雑踏警備とは?業務内容や業務場所について徹底解説!

雑踏警備業務は、コンサート会場や花火大会、マラソン大会など、多くの人が集まる場所の警備を主に担当する業務となります。今回は、雑踏警備業務につき、詳細解説します。

目次

雑踏警備業務の業務内容は?

雑踏警備業務は、第2号警備業務に分類されます。警備業務は、大きく4つに大別されています。第1号業務は、オフィスビルや商業施設などを中心とした施設内の警備業務、第2号警備業務は雑踏警備業務と交通誘導警備業務に分けられます。第3号警備業務は貴重品や現金輸送警備、第4号警備業務は要人警護の業務となります。警備業法において、雑踏警備業務は以下のとおり定めています。

警備業法2条1項2号 「人・車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務」

規則1条3号 雑踏警備業務(特定種別)「法規定の警備業務のうち、人の雑踏する場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務(雑踏の整理に係るものに限る)」

雑踏警備業務は、施設の駐車場など出入り口や人や車の混み合う場所で事故の発生を警戒し、防止する業務となります。検察庁の資料によると、雑踏警備業務は全国の警備会社の40.8%が業務を取り扱っています。雑踏警備業務はどのような業務なのか具体的に説明します。

・会場内の案内

コンサート会場や花火大会など大規模会場では、開催当日当時、会場内のどこの場所で何が行われているかわからない来場者の方も多く発生します。また、当日、急遽の変更が行われる場合もあります。そのような場合、警備員は、目的の場所に到着できずに、迷っている来場者から質問を受けることもあります。質問を受けた場合は、事前の打ち合わせの知識をもとに的確な案内が求められます。また、来場者が質問しやすい雰囲気を作ることも求められます。その点、商業施設内における巡回業務と同じく、サービスマインドを持った対応が必要です。

・目的地への誘導

来場者から、行きたい場所がわからなくなったと質問をされた場合、特にご高齢の方や子供の場合には、口頭での案内だけでは目的の場所へ到着できないこともあります。その場合は、警備員みずから目的の場所まで一緒に誘導を行う場合も多くあります。誘導を行っている間は、自身の警備の持ち場を一時的に離れることとなります。誘導を行い際には、共に配置されている警備員と連携をとって行動する必要があります。誘導を行っている間も案内時と同様に、話しかけやすい雰囲気作りを心がけ、お客様が安心感をもって頂けるような対応が必要です。

・導線の確保

コンサートや花火大会となると来場者は数万人となる場合も多くなります。また、新型コロナウィルス感染以降は感染拡大の予防のため、入退館の順番を整理して行うケースも増えています。数万人が一気に移動すると、人の流れがつまってしまい、場合によっては多くの人が転倒や転落する事故が引き起こされる可能性があります。

過去、事前準備および当日の警備体制の不備により、2001年に兵庫県明石市で行われた夏の花火大会では、イベント終了時に、参加者が高架橋の上で、雪崩のように倒れてしまい、11名の死者、180名を超える重軽傷者を出す痛ましい事故も発生しました。雑踏警備業務は、イベント開催前に、主催者側と入念に当日の移動経路の確認と導線対策が重要となっています。この事件を契機に、雑踏警備業務にも検定試験がもうけられるようになり、雑踏警備の重要性がさらに高まりました。現在は、定例的なイベントであっても開催日までに必ず主催者と実施踏査を行わなければならないとされています。

また、開催日当日も会場へ配置された複数の警備員間で密な連携をとることでスムーズな誘導を行えます。状況によっては、事前の打ち合わせとは異なる不慮の事態が発生する場合もあります。その場合も、現場管理者を中心に緊密な連携をとることで、来場者の経路の確保を維持し、安全に移動をすることが可能となります。

・遺失物の対応

数千人から数万人が来場する大規模な会場では、落とし物などの遺失物の管理も雑踏警備にあたる警備員にとって大切な業務となります。遺失物が発生した場合に、どこに保管をしておくのか?誰に連絡を行うのか?配備されている警備員の間ですみやかに連携をとる必要があります。落とし物の中には、高価な物品の場合もあります。来場するお客さまにとって、イベントや大会の際に気持ちよく帰宅頂くためにも、すみやかな連携対応が必須となります。最終、当日に持ち主の見つからなかった遺失物は、主催者と警察へと引き継ぎを行い後日問い合わせに対して備える必要があります。

雑踏警備の場所

雑踏警備業務は具体的にどのような場面で行われているのでしょうか?主に警備を行う場所を説明します。

・夏祭り

夏の花火大会やお祭り、神社などによる祭事も多くの人でにぎわいます。特に花火大会は数十万人規模となる大会もあります。当日、スムーズな人の導線の確保は重要な業務となります。また、事前の警備打ち合わせを念入りに行う必要があります。数名から数十名のチームとなって当日警備にあたるため、各自が持ち場を守る意識が大切です。

・コンサート会場

アーティストのコンサートや野外フェスティバルの会場も数万人規模での来場者となります。コンサート会場の最寄り駅から会場まで多くの人が移動します。会場までの導線だけでなく、駅のホームも多くの人が狭いスペースで移動しなければならないため、警備員の間で連携をとりつつ、移動への協力の呼びかけを丁寧に行っていく必要があります。

・野球やサッカーなどのスポーツ興行

プロ野球やJリーグなどプロスポーツの大会、オリンピックや世界陸上など世界的規模の大会も数万人単位の来場者があります。コンサートと同様に、大会会場内だけでなく、最寄り駅のホームを含めた安全な導線の確保と移動の協力への丁寧な呼びかけが大切となってきます。また、勝敗のあるスポーツの興行は、試合結果により来場者も興奮している場合もあり、より丁寧かつ真摯な協力の呼びかけが大切になってきます。

雑踏警備業務に資格は必要?

雑踏警備業務を開始するために、資格は必要なのでしょうか?雑踏警備業務を始めるために、資格は必要ありません。しかし、スムーズな誘導をおこなうためには、群集心理の把握や交通法規の知識と経験が必要となります。

雑踏警備業務が高いレベルで実施できる能力を示すため、雑踏警備業務検定が国家資格として定められています。雑踏警備業務検定は1級と2級に分かれています。2級は受験にあたって要件はありませんが、1級は2級取得後、1年間の実務経験が必要とされています。現場の責任者としてのステップアップとして受検する方も多くなっています。

それぞれの資格に求められる役割は、1級は複数の現場を統括管理する管理者、2級はひとつの現場を管理するリーダーとしての役割を期待されています。検定試験取得ため、講習費用の補助や全額負担、資格取得後の資格手当の支給など、積極的に資格取得をバックアップしている警備会社も多数あります。求人サイトで警備会社を調べる際に、資格取得への支援についても確認することをおすすめします。

まとめ

雑踏警備業務は、来場者がコンサートや花火大会など楽しい時間を過ごすため、陰で支える重要な仕事です。現場でチームを組み、警備にあたるため、チームワークも必要な業務です。一人で初めて警備業務を始めるには、不安な方にもおすすめできる業務です。

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