警備員からのキャリアアップの資格としておすすめの1つが「消防設備士」の資格です。消防設備の定期的な点検や整備は法で定められているため、需要が無くなることのない仕事です。
資格の種類も全部で13種類あり区分毎に業務範囲も異なるため、資格試験を区分別に順々に取得していくことで更なるキャリアアップを狙っていくことが出来ます。
今回の記事では
・消防設備士の仕事
・消防設備士を警備員が取得するメリット
・消防設備士の試験内容と合格率
以上の内容についてまとめてありますので、警備員からのキャリアアップとして消防設備士が気になっている方はぜひ最後まで読んでいってください。
消防設備士とは?資格の概要や警備員が取得するメリットを解説!
消防設備士は
・消火設備(消火器やスプリンクラーなど)
・警報設備(自動火災報知設備など)
・避難設備(救助袋など)
の設置工事や点検整備を行うことの出来る国家資格です。
甲種と乙種の2種類があり、いずれの種類も消防設備の整備および点検が出来ますが、甲種は工事も行うことが出来る一方で、乙種は工事は出来ません。
甲種6種類、乙種7種類の全部で13種類の区分に分かれています。警備会社としても消防設備士の資格を求めている会社は多くあり、警備機器と消防設備機器の連携や、警備担当の建物の消防設備(火災報知器など)の故障対応など、警備員と消防設備士の資格は比較的近い関係にあります。
ここからは、消防設備士について
・消防設備士の詳しい仕事内容
・消防設備士を警備員が取得するメリット
・消防設備士の試験内容と合格率
について見ていきます。
消防設備士の仕事内容
甲種、および乙種の各区分によって職務内容が異なります。ここでは、区分毎に細かく見ていきましょう。
甲種特類
特殊消防用設備等(総務大臣が、従来の消防用設備と性能があると認定した設備)
甲種または乙種1類
屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、屋外消火栓設備、パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備、共同住宅用スプリンクラー設備
参考元:https://www.shoubo-shiken.or.jp/shoubou/
消火栓やスプリンクラーなど、主に「水」に関連する消火設備を担当します。
甲種または乙種2類
泡消火設備、パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備
参考元:https://www.shoubo-shiken.or.jp/shoubou/
泡消火設備は、駐車場などの「水による消火では効果が少ない」または「水による消火だと火災が拡大してしまう」ような場所に設置する設備です。設置場所はあまり多くないため、1類と比較すると需要は少なめです。
甲種または乙種3類
不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備、パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備
参考元:https://www.shoubo-shiken.or.jp/shoubou/
消化剤による機器や設備の損傷をなるべく抑えたい施設などに設置されます。美術館などが主な設置場所です。
甲種または乙種4類
自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、消防機関へ通報する火災報知設備、共同住宅用自動火災報知設備、住宅用自動火災報知設備、特定小規模施設用自動火災報知設備、複合型居住施設用自動火災報知設備
参考元:https://www.shoubo-shiken.or.jp/shoubou/
火災報知設備の点検や整備が行えます。設置数が最も多く、ほかの区分と比較して受験者も多く人気の高い資格になります。
甲種または乙種5類
金属製避難はしご、救助袋、緩降機
参考元:https://www.shoubo-shiken.or.jp/shoubou/
火災が起きたときに使用する避難器具を取り扱うことができます。小学校の避難訓練などで目にすることが多いです。他の区分と比較すると需要はやや低めです。
乙種6類
消火器
消火器の整備点検を行うことが出来る資格です。乙種自体、受験資格が不要なこともあり人気の高い資格分類になります。
乙種7類
漏電火災警報器
漏電火災警報器に関する資格ですが、漏電火災警報器自体、設置数がとても少ない設備です。そのため乙種6類と比較すると需要は少ないです。
消防設備士を警備員が取得するメリット
消防設備士の平均年収は400万円~500万円です。警備員の平均年収が329万円であることを考えると、警備員からのキャリアアップとしては魅力的な年収であるといえるでしょう。
また、消防設備士の資格は全部で13種類あり、それぞれに分野が異なります。資格試験を順に取っていけばそれだけ業務の幅も広まり、企業からの需要も高まり年収アップに繋げることができる資格であるといえるでしょう。
警備会社としても消防設備士の資格を求めている会社は多いです。自動火災報知設備と警備機器の連動などを行う際に、消防設備士の資格を持っていればそれに従事できることもあり、また、火災報知器の故障時などの対応を行うことも出来ます。
乙種であれば誰でも受験する資格はあるため、キャリアアップのための資格試験としては最適であるといえます。
消防設備士の試験内容と合格率
試験は全国各地で開催されていますが、地域毎に開催回数にばらつきがあります。東京は種別ごとに年3~7回開催されていますが、岡山や沖縄では全種類まとめて年1回のみとしている地域もあるため注意が必要です。
乙類は誰にでも試験を受ける権利がありますが、甲類は制限があります。
消防設備士の合格率は?
