警備員が落とし物を拾ったらどうする?

ショッピングセンターやコンサート会場などで警備を行っていると、おそらく必ず落とし物に遭遇すると思います。今回は警備員が落とし物を習得した場合の取り扱いについて詳細に説明します。

目次

はじめに

落とし物の取り扱いについては、遺失物法、遺失物法(特例施設占有者)、遺失物法(その他)と法律でその取り扱いが厳格に定められています。まずは、それぞれの法律について簡単に説明します。遺失物の取り扱いは正確に行わなければ大きなトラブルに発展する可能性があります。まずは遺失物法について説明します。

遺失物法において、落とし物は、純粋に誰かが落としたモノだけでなく、埋まっているモノ、間違って人のモノを持ってきてしまった場合、意図的に人が置き去りにしたもの、飼育しているペットに逃げてしまったものまで含まれます。続いて、拾う事は、基本的、落としたものを拾う事ですが、埋まっているモノや置き去りにされたものの場合、そのモノを見つけた時点で拾ったとして扱われます。

落とし主のことは、遺失者と言われます。また、施設は、日々警備を行う建物だけでなく車の中や飛行機の中など幅広い意味で使われています。遺失物法においては、落とし物を拾った場合には、落とし主に返却を、凶器や麻薬などの所持を禁止されているようなモノを拾った場合には、直接警察署や交番に届けなければならないとされています。

特例施設の占有者はどのような者なのか?

続いて商業場所や球場等で落とし物をひろう場合、落とし主が判明しているときは、同様、届ける必要がありますが、落とし主が不明なときはその場所を見ている管理者に届けるよう定めています。また施設内で飼育されている犬やねこなどの場合で行政に引き取り依頼をすでにされている場合にはこの法律の適用はされないとされています。

続いて、駅の中など、特例施設における遺失物の取り扱いは、法律で以下のとおり定められています。本来の遺失物法であれば2週間以内に警察署へ届けなければならないとされていますが、駅や大型の商業施設の場合は不特定多数の方がおり、自分たちで落とし物を適切に管理できる施設であれば、警察署へ届け出ずに自身で管理をおこなってもよいとされています。このように自身で管理していい施設を特例施設占有者と定められています。

この特定施設を占有している者が落とし物を遺失者へ返却する場合、身分証の確認にしっかりと行い、落としてしまった日時・場所・落とした種類や特徴と落とし物台帳と一通り確認が行わなければ返却できません。また、返却を行った際には、受領証を記載してもらうことが必要となります。また、落とし主の指名を拾い主に告知することが可能となっています。特例施設占有者が落としたモノの返却を行う場合には、その物件の取得者に対して返還を行うことを伝えるとともに、返却を受ける落とし主に対しては、物件の補完や提出にかかった費用、報労金を支払う義務があることを通知しなければなりません。
(参考 改正遺失物法について https://www.npa.go.jp/ )

警備員が落とし物を拾得した場合

落とし物を拾得して提出をおこなったことに対する報労金については、一般的場所で拾得した場合と商業ビルや遊園地などの場所内で拾得した場合、またひろったモノの種類によっても差がありますので注意が必要です。まず、道路上などの一般の場所で落とし物を拾った場合には、落とし物を拾った日から1週間以内(初日はカウントしない)に落とし主に返却を行うか、管轄に提出がいります。

続いて、商業施設やオフィスビルなどの施設内で落とし物を拾った場合には、24時間以内に施設の占有者に渡さなければ、保管費用、その他の必要経費、報労金を受け取る権利や落とし主が見つからないケースに落とし物を自分のモノとなる権利が喪失します。この場合、拾った警備を行う人と施設管理者が法律で定められた金額の半分ずつを請求できると法律で定められています。また、警備員により物件を受け取った施設管理者は、警備員より落とし物を受け取った日から1週間以内に落とし主に落とし物を返却するか、管轄の警察署長へ落とし物を提出しなければ、そのモノの保管費用、その他経費、報労金の受け取る権利や商有権を得る権利を失ってしまいます。

公道や施設外で落とし物を拾ったときの手続きは?

落とし物の届け出を受けた際にはどのような手続きが必要なのでしょうか?手続きについて説明します。まずは、落とし物を拾得したところを確認する。拾得をおこなったところが、施設内以外で、一般的なところであるならば管轄警察や派出所の住所を伝えて、拾得をおこなった方自身でもっていくように依頼をおこなうことが最適回答となります。これは、拾った方の報労金、所有権などの権利を守るためにも必要な案内となります。

施設内で落とし物を拾った場合の手続きは?

落とし物を受け取った場所が、商業施設などの施設内で合った場合には、警備員は落とし物を拾った人に次のことを確認する必要があります。取得の場所、取得の時間、取得者の氏名、取得者の連絡先、取得物件の内容、報労金、所有権などの権利を放棄するかどうかの確認を行います。

また、落とし物の確認にあたっては、かならず複数の警備員で立ち合いを行い、落とし物が提出されたときの内容、個数、状態に間違いがないようにダブルチェックを行うことが大切です。確認漏れによって、後々大きなトラブルになる可能性があります。また、落とし物の内容が第三者に漏洩、破損、紛失するようなことが絶対にないようにしなければなりません。

落とし物に関する問い合わせを受けた場合には、その際にもあらかじめ警備計画にて定められた手順、方法で行い、速やかに取扱場所へ届けるように伝える必要があります。また、銀行や郵便貯金のカードや運転免許証、保険証、住民基本台帳カードなどのように再交付の申請などが早急に行う必要があるものについては、直ちに警察署へ届け出るようにアドバイスを行うことが必要です。

遺失者があらわれたケースは?

落とし物が補完の際に、遺失者の問い合わせがあるときには、施設の占有者がその届け出本人を、本当に落とした人か確実に複数人をもって確認することが大切になります。物品の受け渡しを行う際には、落とし物の返還を希望する者の氏名、当該落とし物の種類、特徴、遺失した日時、落とした場所、財布などにおいては中に入っていた内容物などの確認をしっかりと確認を行い、帳簿に控えられたものと同一であるのか?確実に照合する必要があります。

ショッピングモール、オフィスビルなど施設内で勤務する警備員は施設の管理者、占有者が本来行うべき事務を代理して行う事となります。落とし主であることが明らかであることが判明した場合には、施設占有者への連絡、報告などあらかじめ施設にて定められた処理の手順にしたがって適切に対応することが大切です。落とし物の取り扱いは、厳密に定められなければならない性質のものとなります。取得しても報労金の有無、所有権などの権利の移動など法律に関わってきます。施設警備を行っており、厳格にルールが定まっている場合以外には、警備員は落とし物を受け取らず、イベントや施設の管理者への提出を依頼するようにしましょう。

まとめ

警備を行っていると落とし物の拾得はよく発生する事案かと思います。安易な対応を行うことは、後々報労金や所有権の移動など法律上に非常に大きな問題となる可能性があります。もし勤務先にルールが未整備の場合にはルールの策定を依頼してみてはいかがでしょうか?

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