貴重品運搬警備業務とは?業務内容や年収を解説!

銀行や街中のATMの近くで複数の警備員が、防弾チョッキを着て、警棒を持っている警備員の姿を見たことがある方も多いと思います。現金や貴金属など貴重品の搬入及び搬出の警護、そして安全輸送を行う業務が貴重品運搬業務となります。今回は、貴重品運搬警備業務を詳細に説明します。

目次

貴重品運搬警備業務とは?

貴重品運搬警備業とは、第3号警備業務に含まれる警備業務となります。警備業務には、4つの業務に大別されます。まずは、商業施設などの施設を巡回して警戒をおこなう第1号警備業務、コンサート会場などの導線の確保、通行 の整理を行う第2号警備業務、要人警備を行う一般にボディーガードと呼ばれる第4号警備業務となります。

そして、現金や貴重品、危険物の輸送を安全に行う業務が第3号警備業務です。貴重品運搬警備業務は、警備業法第2条で以下のとおりに規定されています。

「運搬中の現金、貴金属、美術品等に係る盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務」
警備業法第2条定義
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=347AC0000000117

つまり、現金や有価証券、貴金属、美術品などの輸送の際に、盗難などの事件事故を防止が主な役割となっています。第3号警備業務の種類は、貴重品運搬警備業務と核燃料物質等危険物運搬警備業務にわけられます。貴重品運搬警備業務は、現金や貴重品などの輸送警護、核燃料物質等危険物運搬警備業務は核物質などの危険物の輸送警護となります。

警察庁生活安全局の調査によると、2021年度、貴重品運搬警備業務を行っている警備会社は全国の6.5%となっており、第1号警備業務の66.6%、第2号警備業務の75.8%と比較するとかなり少なくなっています。これは警護対象が貴重品や危険物といった特殊は警備のノウハウと特殊車両などの設備が必要となるからです。

貴重品運搬警備業務が取り扱う警備対象とは?

貴重品運搬警備業務が取り扱う対象を詳しく説明します。

・現金

銀行の金庫にある現金、最近では、コンビニエンスストアや駅の中にもATMがよく見られるようになりました。ATMの中には現金が収納されています。これらの現金を回収し、安全に輸送する必要があります。

・絵画など美術品

美術館や博物館では、美術品の展示会などが開催される場合に、国内外からの絵画の輸送、搬入や搬出時の警備を行います。

・宝石

金や宝石などの貴重品を店舗や金庫へ安全に輸送する業務となります。

・試験問題

国家試験や大学の入試試験など漏洩すると大きな問題が起きるため輸送時に警護が必要になっています。

万が一、輸送中の現金や貴重品に強盗、盗難などの事故がおきてしまうと、大きな社会問題にまで発展します。他の警備業務以上に、警備中の集中力、危険に対処できる強い精神力が求められます。

輸送の4原則とは?

一つのミスが大きな事故や事件につながる第3号警備業務を取り扱っている警備会社は、他の警備業務の配置より、重要性が高くこの業務へ警備員の配置を行う傾向にあります。具体的には、アルバイトや契約社員より、正社員がこの業務を担当するケースが多くなっています。貴重品や危険物の輸送を行う警備員には、以下4つの原則が定められています。

・止めてはいけない

現金や貴重品を輸送中に運搬車を止めようとする人や不審な人物が現れても決して車を止めて応じてはいけません。仮に、警察官と思われる人物に、輸送車両を止められそうになった場合であっても即時に応じてはなりません。必ず、上長、管理者へ止めようとしている人が確実に警察官だと確認するまで車は止めてはなりません。なぜなら、強盗犯が警察官に変装を行い、輸送車に接触し、強盗を行おうとしている可能性もあるからです。

・乗せてはいけない

どの人物であっても対象物を運んでいる輸送車にのせてはいけません。たとえ、知人や家族、同じ警備会社の人間であっても対象物の輸送時には輸送車へ乗せることはならないとされています。
運搬する貴重品と警備員自身を守るためにこの決まりは大切です。

・離れてはいけない

貴重品や現金の搬入・搬出、運搬業務を行っているときに、決して、輸送車や警護の対象物から、離れてはいけません。輸送中、現金や貴重品は常に盗まれる危険性があります。強盗犯や窃盗グループは、事前に綿密な計画の元、警備員の小さなミスを見逃さずに強盗を実行します。ほんの少しの油断が大きな事件に直結するため常に注意が必要です。

・開けてはいけない

搬入・搬出・輸送時に運搬車両の窓を決して開けてはいけません。なぜなら、窓を開けてしまうと、窓から強盗の攻撃をされる危険や催涙スプレーなどを社内へ投下されてしまう危険性があるからです。この4つの原則は、貴重品や危険物を目的地まで確実に輸送するために必要な決まりと同時に、輸送を行う警備員自身の安全を守るためにも大切です。

貴重品警備業務にあたる警備員の服装も他の業務とは異なっています。通常の警備員は、制服に身を包んでいる場合が多いですが、貴重品警備業務にあたる警備員は、常に強盗などの危険性が高い業務のため、服装も防弾チョッキや警棒などを装備しています。これは、輸送中に、強盗犯に襲われた場合に警備員の身体を守るためになります。防弾チョッキや警棒以外にも、貴重品を取り扱うため白手袋を装着し、危険な事態が発生した場合に周囲に伝えるため警笛を持ち歩く場合もあります。

貴重品警備業務になるには資格が必要か?

まず、貴重品警備業務につくために資格は不要です。貴重品警備業務に業務を行う警備員の月収は、約15〜30万円となっています。輸送中、常に危険を伴う業務のため、他の業務より給与水準は少し高額になっています。月収の違いは、主に資格保有者かどうかによります。その資格とは、貴重品運搬警備業務検定となります。

貴重品警備業務を行うためにはこの資格が必須ではありません。しかし、貴重品運搬車両には必ず1名この資格保持者が乗車していないといけないと法律で定められています。この資格は国家資格になっており、1級と2級にわかれています。資格取得を通じて、貴重品や危険物を安全に輸送を行う上で事故や盗難などを防止する能力を兼ね備えていると証明されます。

この資格を取得するためには、2つの方法があります。各都道府県の国家公安委員会が行う直接検定に合格する方法と国家公安委員会の認定を受けた警備員特別講習事業センターが行う特別講習を受講し、終了考査を受ける方法となります。合格率は、特別講習を受験する方が直接受験より高くなっています。

また、「貴重品運搬警備業務」は1級と2級の資格にわかれています。2級に受験のための要件はありませんが、1級を受験するためには、2級取得後1年以上の実務経験が必要となっています。まずは、2級を受験し業務経験をつみつつ、1級を目指すケースが多くなっています。

1級を取得すると、輸送現場のリーダーの役割をにない、輸送警備計画の策定にたずさわれるなど、より貴重品を安全に目的地まで輸送する能力を持った人材として認められます。また、1級を取得すると管理職への登用の可能性も高くなり、月収、年収のアップも期待できます。

まとめ

貴重品運搬警備業務は、警護の対象が現金や貴重品となり、他の警備業務以上に責任感と危険な状況に対する精神的な強さが求められます。仕事のやりがいや達成感が得られる業務になっています。警備員として重要な業務につきたいと思う人に最適な業務です。

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