詳細を確認してみることをおすすめします。
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