核燃料物質等危険物運搬警備業務とは?業務内容について徹底解説!

「核燃料物質等危険物運搬警備業務」この業務の名前を聞くことや、警備を行っている姿を見た方は、おそらくいないと思います。今回は、この核燃料物質等危険物運搬警備業務の業務内容と求められるスキルやキャリアアップするための資格など幅広く説明します。

目次

核燃料物質等危険物運搬警備業務とは?

核燃料物質等危険物運搬警備業務は、警備業務の第3号警備業務に含まれる業務となります。核燃料物質等危険物運搬警備業務は、核燃料物質、核燃料物質により汚染された物や引火や空気中への飛散により、生命や身体や財産に危険が及ぶ物質、生物に対し、盗難や事故の防止が警備の目的となっています。核燃料については以下の通り法律で定義されてます。

一 「原子力」とは、原子核変換の過程において原子核から放出されるすべての種類のエネルギーをいう。
二 「核燃料物質」とは、ウラン、トリウム等原子核分裂の過程において高エネルギーを放出する物質であり、政令で定めるものをいう。
三 「核原料物質」とは、ウラン鉱、トリウム鉱その他核燃料物質の原料となる物質であり、政令で定めるものをいう。
四 「原子炉」とは、核燃料物質を燃料として使用する装置をいう。ただし、政令で定めるものを除く。
五 「放射線」とは、電磁波又は粒子線のうち、直接又は間接に空気を電離する能力をもつもので、政令で定めるものをいう。
原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)より引用
https://elaws.e-gov.go.jp/

警察庁生活安全局の統計によると、核燃料物質等危険物運搬警備業務は、全国で約1万社ある警備会社の中で14社のみの取り扱いとなっています。割合としては0.1%です。これは、対象が危険かつ重要性の高いものであるため、その運送ノウハウや信用の蓄積が大切になっているためと想定できます。

原則4つの業務に大別されます。第1号業務は、商業施設やテナントビルの中で巡回や監視を行い、施設内における火事の未然防止や万引きなどの犯罪の予防などを行います。第2号業務は、マラソン大会の会場や花火大会など大規模な会場での会場内の誘導、最寄り駅からの道のりでの整理や道路工事の際に、通行する車両や人の誘導を適切に行い交通事故の発生をふせぐ業務となります。

第3号業務は、この核燃料物質等危険物などの危険物の運搬や現金や宝飾品など貴重品の搬入、搬出、輸送作業を行います。第4号業務は、ボディーガードとして要人警護にあたり、事故、事件の発生を防いでいます。

第3号業務の特徴として、第1号、第2号、第4号が主に人を守る場合が多い点と比較して、第3号は財産や危険な物などモノを守る点でことなります。第1号、第2号が50%以上の会社が実施している点と比較してかなり低い数字となります。

第3号業務の中でも、特に核燃料物質等危険物の運搬警備は、より特殊です。まず、取り扱う物が核燃料です。万が一、運搬中に事故が発生すると国家的な大問題となる可能性があるため、遂行にあたっては、細心の注意と責任感を持って取り組む必要です。

核燃料物質等危険物運搬警備業務を行うためには?

核燃料物質等危険物運搬警備業務を行うために、警備業上は特に資格を設けてはいません。しかし、取り扱う危険物が核燃料など高い危険性を持った物となります。この業務を希望し警備会社へ応募する場合は、以下の資格が警備会社へアピールする材料になります。

その資格は、「核燃料物質等危険物運搬警備業務検定」検定です。法律では、第1号から第4号までそれぞれ国家資格として、「警備業務検定」が定められています。核燃料物質等危険物運搬警備業務検定以外に、施設警備業務検定、交通誘導警備業務検定・雑踏警備業務検定、貴重品運搬警備業務検定、空港保安警備業務検定があります。

それぞれの検定には、1級と2級があり、2級は受験にあたっての要件はありません。一方、1級は、2級取得後、1年以上の実務経験が求められています。1級は、現場リーダーとしての任務や、警備計画書の作成、現場経験にもとづく警備員指導教育責任者への助言などを行えます。1級は、現場のリーダー、管理職になるために欠かせない資格となります。

法律において、核燃料物質などをはこぶ場合には、車両に核燃料輸送警備業務検定2級保持者を1名以上、もしくは核燃料輸送警備業務検定1級保持者1名配置しなければならないと決められています。

核燃料物質等危険物運搬警備業務検定を取るためには、2つの方法があります。国家公安委員会の行う検定試験を受験するか、国家公安委員会が指定した指定事業者が開講している特別講習を受講し、講習最終日に行われる終了考査を受験するかいずれかです。
直接、検定試験を受ける場合も特別講習を受ける場合もいずれも学科試験と実技試験を受けなければなりません。

学科試験においては、基本的な法令に関して出題、核物質の知識とその仕組み、核物質の法律上の規制、運搬に関する法令などが出題されます。また、盗難が起こった場合の緊急時の対応や車両の見張りに関することなども出題されます。まずは、原子力や核燃料に関して学習しておくこと、特別講習を受ける場合はその内容をしっかりと受講することが大切です。

国家公安委員会にて認定された研修団体、一般社団法人警備員特別講習事業センターで行われる特別講習では、警備員を対象とした講習は、連続した2日間、現在警備員ではない方を対象にした講習では連続6日間の講習が行われます。学科と実技の講習を受講したあと合否を判定する修了考査(=修了試験)が実施されます。

実技試験は、運搬用の特別車両の点検方法、車両の見張りの方法、危険物の運搬中の連絡、放射量測定用の機械の点検方法や修理方法、操作方法、また警備自身の護身や避難誘導も試験として問われます。

学科試験は100点満点中90点以上で合格し、学科試験に合格した人だけが実技試験を受験できます。実技試験は、持ち点100点から減点される方法で行われます。90点以上残せれば合格となります。

一般社団法人警備員特別講習事業センターで、2021年度は、核燃料物質等核燃料輸送警備業務検定の特別講習は実施されていません。しかし、平成18年度から2021年度までの累計では、1級の合格率は、77.2%、2級の合格率は63.8%となっています。それほど低い合格率ではありませんが、幅広い知識と技術が問われます。そのため、直接検定、特別講習受講のいずれの場合もしっかりとした準備が必要です。

核燃料輸送警備業務検定の資格は、なくても危険物の運送の業務にあたれます。ただし、現場には必ず1級もしくは2級の資格保持者を配置しなければならないとさだめられています。現場での資格の需要は高いです。

核燃料輸送警備業務に求められる能力は?

核燃料輸送警備業務は、原子力発電所で利用する物質などさまざまな危険物質の輸送を行います。事故が許されない業務を行う責任感と、トラブルや事故が起きた際に冷静に判断し行動できる精神力の強さも求められます。

また、危険物は取り扱い方法を誤ると大きな事故に直結します。そのため、各燃料や原子炉に関する知識や法律、原子の構造やウラン核分裂などの専門知識、放射線測定器具の取り扱い方法、テロ対策のため化学兵器や細菌兵器などの知識も必要となってきます。常に、最新情報や知識をアップデートし安全に輸送を行う責任感も大切です。

まとめ

核燃料輸送警備業務は、その業務の重要性は、国家的に大切なものとなります。それだけ、高い責任感と臨機応変さ、技能を求められます。まずは第1号警備業務、第2号警備業務などの業務経験を積みつつ、この業務へステップアップを図る方法も考えられます。求人サイトで取り扱っている会社を調べてみることもおすすめです。

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