安全靴とは?警備員の仕事に必須の理由や機能について解説

どのような仕事にも制服や作業服があり、仕事にあった靴を履いています。警備員の殆どは安全靴を履いていますが、安全靴にはどんな機能があり、警備業には安全靴が必要なのか、必要だとすればどんな安全靴を選べばよいのかを、詳しく解説いたします。

目次

安全靴は普通の靴と何が違う

日本において安全靴と呼べるものは「日本工業規格・JIS」において 「主として着用者のつま先を先芯によって防護し、滑り止めを備える靴」と定義づけされていて、基準をクリアしたもののみが安全靴と呼びことができます。

簡単に言うと、危険な作業をしても足元を守って保護してくれる靴のことをいい、それらの靴の総称が安全靴です。

定義の中には、「つま先に先芯が入ったもの」と書かれていますが、現在では用途に合わせて先芯の入っていないスニーカータイプの安全靴も用意されており、さらに多様化が進んでいる状況です。

個人で購入する場合にも、用途によって材質や必要な機能が異なるため、店舗で選ぶ場合にも仕事内容を聞かれたりしますし、通信販売などで購入する際には種類や価格帯が豊富にあり、どれを選べばよいか迷ってしまうでしょう。

警備業においても、業務はいろんな施設の警備から警護役まであるため、施設の規定に則したもので業務に支障のない安全靴を選ぶことが肝要です。

第一警備と呼ばれる施設警備では、工場や石油などを貯蔵するコンビナートなどもあり、油を使う場所も多いため、耐油性のある安全靴を選ばないと、靴がすぐに傷んでしまうとか、滑って怪我をすることも考えられるので注意しなければいけません。

また、工場などでは重たいものが落下してくる可能性や、夜間の巡回時に施設内のコンクリートの角に足をぶつける危険があるため、先芯が入ったものがよいでしょう。

逆にショッピングセンターや遊戯施設などの施設警備では、怪我の心配よりも早く動くことを優先するため、先芯が入っていると重くて硬く動きに支障をきたすこともあり、スニーカータイプの安全靴を推奨する場合もあります。

ただし、ショッピングセンターでも店内であれば問題はありませんが、屋外の駐車場の警備では、車両にひかれる可能性や駐車場のブロックなどに足をぶつけることも考えられるため先芯入りを履く人も多くいらっしゃいます。

また、万引き犯を追いかけることを前提に考えて、動きやすい安全靴を選ぶ方もいるので、同じ場所であっても一概に同じ安全靴を履いているわけではないことも覚えておくとよいでしょう。

安全靴の機能

いくつかの安全靴の使用例をあげましたが、たくさんの機能を持つ安全靴を紹介するとともに、どういった機能が、どういう警備現場で有効であるかを解説いたします。

耐衝撃性と踏み抜き防止

安全靴と呼んでいることからも分かるように「耐衝撃性」の高い商品が殆どですが、性能の高さは千差万別です。先述の「先芯入り」のタイプから、クギや突起物を踏んでも足に刺さらないように加工された「踏み抜き防止」機能がついた靴もあります。

踏み抜き防止には、機能が備わったインソールを入れることで、一般の安全靴をより強度の高いものにする方法もあり、「踏み抜き防止のインソール」はホームセンターなどで簡単に購入できます。

また、安全靴の素材にはJIS規格では牛革などの強度が高い商品を使用しているのに対し、JIS規格に順ずる規格の「JSAA・公益社団法人日本保安用品協会」の商品も販売されています。

これらは、安価でありながらも強度がある人工皮革やビニルレザークロスのほか、メッシュ素材などを使用しており、厳密には安全靴とは違うともいえますが、一般的にはこれらも合わせて安全靴と呼ばれているのが現状です。

安全靴は、これらの頑丈な素材を使用することで足の甲の部分を保護し、足の裏側やつま先などは、先述の先芯や踏み抜き防止インソールなどで強化しています。

では、高価な革製品が強度が高く頑丈なのでいいかといえば、一概にそうともいえません。安価な人工皮革などは価格が手頃でありながら、軽いという特徴ももっているため、あまり強度が高くなくてもよい職場で安い安全靴を探している方にはおすすめです。

耐油性と帯電防止(静電)

油など特に石油製品を扱う場所で警備業務にあたる方には、革製品がおすすめになります。素材によっては石油などがかかってしまうと溶けるものもあるので、石油やガソリンなどを扱うコンビナートなどで警備をする人であれば、耐油機能がついていなければ危険です。

もう1つ、石油やガソリンを扱う場所では、靴の摩擦で油に引火する危険があるため、静電や帯電防止と呼ばれる機能が備わった安全靴の使用が求められます。これは自分の命だけでなく、同じ場所で働いている大勢の人たちを危険にさらすことにもなるため、指導に従って必ず用意するようにしてください。

また、警備業務には必要ないかもしれませんが、耐火機能を持つ溶接用の安全靴などもあり、火の危険がある場所では、自分の身を守るために用意されてもよいでしょう。

防水

一般の靴と同じように、防水機能や防寒機能を備えた安全靴もあり、濡れやすい場所や雨が降っても巡回をしなければならず、交通誘導なども続けなければいけないので、できれば防水機能が備わった安全靴を持っておけば急な雨にも対応できます。

