警備員の業務の種類として「施設警備」があり、警備する施設としては商業施設やオフィスビルなど大型の建物があげられます。
そのほか、施設警備で学校の警備を行うことがあります。警備員によって学校の警備が行われれば、児童や生徒が安心して学校生活を送れるほか、学校の設備や資料など、学校が保管している重要なものも守られやすい点もメリットです。
学校に配置される警備員はどのような業務を行っているのか、という点について説明します。
学校における警備員の配置状況
はじめに、学校における警備員の配置状況についてみていきます。
なお、小学校・中学校・高校に関しては、学校に警備員が配置されている割合について、厚生労働省のデータを参照しながら全国の学校、公立学校、私立学校別に紹介します。
小学校・中学校・高校における警備員の配置状況
小学校・中学校・高校における警備員の配置状況については、文部科学省が公表している「学校安全の推進に関する計画に係る取組状況調査(平成30年度実績)」を参照します。
なお、この数値には夜間警備とボランティアによる巡回は含まれません。
全国の学校
・小学校:8.5%
・中学校:9.3%
・高校:19.4%公立学校
・小学校:7.6%
・中学校:5.0%
・高校:10.1%私立学校
・小学校:60.5%
・中学校:56.0%
・高校:41.7%出典:文部科学省 学校安全の推進に関する計画に係る取組状況調査(平成30年度実績)
https://www.mext.go.jp/
公立学校では、日中も警備員が常駐しているケースは少ないですが、私立学校では小学校と中学校の半数以上で警備員が日中も常駐しています。
児童や生徒の安全を守るためには、警備員が日中も常駐していることが望ましいといえますが、公立学校では予算の都合上、日中に警備員を常駐させることが難しい状況となっています。
しかし、公立の学校では児童や生徒の安全を確保するために、自治体が学校警備の予算を出して、警備員を配置している事例もあります。
なお、上記の数字は夜間警備が含まれていないため、夜間警備のために警備員を配置している学校も含めると、数値は増えるものとみられます。
大学における警備員の配置状況
大学は研究に関する資料やデータ、蔵書など重要なものが数多く保管されています。これらを不審者から守るために、多くの大学では警備員を配置しています。
なお、警備員に関連する職務として「守衛」があります。警備員は警備会社から派遣されて施設の警備を行うのに対し、守衛は施設の管理者に直接雇用されて警備を行います。
大学によっては、警備員ではなく守衛が警備を行うことがあります。守衛は、雇用されている大学の警備のみを行うため、内部の事情にくわしいこともあり、より質の高い警備を行えます。
学校の警備員の仕事とは
学校の警備員の仕事として主なものをあげると、下記の通りとなります。
・学校周辺の見回り
・遺失物の対応
・登下校時の安全確保
それぞれの業務について説明します。
学校周辺の見回り
警備員は、学校に通う児童や生徒、学生の安全を守るために、学校周辺の見回りを行います。
見回りを定期的に行っていれば、不審者は学校への侵入をためらいやすくなります。そのため、学校周辺の見回りは、校内を安全な状態を保つためにも重要な業務といえます。
また、学校周辺の見回りは、日中に限らず夜間に行われる場合もあります。夜間に見回りを行う理由としては、学校に保管している貴重な資料などを不審者から守るためです。
特に、大学では研究に関する資料や蔵書が多数保管されているため、これらを守るためにも定期的な巡回が欠かせません。
しかも、夜間は人目に付きにくく、不審者に侵入されやすくなることから、警備員は夜間も見回りを行っています。
遺失物の対応
警備員は遺失物の対応を行うことがあります。なお、遺失物とは落とし物のことです。
学校内での警備中に遺失物を見つけた場合は警備員が預かることが多く、持ち主が現れた場合は警備員が持ち主に遺失物を返します。
なお、学校内で遺失物を見つけた場合、正式には警備員ではなく学校側が遺失物を預かるルールとなっています。なぜなら、遺失物が見つかったのは学校内であるためです。
しかし、学校側としては学校としての業務に専念したいため、警備員が配置されている学校に関しては、遺失物の対応は学校側が行わず、警備員にまかせることが一般的となっています。
ただし、警備員が遺失物の対応を行うかどうかは、学校の判断によります。学校側が警備員に対して遺失物の対応をまかせると決めた場合は、遺失物の対応は警備員が行います。
登下校時の安全確保
そのほか、警備員は児童や生徒が安全に登下校できるように、登下校時の安全確保を行います。
一例をあげると、交通量の多い交差点を通学する児童や生徒が道路を渡りやすいように、警備員が交差点で子供たちの通行をサポートします。
また、最近ではスクールバスを使って登校するケースも増えています。スクールバスの乗り場で警備を行うことで、児童や生徒が安全にバスに乗ることができます。
普段の登下校では、児童や生徒が危険に巻き込まれることはほとんどありませんが、危険に巻き込まれる可能性はゼロとは限りません。
その可能性を限りなくゼロに近づけ、安全で安心な状態で登下校をするためには、警備員による警備が効果的といえます。
公立学校で警備員の配置が増えている理由とは?
公立学校で警備員の配置が増えている理由は、児童や生徒が登下校中に何らかのトラブルに巻き込まれる可能性があり、児童や生徒を守る必要があるためです。
先述した通り、警備員は私立の学校ほど配置されている割合が高く、公立の学校ほど配置されている割合は低くなっています。
公立学校で警備員を配置できない要因としては、学校運営の費用が税金でまかなわれており、警備員を配置するための費用の工面が難しい点があげられます。
しかし、現在では児童や生徒を不審者から守るという観点から、警備員を配置する公立の学校も増えています。
特に、学校での不審者対策を十分に行いたいと考える自治体を中心として、児童や生徒の安全を守るために自治体で学校警備の予算を計上して警備員を配置する事例もみられます。
学校に警備員を配置することは、予算の面で難しいかもしれません。しかし、児童や生徒が学校生活を安全に送ることを考えると、警備員を配置するための予算を捻出することも必要といえるでしょう。
まとめ
学校内を警備する警備員は、校舎内や学校の屋外など、学校周辺の警備を重点的に行っています。
そのほかにも、遺失物の対応や登下校の安全確保など、児童や生徒が安全・安心な状態で学校生活を送れるように、さまざまな業務にもたずさわります。
また、大学は校内が広いこと、そして、研究に関する資料などが数多く保管されており、警備の必要性が高いことからほとんどの大学で警備員が配置されています。
小学校・中学校・高校では私立の学校ほど警備員が配置される割合が高い一方で、公立の学校は警備員が配置される割合が低くなっています。これは、公立の学校が警備に予算をかけられない点が関係しているとみられます。
しかし、児童や生徒の安全を守るという観点から、自治体が学校警備の費用を計上して、公立の学校で警備員を配置している事例もあります。
警備員は、日夜を問わず学校の警備を行い、学校の安全を守っています。
(画像は写真ACより)
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