建築現場や道路工事などで、車両を交通誘導する業務をしているのが交通誘導警備員です。その他にもイベントなど車両や人が多く集まる現場において、歩行者の安全確保といった幅広い業務があります。
交通誘導警備員になるために、特別な資格は必要ありません。警備業務未経験でも、警備会社にて新任研修を受けると警備員として働くことができます。
交通誘導警備員は、安全に車両や歩行者を誘導するためには、道路交通法や車両誘導方法などを学ぶ必要があります。交通誘導に関する正しい知識や技能を身につけることができるのが、交通誘導警備検定2級の資格です。
ここでは、交通誘導警備業務検定2級とは何かと試験内容と合格率について解説します。また、交通誘導警備検定の資格を取得するメリットも合わせて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
交通誘導警備業務検定2級とは?
高速道路や国道、一般道などで車両誘導や歩行者の安全確保をする業務を行うのが交通誘導警備員です。警備業法にて交通誘導における資格配置基準を定めています。
特に、高速道路や交通量が多い国道などで交通誘導をする際には、交通誘導警備業務検定2級以上の資格保有者を1名以上配置する義務があります。また、都道府県によって、一般道でも交通量が多い道路工事や建設現場においても、有資格者が業務にあたる場合も多いです。
もちろん、交通誘導警備員は資格がなくても働くことが可能です。しかし交通誘導警備員は、車両を誘導する際に誘導ミスで大きな事故をまねく、事故に巻き込まれるなどのリスクがあります。交通渋滞や事故を未然に防ぐためには、車両誘導するための専門的な知識や技能を身につけることが必要です。
また、警備員自身も安全に誘導するために、周辺の交通状況を把握して危険予知を心がけることで、事故のリスクを回避できます。そして交通警備員は、警備現場の周辺の安全を確保して、スムーズに車両を誘導することが求められます。
交通誘導警備員は、ドライバーに協力してもらうために、状況に合わせて丁寧な誘導を心がけることが必要です。交通誘導に関する知識と技能を磨くためにも、交通誘導警備検定2級の資格取得を目指すことをおすすめします。
交通誘導警備業務検定2級を取得するメリット
交通誘導警備業務検定2級では、道路交通法など安全に車両誘導するために必要な知識や技能を学ぶことができます。また、警察への連絡や負傷者の搬送などを実技で身につけることができるので、万が一事故がおきても適切に対処できます。
交通誘導警備員は、工事現場の規模によりますが、警備員が1~2名で配置することも珍しくありません。そのため、交通誘導に必要な道路交通法や事故発生時の対応、工事現場での対面通行要領などを身につける必要があります。そして、事故の発生するリスクを考えることで、安全に誘導できるのです。
その他にも、商業施設やショッピングセンター、イベントなどで車両や自転車、歩行者が安全を守ります。警備員は、事故を未然に防ぐために周囲に目を配り、必要に応じた誘導を行うことが大切です。
警備会社のほとんどが、建設現場や道路工事などの警備に対応していることが多いので交通誘導警備の資格保有者の需要は高いです。また、警備会社によっては、資格手当を付与している場合もあり、給与アップも期待でき、転職にも有利になります。
交通誘導警備員として働くにあたってメリットが多いので、将来のキャリアアップのためにも取得しておきたい資格です。
交通誘導警備業務検定2級の試験内容と合格率
交通誘導警備員には、どのような試験内容なのか知らない方が多いと思います。ここでは、交通誘導警備業務検定2級の受験資格や試験内容、合格率についてまとめました。
警備業務検定の受験資格は、満18歳以上であり警備会社の新任研修を受けた警備員です。基本的には、交通誘導警備業務の経験がなくても受験は可能です。
交通誘導警備業務検定2級は、学科試験と実技試験の2つの試験があります。学科と実技の両方とも合格基準をクリアする必要があり、100点満点中90点以上で合格です。それぞれの試験において、どのような試験内容なのかを見ていきましょう。
学科試験は、警備業務に関する事項や警備法令、道路交通法、救急法などが出題されます。まずは、教本を一通り読んでから、過去問題集にて出題傾向に慣れておくことが必要です。警備業法や法令など引っかけ問題も出ますので、しっかりと試験対策して本番に臨みましょう。
一方、実技試験では6項目が出題されます。100点満点の減点方式で採点されて、90点以上が合格基準です。試験項目ごとに制限時間が設定されていますので、時間内に終わらせるようにしてください。
実技試験で出題される項目は以下の通りです。
・大旗による基本の合図要領
・車両の後進誘導
・事故現場の二次災害防止要領
・負傷者の搬送要領
・警察機関等への連絡要領
・徒手による護身術
事前に渡される実技資料は、一通り目を通して項目ごとに試験の概要を把握しましょう。特に、大旗による基本の合図要領や事故現場の二次災害防止要領は、実技資料で文言と試験の流れをしっかりと理解します。
大旗や警笛など、警備用具の正しい使用方法や動作を体で覚えることが大切です。また、車両の後進誘導では、試験の補助員が車両を運転して後進しますので、受験者は正しい誘導方法を身につけるために練習しましょう。実技練習の際には、検定合格者の先輩警備員の協力をお願いして試験対策をしてくださいね。
実技試験は、車両を利用して誘導しますので、ある程度広い場所で試験本番に状態にして練習することが必要です。そして特別講習で、試験の流れや注意事項、減点項目などをしっかりと把握して自信をもって臨みましょう。
令和3年の合格率は、修了考査66.4%、再試験44.9%です。平成18年1月から令和3年12月までの累計合格率は、修了考査で59.4%、再試験で46.0%でした。
修了考査と再試験において、他の警備業務検定と比較して合格率が低い傾向にあります。実技試験で合格基準を達していても、学科試験で落としてしまうことが多いようです。合格率が低くても、教本で要点をつかんで、過去問題を何度も解くといった対策をすれば合格を目指せます。
まとめ
交通誘導警備員は、工事現場や建設現場、イベント会場での交通誘導など幅広い業務があります。警備業務の経験がなくても、交通誘導警備員として働くことは可能です。しかし、交通誘導警備業務検定2級を取得することで交通誘導に必要な知識や技能を身につけることで、車両や歩行者を安全に誘導できます。
特に、高速道路や国道、車両が多い一般道などでの道路工事において交通誘導警備には、有資格者を1名配置する義務があるのです。そのため交通誘導警備員は、交通誘導警備の資格を保有することで幅広い業務に従事できます。
検定試験内容は、交通誘導警備に関する事項や関係法令、救護法などが問われる学科試験と大旗による基本合図の要領、車両の後進誘導、負傷者の搬送などの実技試験があります。実技は、資料だけではイメージしにくい項目があるので、資格合格者の先輩警備員などに協力してもらい、しっかりと試験対策しましょう。
平成18年度から令和3年度までの累計合格率は40~50%となり、他の警備業務検定より低い傾向にあります。交通誘導警備検定は、教本でポイントをつかんで効率よく勉強することで合格できる試験です。
今後は、交通誘導警備の需要は増えていくので、警備員として資格取得を目指す方は、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
(画像は写真ACより)
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