雨用に長靴タイプの安全靴や、半長靴などとも呼ばれる中間的な長さの安全靴もあり、冬場は寒くなるため雪が降る場所では特に重宝します。

雪が積もる場所では、雪の下が見えなくなるため、隠れた硬いブロックなどに強く足をぶつけることも多く、先芯入りや踏み抜き防止機能が重要となる場合もあります。働く環境に合わせた機能を持つ安全靴選びが重要です。

耐滑

警備員は巡回など屋外などを歩くことも多いため、耐滑性能も必要になる場合があります。前述のように油を使う工場などでは、下が滑ることも多いので耐油性があって耐滑性能の高い商品を選ぶと安心です。

冬に雪が降る場所では路面が凍結している場合も多くあり、転倒事故につながるため、耐滑性能の高い安全靴を選びましょう。海や河川および湖などの周囲で警備を担当されている方も、滑って水の事故にあうこともあるので、滑りにくい安全靴を使用することで、災害から身を守るようにしてください。

安全靴が必要な業務

安全靴を必要とする警備業務の殆どが、第一警備と第二警備になります。いわゆる施設警備と交通誘導警備のことで、施設警備では施設に見合う安全靴を使用し、交通誘導警備でも現場の状況に合わせた安全靴を選ぶことが重要です。

ただし、施設警備が同じ場所で長く働く業務であるのに対し、交通誘導警備の現場は工事などが終了すれば現場が変わってしまいます。できるだけ多くの機能が備わっていることが理想ともいえますが、高額なお金を使って必用のない機能までついた安全靴を購入することも無駄遣いになるともいえるでしょう。

会社から支給されるのであれば問題はありませんが、自費で購入するのであれば先輩方から聞いて同じようなものを買うのが最も良い方法といえます。

なお、運搬警備と呼ばれる第三警備では高価な貴金属や現金などを運びながら、周囲の安全を確保する必要があるため、安全靴を履く場合もあるようですが、動きやすい特殊な靴を会社が用意することも多いようです。

それだけ重要なものを運搬する業務に携わることもあり、ヘルメットから靴まで全て警備運搬に最適なものが用意されます。とくに車を運転することもあるため、先芯入りのような硬くて感覚が分かりにくい安全靴は逆に危険になることもあるため、避けられる傾向にあります。

また、身辺警備と呼ばれるボディーガード役の第四警備では、一見すると警備員とは分からないように身を潜めることがあるため、安全靴などを使うことは少なく、服装に合わせた靴を使用しています。中には、防御や攻撃のために見た目では分かりませんが、高い性能が装備された靴が支給されることもあるようです。

安全靴を選ぶポイント

安全靴を選ぶ第一のポイントは、警備する場所です。何を扱う場所であるのか、何を警備するのか、警備するのは昼なのか夜なのか、その場所と警備方法で判断しましょう。

油を使う場所では耐油性のある安全靴を選び、水に濡れることが多いと思われる場所では耐水性が高いもの、施設や現場が凍るように冷たくなる冷蔵施設や、足場が悪い場所での警備などでも対滑性能の高い安全靴は有効です。

また、警備では夜間の作業も多いため、反射板などが搭載されている安全靴もあり、制服などと合わせて暗がりでの事故を防ぐようにします。

会社が安全靴を支給してくれるのであれば、まず問題はないといえます。ただし警備の巡回などは思ったよりも歩く時間が長いため、靴の摩耗も早くなりがちです。

大手の警備会社では毎年のように新しい制服や安全靴を支給してくれますが、中小規模の警備会社では追加の支給を嫌がることや、支給まで時間がかかることもあります。

靴は消耗品であり仕事には欠かせない道具ですので、早めに支給を依頼するか、自分で購入するのであれば、最初に支給されたものと同じ安全靴を購入するのがよいでしょう。

ただし、安全靴といっても高いものは1万円以上するものも多く、自費で購入する場合には前述のように必要な機能を吟味して予算に見合うものを選んでください。

最後はサイズ選びですが、安全靴は普通の靴とサイズ感が違うことを頭に入れておきましょう。特に先芯入りなどでは思った履き心地と全く違うことも多く、できれば購入前に試着するのが最もよいのでしょう。

しかし、サイズだけを聞いて支給されることも多く、ネットで購入する場合には非常に困ります。中敷きを入れて履くこともおおいので、少し大きめのサイズ選びがおすすめです。

安全靴は身を守る大事な道具

安全靴の種類や価格はピンキリで、高いからよいとか、高機能だからよいと簡単に判断すると無駄な買い物になってしまうほか、実は必要な機能がついていなかったということもあるので注意が必要です。

まずは、自分が警備する場所と警備内容、および勤務時間などを考えて機能を選ぶことが大事です。機能が決まったら予算に合わせて靴を選べば問題はありません。

材質などによって、同じ機能でも高額なものから安価なものまで、現在は品ぞろえも豊富です。耐久性や履き心地に違いがあるかもしれませんが、それも合わせて考えて最も適切だと考える安全靴を購入しましょう。

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