はじめに
新卒で警備員になる人もいますが、転職で警備員をはじめる人のほうが圧倒的に多いです。どんな職種から警備員に転職しているのでしょうか。警備員の前職について、転職理由や警備員に転職しやすい人などを中心に解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
警備員の前職は?
警備員の前職は多種多様です。なぜなら警備会社は、経歴に関係なく幅広い分野から人材を募集しています。警備員求人の多くに「前職不問」「未経験歓迎」と記載されています。警備員は特別なスキルが不要のため、人間性を重視した採用が一般的です。
特別なスキルは不要ですが、警備員は人の安全と安心を守る特殊な仕事です。そのため「新任教育」と呼ばれる20時間以上の新人研修が法律で定められています。座学と実技で警備員の基礎をしっかり学んでから現場に出るので、前職にかかわらず活躍できます。
ただし法律上、以下に該当する人は警備員になれません。
・18歳未満の者
・破産手続き中の者
・刑務所を出所して5年経過していない者
・直近5年間で警備業法に違反した者
・反社会的勢力関係者
・アルコールや薬物の中毒者
・心身に障害のある者
ここでは数ある前職のなかから「アルバイト、フリーター」「営業職」「現場仕事」「警察官、自衛官」にフォーカスして解説します。
■アルバイト、フリーター
アルバイトやフリーターから警備員になる人は多いです。転職理由として「お金」「シフト」「正社員」などが挙げられます。
基本的に警備員は時給ベースではなく日給ベースの仕事です。長時間拘束されるのは難点ですが、そのぶんまとまったお金を稼げます。警備員は夜勤もあるので、さらに効率良く稼ぐことが可能です。深夜帯(午後10時~午前5時)は1.25倍の割増賃金になります。
警備員はシフトを自己申告制で自由に決められることがメリットです。24時間365日の仕事なので、好きな曜日、好きな時間帯(日勤・夜勤)を選べます。稼ぎたい額に応じてシフトを詰め込むことも、プライベートを優先して多めに休むことも可能です。
警備員は未経験からでも正社員になりやすいです。アルバイトやフリーターより正社員のほうが責任は増えます。しかし、そのぶん給料は安定し、ボーナスなどで年収も増えます。社会保険や福利厚生のほか、社会的信用が得られることもメリットです。
■営業職
一般的な営業職から警備員になる人もいます。定年退職や介護離職、Uターン・Iターンなど転職理由はさまざまです。
警備員は18歳以上であれば何歳になってもなれます。シニア歓迎の警備会社もあるので、定年退職後に警備員を選ぶ人も多いです。警視庁発表の「令和3年における警備業の概況」によると、2021年12月末における60歳以上の警備員の割合は45.1%となっています。
警備会社は「ブランクOK」を謳っているところも多いです。介護離職などでブランクがある場合も、再就職しやすいのが警備員です。警備員は人と接することが多い仕事なので、営業職のコミュニケーションスキルは非常に役立ちます。
警備の仕事は全国どこにでもあります。Uターン・Iターンで仕事の少ない地方に行く場合も、警備員は転職しやすいです。厚生労働省発表の「一般職業紹介状況(令和4年10月分)」によると、警備員の有効求人倍率は7.16倍となっています。全職業の合計では1.23倍なので、警備業界は非常に人手不足なのがわかります。
■現場仕事
道路工事や建設工事などの現場仕事から警備員になる人もいます。ケガや疲労で身体を痛めたり、体力的にキツかったりなどが転職理由として挙げられます。
交通誘導警備は工事現場をバックアップする仕事です。現場仕事の経験者は、現場の作法や職人さんとのコミュニケーションに慣れているので即戦力になれます。
警備員も体力は必要ですが、現場仕事の重労働に比べればラクです。多少身体を痛めていても、立って誘導棒を振ることができれば交通誘導警備はできます。
■警察官、自衛官
警察官や自衛官から警備員になる人も多いです。警察官は交通整理や雑踏整理ができるので、そのまま警備業務に活かせます。経験年数や条件が合えば「警備員指導教育責任者」の資格を公安委員会の認定で取得できます。警備員を指導・教育するポジションで活躍する人もいます。
自衛官は厳しい規律のなかで訓練されているので、体力や精神力のレベルが高いです。通常時の所作から緊急時の的確な対応まで、警備員になってもその能力を十分に発揮できます。
警備員の転職がしやすい人は?
警備員は前職不問です。しかし、これまで培ってきたスキルや経験はムダになりません。警備員に特別なスキルは不要ですが、人生で蓄積してきたものは役に立ちます。
ここでは、そのなかでも警備員として優遇されやすい「体力がある人」「屋外での仕事の経験がある人」「コミュニケーションスキルがある人」にフォーカスして解説します。
■体力がある人
前職で体力を使う仕事をしていて、身体が鍛えられている人は警備員の転職がしやすいです。面接では体力があるかどうかよく聞かれます。スポーツ経験者や運動習慣のある人も優遇されます。
施設警備では立哨警備や巡回警備などで、立ったり歩き回ったりしなければいけません。緊急対応では走ることもあります。現場によっては日勤・夜勤のほかに、当務と呼ばれる24時間勤務もあります。不規則な長時間労働に耐えられる体力が必要です。
交通誘導警備では動き回ることは少ないですが、基本的に立ちっぱなしで交通誘導をします。もちろん休憩はありますが、施設警備に比べると立っている時間は長いです。より体力が必要とされます。
■屋外での仕事の経験がある人
前職で屋外での仕事の経験がある人は、警備員として転職しやすいです。労働環境でのミスマッチは少ないと判断されるので、面接でアピールすると高評価になります。
とくに交通誘導・雑踏警備は屋外がほとんどです。真夏の日陰がない道路工事現場などは、日差しの暑さに加えて、アスファルトの照り返しによる熱気もあります。炎天下の交通誘導は、屋外に慣れていない人だと厳しいです。
真冬の夜勤では交通量が少なければ、極寒のなかじっと立っているだけになります。忍耐力が必要です。
暑さや寒さのほかに、工事現場では騒音や粉塵などもあります。屋外での仕事は、経験がなく慣れていない人にとってはミスマッチが起こりやすいです。
■コミュニケーションスキルがある人
前職で接客業など人と接する仕事をしていて、コミュニケーションスキルがある人は、警備員に転職しやすいです。面接で一番見られるところと言っても過言ではありません。
警備員は警察官と違い特別な権限を持っていません。そのため交通誘導であれば、車両や通行人に「止まれ」とは命令できません。
「止まっていただけますか?」という姿勢で協力を仰いで、工事車両を出し入れしたり、片側交互通行をコントロールしたりします。適切なコミュニケーションができないとクレームが来たり、事故につながったりする恐れがあります。
施設警備ではお客様に対するホスピタリティが重要です。安全と安心を守るのが警備員ですが、肩肘張って怖い顔で警備をしていてはクレームの原因になります。とくに商業施設などの警備はサービス業に近いです。しかし、迷惑行為には毅然とした対応が必要なので、バランスの良いコミュニケーションが求められます。
まとめ
警備員の前職は多種多様です。警備会社は「前職不問」「未経験歓迎」と謳って、前職にかかわらず幅広い分野から人材を募集しています。警備員は特別なスキルが不要なうえ、法律で定められた「新任教育」もあるので、前職に関係なく活躍できます。
警備員に特別なスキルは不要ですが、これまで培ってきたスキルや経験といったものは役に立ちます。とくに「体力がある人」「屋外での仕事の経験がある人」「コミュニケーションスキルがある人」は警備員として優遇されるので転職しやすいです。
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