甲種、乙種のそれぞれの区分によってかなりばらつきはありますが、全体としてはR4年の合格率は
・甲種 →30.8%
・乙種 →36.7%
となっており、決して合格率が高い試験ではないことが分かります。
一番人気の4類の合格率についてはそれぞれ以下のようになってます。
・甲種4類 →34.5%
・乙種4類 →35.7%
こちらも決して高くない合格率ですので、難易度はやや高めの試験といえます。
それぞれの区分の詳しい合格率は消防試験研究センターにて毎年公開していますので
試験を受ける参考になるかと思います。
参考元:消防試験研究センター
https://www.shoubo-shiken.or.jp/result/
消防設備士の試験にかかる費用は?
試験費用と、免状の交付手数料がかかります。
試験費用については甲種と乙種それぞれで異なり
・甲種消防設備士試験 →5700円
・乙種消防設備士試験 →3800円
上記とは別に、免状の交付手数料に2900円かかります。
講習費用などは無いため、資格を取る費用としては比較的安く抑えることが出来る資格です。
消防設備士の試験の受験資格
乙種については誰でも受けることが出来ます。ただし、甲種については受験資格があるため注意が必要です。
甲種は、消防設備の「整備および点検」に加えて「工事」を行うことができます。このため、学歴または資格による受験資格が必要となっています。
受験資格はかなり細かく設定されているため、この記事では抜粋して一部のみ記載します。自分自身が受験資格にあてはまるかどうかは「一般財団法人 消防試験研究センター」のホームページに詳しく記載があるため確認が必要です。※資格によっては試験の一部免除の制度もあります。
受験資格は、国家資格によるものと学歴によるものの2種類があります。
受験資格によるものは次のような資格が要件となってます。
・乙種消防設備士免状交付後2年間、対象設備の整備に携わった者
・技術士第二次試験に合格した者
・電気工事士保有者
など、18項目におよぶ受験資格項目があります。
学歴によるものは次のような学歴が要件となってます。
・機械、電気、工業化学、土木または建築の学科の大学または短大、高専を卒業した者
・機械、電気、工業化学、土木または建築の学科の高等学校、中等学校を卒業した者
など、13項目におよぶ学歴が受験資格項目としてあります。
まとめ
今回は消防設備士における
・消防設備士の仕事
・消防設備士を警備員が取得するメリット
・消防設備士の試験内容と合格率
についてまとめました。
消防設備士は受験資格もあり、また合格率もやや低めの資格のため取得は難しいですが、年収のアップと更なるキャリアアップを目指すことの出来る資格です。警備員としてのキャリアアップとして、警備会社からの需要も高い資格であるため興味のある方は資格取得を目指してもよいと思います。
乙種であれば誰にでも資格を目指すことができるため、人気の乙種4類を目指し、そこから実務経験を積みながら甲種を目指していくと、仕事へのやりがいを保ちつつキャリアアップを目指せると思います。
需要が無くなることのない資格ですので、おすすめの資格です。
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