警備員の現況とは?警備員の人口について解説!

私たちの生活に深く関わっている警備業。普段買い物に行く商業施設、通勤で向かうビルの中で警備員の姿をよく見ます。今回は警備会社はどれくらいの数があるのか?警備員の人数はどれほどいるのか?今回は、警備業界の現在の状況について徹底的に解説します。

目次

警備業界の始まりとこれまでの歴史について

警備業界の始まりから、現在までを振りかえります。警備業界の歴史は、他の業界より比較的新しく、日本に警備業が誕生したのは、昭和37年となっています。そして、その2年後に東京オリンピックが開催されたことで、警備業が日本中に広く知れわたるようになりました。

その後、ホームセキュリティの開始、金融自由化に伴うATMの保守、献金輸送業務の受託、違法駐車排除業務の委託開始など、順調に警備業者数、警備員数は増加してきました。平成元年、警備業者数は5000社、警備員数は23万人となりました。そして、売上高も業界全体で約1兆円になる業界に成長しました。(参考元:警察庁 警備業の概況)

その後も順調に成長を続け、平成9年には売上高2兆円超、平成15年には3兆円超と順調に伸びています。現在、2020年、売上高3.5兆円超、警備会社数は1万社を超え、警備員数も58万人を超えるまでおおきくなってきました。警備員は法律上、工事現場やイベント開催時など一定数の配置が法律上定められているうえ、ホームセキュリティの増加、テロや無差別の衝動的な殺人などの発生も増加している中、今後も順調に成長することが予測されます。(参考元:警察庁 警備業の概況)

警備員の現在の状況について

現在では、警備員数は、58万人を超えるまでの人員となっています。それでは、その人員構成や年齢構成など内訳を詳しく説明します。警察庁生活安全局の調べによると、2023年度の男女構成比は、男性の警備員が、約55万人、女性警備員が約4万人となっており、約93%が男性となっています。(参考元:警察庁 警備業の概況)

警備員は男性の仕事のイメージがまだまだ強い状況です。しかし、年齢別の男女比の構成割合をみてみると、60歳以上の男女比の割合は、女性が約4%であるのに対し、30歳未満の男女比の割合は、約18%となっており、若い世代ほど女性の警備員の割合が増えている傾向にあります。女性活躍が日本全体で求められている中、新卒の女性社員の積極登用、女性に取って働きやすい労働環境の整備が進められている効果が出ていると想定されます。

続いて、警備員全体の年齢構成比率をみていきます。男性と女性を合わせた年齢別の割合は、60歳以上が全体の約45%を占めており、約半数がシニア世代となっています。警備業界に限らず、日本の産業で高齢化が進んでいますが、その中でも警備業は年齢構成比率が高い状況が続いています。

勤続年数に関しては、在籍年数3年以上継続勤務している警備員の割合は、約60%となっています。その逆、在籍年数3年未満の退職者の割合が約40%前後あり、定着率の低さも警備業界の人材不足の大きな要因です。(参考元:警察庁 警備業の概況)

日本の人口推移とこれからの予測

警備業界では、警備員の高齢化の進行が年々進んでいますが、日本全体では、どのような状況になっているのでしょうか?日本の生産年齢人口の状況を説明します。生産年齢人口とは、15歳から64歳までの人口数を指します。2023年度では7450万人、総人口が1億2550万人ですので、生産年齢の人口比は約60%となっています。

総務省の高齢社会白書によると、今後も総人口の減少、生産年齢人口の減少は進み、約30年後の2050年には、総人口が8800万人、生産年齢人口も4500万人と現在より30%程度減少すると見込まれています。また、総人口に占める65歳以上の人口の割合(=高齢化率)も一貫して上昇を続けています。2021年において、高齢化率は28.9%となっていますが、2050年には38.1%まで上昇することが予測されています。これは、日本人口の約5人の内3人が65歳以上であることを示しています。警備業界に限らず、労働力の不足と高齢化の問題は日本全体の問題になっています。

警備会社数のこれまでの推移

昭和37年に2社でスタートした警備業界ですが、2023年度には10359社と1万社を超えるまでに成長してきました。警備会社の数は、前年比246業者増と年々増加しています。今後も、社会の不安定化、高齢化などますます社会から必要とされる傾向にあります。(参考元:警察庁 警備業の概況)

警備業者の人員別の構成比でみると、警備員が1000名以上の会社は49社と全体の0.5%、一方警備員数が100人未満の警備業者が9301業者と全体の89.8%を占めており、中小の警備会社が非常に多い状況となっています。また、複数の営業所をもたない事業者も8755社と全体の84.5%を占めており、この点は、警備業界には中小の警備会社が多い実態を表しています。(参考元:警察庁 警備業の概況)

高年齢化の進展について

これまでお伝えした通り、日本全体で労働者の高年齢化が進んでいます。警備会社も同様に高齢化が進んでいます。それでは、これまでの推移と共に警備業界の高年齢化を説明します。2016年度の状況は、60歳以上の警備員の割合は、全体の40%となっていました。2021年度において、約45%になっており、確実に高年齢化が進んでいます。一方、30歳未満の年齢構成の割合は、平成28年度においても2023年度もいずれも全体の約10%となっています。(参考元:警察庁 警備業の概況)

若年層における3年未満の短期感の就業で流出する状況は変わらず続き、すでに警備員である高齢者の勤続年数の増加とともに高齢化が進んでいる実態が読み取れます。他方、警備業界以外の高齢化の状況はどうなっているのでしょうか?総務省労働力調査によると、2021年度において65歳以上の労働者の割合は、13.5%となっています。2011年には8.8%となっていますので10年で5%上昇しています。警備業は60歳以上のため対象年齢層の違いはありますが、日本全体の年齢別の就業割合と比較して高年齢層の割合は高い状況となっています。

警備業界の従業員定着率について

最後に、警備業界の定着率を過去と比較して説明します。2022年度において、在籍年数3年未満の在職者割合は全体における約40%となっています。平成27年度において、約38%になっており、継続的に約4割が在籍年数3年未満に退職となっています。警備業界以外においては、約15%となっていますので、全体として早期の退職、離職が多い業界であると言えます。そして、その結果、警備業界の慢性的な人材不足へとつながる循環となっています。

一方、短期の警備員(=臨時警備員)の割合は、平成29年の11.8%から2022年には9.1%まで低下しています。第1号、第2号警備業務を中心に単発、短期の警備契約が多い状況の中、警備業界でも長期を前提とした雇用を進めようとしている点が数値に表れています。また、有期雇用3年以上の雇用契約禁止といった雇い止めの影響も常用雇用率の上昇の要因と想定されます。(参考元:警察庁 警備業の概況)

まとめ

今回は、警備業界の現在の状況を説明してきました。警備業界は、日本のあらゆる産業が直面する高齢化の影響が色濃くあらわれた状況になっています。それだけ、新卒採用、中途採用に関わらずに活躍できるチャンスが多い業界になっています。興味を持たれた方は求人サイトで、どのような警備会社があるのか調べて見ることをおすすめします。

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