はじめに
世の中には資格を持っていないとつけない職業が多くあります。医師、気象予報士、看護師などの職業は資格がないと仕事ができません。
では、警備員はどうでしょうか。警備員は資格がないとできないのでしょうか。
結論から言うと、全ての警備員に資格が必要であるというわけではありません。無資格でも警備員の仕事を行うことができます。
しかし、警備業法によっていくつかの要件が設けられているほかに、法定研修、実地研修をうけなければなりません。
警備員が資格を持っていれば従事できる業務
先ほど述べたように警備員として働くためには必ずしも資格は必要ありません。
しかし、これから将来にわたって、警備員としてスキルアップを目指しているのならば、資格を取得して、資格保有者でしか行うことができない仕事を探すことをおすすめします。資格保有者にしかできない警備の仕事であれば、より良い待遇が望めるでしょう。
駐車監視員(国家資格)
駐車監視員は、駐車が認められていない箇所で車が駐車されていないかどうかを見回るお仕事です。もともとは駐車違反の車を検挙するのは警察の仕事でしたが、道路交通法が改正され新しくできたお仕事です。
お仕事の内容は、駐車禁止場所に違法駐車されている車の確認を行い、確認標章の貼り付けを行います。駐車の状況を記録したり、写真撮影などを行い、管轄の警察署長に報告します。
放置車両の持ち主への放置違反金納付命令や、交通反則切符の交付などは行いません。駐車監視員になるためには駐車監視員資格者という資格が必要となります。
駐車監視員の資格をとるためには、警察が行っている駐車監視員資格者講習に参加する必要があります。講習に参加し、道路交通法などの各種法令、放置車両の確認方法などを学習します。
講習参加後に行われる修了考査に合格後、駐車監視員資格者講習修了証明書が与えられ、資格者証の申請を経て駐車監視員となることができます。受講、受験にかかる費用は20000円です。また、資格者証の発行に9900円かかります。
列車見張員(民間資格)
列車見張員は、線路の中や線路近辺で作業や工事などを行う時に、電車が近づいてこないかどうかを監視するお仕事です。作業や工事などが行われるのは電車が通過する非常に危険な場所であるため、資格保有者しか配置ができません。
列車見張員が配置されるのは、線路の工事や点検、看板の設置、駅舎の修繕等の現場です。作業員の安全を守ることが第一のお仕事ですので、電車の接近を確認しやすい所から遠方を見張ります。
列車見張員のお仕事は未経験でも募集している会社があります。未経験で会社に応募し、勤務しながら列車見張員の資格を取得することが可能です。
資格取得には、日本鉄道施設協会、もしくは鉄道電業安全協会が行う講習に参加し、検査と試験に合格しなければなりません。個人申し込みは不可能なので、警備会社を通じて申し込みます。
講習では保安と実技について学びます。検査は学力、実技、運転適性について行われます。これらに合格すると資格の認定証の交付を受けることができます。
小型船舶操縦士免許(国家資格)
国内でモーターボート、水上オートバイや漁船等の小型船舶の船長になるためには、小型船舶操縦士免許が必要です。免許の種類には3種類あります。
一つ目は一級小型船舶操縦士です。船長として乗ることができる船の大きさは、総トン数20トン未満、もしくは条件を満たしている24メートル未満の船です。航行できる範囲には制限がありません。免許を取得できる年齢は、満18歳以上です。
二つ目は二級小型船舶操縦士です。船長として乗ることができる船の大きさは、総トン数20トン未満、もしくは条件を満たしている全長24メートル未満の船です。航行できる範囲は平水区域及び海岸から9キロメートル以内です。免許を取得できる年齢は、満16歳以上です。
三つ目は特殊小型船舶操縦士です。船長として乗ることができる船は特殊小型船舶です。水上オートバイといわれる船のことをいいます。航行できる範囲には制限はありません。免許を取得できる年齢は、満16歳以上です。
海上特殊無線技士免許(国家資格)
無線従事者のひとつで、船舶職員としてレーダーの取り扱いやVHF無線電話装置等を操作することができる資格です。
現代では携帯電話を所有している人がほとんどですが、携帯電話の電波は海上では近辺までしか届かないため、通信を行うためには無線設備が必要となります。船舶に搭載した無線設備の取り扱いを行うのが、海上特殊無線技士です。
海上特殊無線技士は、第一級、第二級、第三級、レーダー級の4つに分類されています。
第一級は無線電話での国際通信を行うことが可能です。また海外の200海里水域において、出入国の報告や港務通信の設定・通信を行うことができます。
第二級は日本の沿岸部や近海で無線電話やFAXの取り扱い、レーダーの操作を行うことができます。10W以下の無線設備では1606.5kHzから4000kHzまでの周波数を使用するもの、50W以下の無線設備で25010kHz以上の周波数を使用するものの取り扱いを行うことができます。
第三級は第二級と同じように、日本の沿岸部や近海において無線電話やFAXの取り扱い、レーダーの操作を行うことができます。5W以下の無線設備25010kHz以上の周波数を使用するものの取り扱いを行うことができます。
レーダー級とは、海岸局、船舶局などのレーダーの外部転換装置で、電波に影響を与えることがないものの取り扱いを行うことができます。
警戒船業務講習、警戒船管理講習(国家資格)
船舶が海上で工事や作業を実施する際に、作業中の船舶の近辺を通過する船舶や工事を実施する船舶の危険を回避するための警戒船に乗船している職員や管理者にとって必要な知識、技術を身につけるための講習です。講習は業務講習と管理講習にわかれています。
業務講習は、警戒業務を専門に行う人(専従警戒員)を対象に行われています。海上衝突予防法、海上交通安全法、港則法などの法律を学習します。海上や河川で船舶が航行を行うために必須の知識です。
乗船する警戒船の任務について、警戒船業務、基本事項、業務実施前の遵守事項などについて学習します。警戒船がどういった役割を務めるのか、業務前に確認しておかないといけないことは何があるのかを身につけていきます。
警戒業務の実施方法として、工事作業実施時の警戒方法、移動工事作業の警戒方法、運航を中止する基準などについて学習します。実際に警戒船がどのようにして船舶の安全を守っていくのかについて身につけていきます。
緊急時の措置方法として、接近してきた船舶に対する措置、船舶事故がおきた時の対応方法について学習します。異常事態が発生しないために周囲を警戒するのが警戒船の務めですが、万が一異常事態が発生してしまった場合の対処法について身につけていきます。
管理講習は、警戒業務管理者と警戒業務管理補助者を対象にした講習です。海上衝突予防法、海上交通安全法、港則法などについて学習します。船舶が事故をおこすことなく、安全に河川、海上を航行するために必須の知識を身につけます。
警戒業務管理者の職務について学習します。管理者としてどのように船舶の安全を守るのかを身につけます。警戒業務の管理体制、警戒業務の管理方法、警戒船の配備隻数の原則などについて学習します。警戒船をまとめる立場としてどのような管理方法があるのか、実際の現場で警戒船の配備隻数等を身につけます。
まとめ
いかがでしたか。警備員の仕事とは異なりますが、作業員を危険から守ること、航行の安全を守ることという点では警備員の仕事と似ているかもしれません。
いずれの資格、講習も特段に難易度が高いというわけではありません。国家資格や、作業上現場で必ず必要とされる資格であるものばかりなので、今後スキルアップを考えている方は検討してみてはいかがでしょうか。
新しい別の仕事に挑戦してみたいという方にとっては役立つでしょう。
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