警備業務検定とは?種類や内容について解説

目次

はじめに

警備員の資格として代表的なものに「警備業務検定」があります。この資格を持った警備員がいないと警備業務を実施できない現場もあるため、多くの警備会社が資格取得を支援しています。警備員にとっても収入アップや昇進につながる資格です。警備業務検定について、その種類や内容を解説します。

警備業務検定とは

警備業務検定とは、警備員として一定以上の知識と技能があることを公的に認定する国家資格です。警備業法と国家公安委員会規則第二十号「警備員等の検定に関する規則」によって定められています。

2005年の警備業法改正により、検定合格警備員の配置を義務づける基準が設けられました。そのため、この資格を持った警備員がいないと警備業務を実施できない現場が多数あります。

警備会社の多くは資格取得を支援したり、資格手当を出したりして有資格者を増やそうと努めています。警備員として活躍できる現場が増えるとともに、収入アップや昇進も期待できるのでスキルアップとして最適な資格です。

2021年12月末時点で、級や種別を問わず何らかの検定合格証明書を保有している警備員数は164,780人でした。同時点での警備員総数は589,938人なので、警備員の27.9%が警備業務検定の有資格者となっています。

警備業務検定の種類

警備業務検定は業務種別により6種類あり、それぞれ1級と2級があります。1級は大規模な現場を管理・監督するときに必要です。有資格者数は2021年12月末時点の数値になります。

■施設警備業務検定

警備業務対象施設における破壊などの事故を警戒・防止する業務のために必要な知識と能力を問う検定です。

・有資格者数:1級10,667人、2級50,068人
・2021年合格者数:1級521人、2級3,395人

■空港保安警備業務検定

飛行場における航空機の強取などの事故を警戒・防止する業務(航空機に持ち込まれる物件の検査にかぎる)のために必要な知識と能力を問う検定です。

・有資格者数:1級3,949人、2級5,911人
・2021年合格者数:1級599人、2級1,037 人

■交通誘導警備業務検定

人または車両の通行に危険のある場所における負傷などの事故を警戒・防止する業務(交通誘導にかぎる)のために必要な知識と能力を問う検定です。

・有資格者数:1級5,541人、2級 78,897人
・2021年合格者数:1級119人、2級6,284人

■雑踏警備業務検定

人の雑踏する場所における負傷などの事故を警戒・防止する業務(雑踏整理にかぎる)のために必要な知識と能力を問う検定です。

・有資格者数:1級6,462人、2級28,284人
・2021年合格者数:1級244人、2級1,259人

■貴重品運搬警備業務検定

現金・貴金属・有価証券・美術品などの運搬中における盗難などの事故を警戒・防止する業務のために必要な知識と能力を問う検定です。

・有資格者数:1級3,634人、2級20,988人
・2021年合格者数:1級30人、2級1,272人

■核燃料輸送警備業務検定

核燃料物質などの運搬中における盗難などの事故を警戒・防止する業務のために必要な知識と能力を問う検定です。

・保有者数:1級178人、2級738人
・合格者数:1級0人、2級3人

警備業務検定の受験方法

警備業務検定の受験方法は、以下の2つです。

・都道府県公安委員会による「直接検定」(略称は「直検」)
・国家公安委員会の登録を受けた登録講習機関による「特別講習」

■直接検定

都道府県公安委員会による直接検定は、学科試験と実技試験によっておこなわれます。1日で両方終わるところもあれば、学科と実技は別日で2日かかるところもあります。

受験資格は以下のとおりです。

・申請者の住所地もしくは所属する警備会社の所在地が受験する公安委員会の都道府県にある者

・1級の検定は、受験する種別の2級合格後に、その種別の警備業務に従事した期間が1年以上ある者(もしくは公安委員会が同等以上の知識と能力を有すると認めた者)

学科試験は五肢択一式の20問です。100点満点中90点以上(18問以上正解)で合格となります。時間は60分です。学科試験に合格したら、実技試験に進めます。

実技試験は複数の実技科目があります。各実技科目開始前に、内容が示された「状況想定文」を読んでから実技に入ります。採点は100点満点からの減点方式です。1科目終了ごとに点数が発表され、90点以上あれば次の実技科目に進めます。すべての実技科目終了時に90点以上あれば合格です。

合格率は公表されていませんが20~40%とされています。難易度は非常に高いです。採点が厳しいため、警備員の指導者クラスでも受かるのが難しいという声もあります。

検定料は1級・2級ともに以下のとおりです。

・施設警備業務検定:16,000円
・空港保安警備業務検定:16,000円
・交通誘導警備業務検定:14,000円
・雑踏警備業務検定:13,000円
・貴重品運搬警備業務検定:16,000円
・核燃料物質等危険物運搬警備業務検定:16,000円

■特別講習

国家公安委員会の登録を受けた登録講習機関による特別講習は、修了考査に合格することで都道府県公安委員会による学科試験と実技試験が免除されます。

登録講習機関は、以下の3機関です。

・一般社団法人警備員特別講習事業センター(空港保安警備業務検定は除く)
・有限会社航空保安警備教育システム(空港保安警備業務検定のみ)
・特定非営利活動法人警備人材育成センター

特別講習は、受講資格によって以下の3コースがあります。

・警備員を対象にした1級の講習(受講する種別の2級合格後に、その種別の警備業務に従事した期間が1年以上ある者)
・警備員を対象にした2級の講習
・警備員になろうとする者を対象にした2級の講習

警備員を対象にした講習は、1級・2級ともに2日間の日程です。学科講習が7時限、実技講習が5時限、修了考査が4時限あります。警備員になろうとする者を対象にした2級の講習は、6日間の日程です。学科講習が28時限、実技講習が14時限、修了考査が4時限あります。1時限は50分です。

修了考査は、学科試験と実技試験があります。

学科試験は五肢択一式の20問です。100点満点中90点以上(18問以上正解)で合格となります。実技試験は6科目100点満点で、90点以上で合格です。難易度は直接検定にくらべて低く、合格率は60~80%です。

不合格の場合は講習会受講証明書が発行され、交付日から1年にかぎり1回だけ「再講習」を受講できます。再講習は学科講義と実技講習を2時限受講した後、修了考査がおこなわれます。この再講習でも不合格になると、また本講習から受け直さなくてはいけません。

講習料は以下のとおりです。空港保安警備業務検定のみ講習料が違い、カッコ内の料金になっています。

・警備員を対象にした1級・2級の講習:33,000円(55,000円)
・警備員になろうとする者を対象にした2級の講習:79,200円(104,500円)
・すべての再講習:13,200円(11,880円)

直接検定でも特別講習でも合格後は、都道府県公安委員会に合格証明書の交付申請をしなければいけません。合格証明書の交付を受けないと有資格者にならないので注意が必要です。

まとめ

警備業務検定とは、警備員として一定以上の知識と技能があることを公的に認定する国家資格です。警備業務検定は業務種別により6種類あります。それぞれ1級と2級があり、1級は大規模な現場を管理・監督するときに必要です。

警備業務検定の受験方法は、都道府県公安委員会による「直接検定」と国家公安委員会の登録を受けた登録講習機関による「特別講習」があります。

直接検定は学科試験と実技試験があり、それぞれ100点満点中90点以上で合格です。採点が厳しく、難易度は非常に高いです。合格率は20~40%とされています。

特別講習は修了考査として学科試験と実技試験があります。それぞれ100点満点中90点以上で合格ですが、難易度は直接検定にくらべて低いです。合格率は60~80%となっています。

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