大型ショッピングモールや高層ビルなどの建設工事、道路工事ににおいて、事故などの発生を警戒して安全に交通誘導をする警備員のことを交通誘導警備員と呼びます。
交通誘導警備員は、特別な資格がなくても働くことができる職業の1つです。しかし、交通誘導警備の業務をするには、道路交通法や車両の誘導方法などの知識や技能を身につけておくことが重要です。
高速道路や自動車用専用道路など、指定された道路での交通誘導を実施するためには、交通誘導警備業務に関する資格保有者を配置させる義務があります。また警備現場において、事故を未然に防ぎ安全に業務を行うために専門的な知識や技能を学ぶことが必要です。そこで、交通誘導警備業務1級の資格が役に立ちます。
今回は、交通誘導警備業務検定1級とは何か、資格取得するメリットを解説します。また、検定の試験内容や合格率も合わせて紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
交通誘導警備業務検定1級とは
警備員として、交通誘導警備業務に関する実務経験が必要となる国家資格が交通誘導警備業務1級です。交通誘導警備業務2級に比べて、より高度な専門知識が問われる資格です。
警備員資格の配置基準において、高速道路や自動車用専用道路、都道府県が指定した一般道などの交通誘導には、交通誘導警備業務の資格保有者の警備員を1名以上配置することが義務づけられています。
特に、大規模の建設現場や道路工事において、警備現場の責任者として1級の資格者を配置する必要があります。基本的には、警備現場の全体に関わる交通誘導や安全確保、事故事案の防止など重要な業務を任されることが多いです。
交通誘導警備業務検定では、交通誘導警備業務に関する法令や交通警備業務の管理および統括、警備計画書の作成方法など幅広い知識を身につけられます。また、事故発生時の適切な対処法、負傷者の救助や搬送、警察機関などへの通報など不測の事態に柔軟に対応する能力も求められます。
そして、建設現場の監督との綿密な打ち合わせや報告、連絡、相談といった業務も担当する場合もあるのです。また1級資格者は、警備員の指導教育に携わることもあります。
そのため、交通誘導業務の正しい知識や技能を磨いて、指導力を身につけることが必要です。現場で培ってきた経験や技能を、後輩警備員にしっかりと指導して、一人前に警備員へと育てることも1級資格者に求められる業務になります。
交通誘導警備業務検定1級を取得するメリット
大型商業施設や駅ビルなど大規模な建設現場にて交通誘導警備業務にあたる場合は、現場に合わせて多数の警備員を配置することが必要です。警備現場全体の指揮、警備員の指導や統率などの責任者を交通誘導警備業務検定1級の資格者が担当する場合があるのです。
建設現場にてスムーズに作業を進めるために、車両が多い場所では交通誘導警備業務2級の保有者で経験豊富な警備員を配置する、経験の浅い新人警備員をどこに配置するのかを検討することもあります。
また、事故事案の防止や安全確保、事故発生時の車両誘導などの指示などを柔軟に対応することが求められます。交通誘導警備業務1級は、警備員の統率や指揮に必要な知識と技能を身につけることができるのです。
特に、大手の建設会社などは交通誘導警備業務検定1級の保有者を警備責任者として配置する義務があります。そのため、建設現場などの交通誘導警備業務の経験が豊富で、交通誘導警備業務検定1級の資格保有者の需要は高いです。
警備会社によっては、交通誘導警備業務検定の有資格者に対して資格手当を支給することが多いので給与アップも期待できます。また、警備会社も1級資格を在籍させることで、警備現場の仕事が増えることもあり転職にも有利です。
交通誘導警備員として、より専門的な知識や技能を身につけたい方、ステップアップを目指している方は、交通誘導警備検定1級の資格を取得することをおすすめします。
交通誘導警備業務検定1級の試験内容と合格率
交通誘導警備業務検定1級を受験するにあたって、受験資格や試験内容、合格率が気になりますよね。ここでは、主な試験内容と合格率を見てみましょう。
受験資格は、以下の2項目を満たす必要があります。
・交通誘導警備業務検定2級の試験に合格しており、合格証明書が交付されていること
・交通誘導警備業務検定2級の取得後に、交通誘導警備業務を1年以上従事していること
警備業務検定1級の試験は、学科試験と実技試験があり、両方の合格基準を満たすと合格です。
学科試験には、2級の内容に追加されて警備業務に関する事項や法令、交通誘導業務の管理、事故による負傷者の搬送要領などが出題されます。交通誘導警備にあたる警備員の指揮や統率をする上で、必要な知識が問われる試験です。
2級と同様に教本で内容を把握して、過去問題集で何度も問題を解いて出題傾向に慣れましょう。試験方法は、5肢択一式20問で100点満点となり、90点以上で合格です。
一方、実技試験は交通誘導警備に関しての以下の項目が出題されます。100点満点の減点方式で採点をし、90点以上が合格ラインです。
実技試験の出題範囲は以下の通りです。
・交通誘導警備業務用資機材の選定や配置
・交互通行規制での交通誘導や指揮要領
・警備計画書及び警備指令書の作成
・警察機関等への追加連絡要領
・事故現場における負傷者の救護要領
・徒手の護身術や警戒棒の応用操作
・拡声器による避難誘導
実技試験は、実技資料がありますので、項目ごとに文言や試験の流れをしっかりと確認することが大切です。警備会社の資格保有者の協力をお願いし、指導やアドバイスをもらうことで効率的に勉強を進めることができます。そして、特別講習にて疑問点を解決して、減点項目も合わせて確認しましょう。
令和3年度の合格率は、修了考査で70%です。平成18年1月から令和3年12月末日までの累計合格率は、修了考査60.6%、再試験52.3%でした。
2級試験と比べて合格率に差はないのですが、他の警備業務検定より合格率は低いです。試験の難易度は高くないので、2級と同様に教本で要点をおさえて、しっかりと試験対策をすれば合格できるでしょう。
まとめ
今回は、交通誘導警備業務検定1級とは何か、取得するメリット、試験内容と合格率について解説しました。高速道路や国道などで車両を誘導するためには、1級または2級の資格者が1名以上配置する義務があります。
交通誘導警備業務1級の資格者は、大規模の建設工事や道路工事において、警備員の指導や統率、交通誘導警備全体の指揮を任せる場合があります。警備会社にとっては、交通誘導警備業務1級の資格者の需要は高いです。
交通誘導警備員として、警備現場全般の統率や指揮等を行うためには、より高度な専門的な知識や技能を身につけることが必要です。交通誘導警備検定1級の試験は、学科と実技の出題範囲は幅広いので、早めに試験対策をすることをおすすめします。
平成18年1月から令和3年12月末日までの累計合格率は、修了考査60.6%、再試験52.3%でした。他の警備員検定試験より低い合格率になっています。しかし、教本の内容をしっかりと理解して過去問題集を解くことで、合格を目指すことが可能です。
交通誘導警備業務検定1級の資格を取得すると、仕事の幅が広がり仕事に困ることもなく転職にも有利です。今後、交通誘導警備員として、より専門性を高めたいのであれば、ぜひチャレンジしてみませんか。
(画像は写真ACより)
コメント