警備業務は危険?警備業務中に事故に巻き込まれる事はある?

警備員の業務は施設への不法侵入や交通誘導中の事故を防ぎ、安全な状態を維持することです。トラブルが発生したらすぐに対応し、必要に応じて警察や消防に連絡を取ります。

しかし、警備員の業務は危険と隣り合わせの一面もあるため、場合によっては事故に巻き込まれてしまうこともあります。

警備の業務をおこなっていると、どのような事故に巻き込まれやすいのでしょうか。事故を防ぐためにも、この記事で紹介する警備中の事故の事例を参考にしてみてください。

目次

警備員の業務は危険?

警備員の業務は、公共施設やオフィスビル、大型の商業施設など各種の施設の警備や、道路工事中の交通誘導などがあります。

警備中にはトラブルが発生する場合があり、事件や事故に巻き込まれたり、怪我をしたりすることも少なくありません。

警備員の業務が危険かどうかについては、東京労働局が公表している「令和3年 警備業における労働災害発生状況」を参照します。なお、このデータは新宿労働基準監督署内での労働災害状況です。

それによると、労働災害の発生状況を事故の型別に分けた場合、多い順に並べると下記の通りとなります。

転倒:45%
動作の反動・無理な動作(腰痛・捻挫等):17%
墜落・転落:15%
交通事故:4%
(その他:19%)

出典:東京労働局 令和3年 警備業における労働災害発生状況
https://jsite.mhlw.go.jp/

警備員の業務の事故は、半数近くが転倒事故で占められています。

転倒事故は、足元にあるものに気がつかない場合に起こります。その原因は不注意の場合もありますが、周囲に多くのものが置かれており、歩きにくい状態になっているときも転倒しやすくなります。

日頃から、怪我や事故が発生しない労働環境を保つことが大切です。

実際に発生した事故の事例について

警備の業務中の事故について理解するためには、実際に発生した事故の事例を参考にすることが効果的です。

警備中の事故の事例として、業務中の転倒事故、熱中症、交通事故の事例について説明します。

警備業務中の転倒事故

先述した通り、警備中の事故で最も多いのは「転倒」です。ここでは警備業務中の転倒事故の事例を紹介します。

・工事現場の出入口看板が工事車両進行の妨げとなっていたため、急いで移動させようとしたところ、カラーコーンを踏んでバランスを崩して転倒し、左脚を骨折した。(40歳代男性)

・交通誘導業務中、後方に下がりながら誘導を行っていたところ、道路の縁石につまずき転倒し、肋骨を骨折した。(70歳代男性)

引用:東京労働局 令和3年 警備業における労働災害発生状況
https://jsite.mhlw.go.jp/

上記の事例の場合、転倒した原因は下記の通りとなります。
・看板を急いで移動しようとして、コーン標識につまずく
・誘導中に後方に下がっていたら、道路の縁石につまずく

一つめの事例は急いでいたことが根本的な原因であり、二つめの事例は後方不注意によって起きた事故です。

転倒事故を防ぐためには、あわてて行動せず、周囲の状況を十分に確認しながら注意をおこたらないようにします。

工事現場での警備業務中に熱中症で死亡

真夏の炎天下における警備業務では、熱中症になることがあり、場合によっては死亡することもあります。

下記は、埼玉労働局が2022年7月「職場における熱中症による死亡事故が多発」という表題で出したプレスリリースの内容です。

埼玉県内の職場における熱中症(死亡又は休業4日以上の労働災害)が多発しています。令和4年の職場における熱中症による死亡災害は現時点で、すでに過去最多となる3件となっています。

(引用:埼玉労働局 プレスリリース 2022年7月29日付)

プレスリリースによると、熱中症で死亡した3人を業種別にみると、建設業が2人、警備業が1人です。

警備員は60代で、炎天下において建設工事現場の警備業務をおこなっていました。警備中に立っていられない状態となり、救急搬送されたものの死亡したとのことです。

夏に屋外で警備業務をおこなうと、猛烈な暑さに悩まされるだけでなく、熱中症になる可能性もあるため、適度に休憩を取り、十分な水分補給をすることが必要となります。

工事現場にトラックが突っ込み、警備員がはねられて死亡

交通誘導の警備中には多くの車が通行しているため、場合によっては交通事故に巻き込まれることもあります。

下記の事故事例は、2022年10月17日、岐阜県で交通誘導をおこなっていた警備員がトラックにはねられて死亡したものです。

17日夜、岐阜県岐南町の国道で、工事現場にトラックが突っ込んで作業員3人をはね、1人が死亡しました。事故があったのは岐南町徳田の国道21号で、17日午後10時半過ぎ、車両感知器の改修工事現場にトラックが突っ込みました。

この事故で警備をしていた(中略)頭などを打って間もなく死亡。作業員2人は軽いけがでした。

(引用:CBCニュース 2022年10月18日付)

交通誘導警備では、車にはねられて怪我をするだけでなく、トラックなどの大型車両にはねられると死亡してしまう可能性もあります。

業務中の事故は労災保険で対応できる

警備の業務中に事故に巻き込まれた場合は、労災保険で対応できます。

労災保険とは、業務中の事故や災害が原因で怪我や病気をした場合に、その補償をする保険のことです。

労災保険の給付金の一例としては「療養等給付」があり、この給付を受けると、病院での治療費は労災保険から支払われます。

労災保険は会社で雇用されている会社員を対象としているため、警備会社に勤務する警備員は労災保険による補償を受けられます。

なお、警備の契約には「委任契約」と「請負契約」があり、契約内容によって労災補償をする会社が異なります。くわしい内容は下記で説明します。

委任契約

委任契約とは、業務をおこなうこと自体を目的とした契約です。

委任契約は後述する「請負契約」とは異なり、委任契約では一定の成果を出す必要はありません。

言い換えるなら、指定された時間内に定められた業務をおこなうことで報酬が支払われる契約となります。

警備の業務が委任契約の場合は、警備会社が労災保険の補償をおこないます。

請負契約

請負契約とは、業務において一定の成果が求められる契約のことです。

請負契約の例をあげると、建設会社が顧客の注文に応じて戸建住宅を建設することがあげられます。

警備の業務は請負契約の場合もあります。その理由は、警備をすることで「現場の安全を保つ」という結果が求められる、との考え方によるものです。

警備の業務が請負契約の場合は、労災保険の補償をおこなうのは警備を依頼した会社となります。

たとえば、建設現場の交通誘導警備をするために、建設会社が警備会社に警備を依頼した場合、警備員が労災事故に見舞われたときは、建設会社の労災保険で補償します。

まとめ

警備とは、ひとことで説明するなら安全を守る業務です。しかし、場合によっては安全を守るために危険な状況に直面することもあります。

警備中に起きやすい事故としては、業務中の転倒事故や無理な動作による怪我があるほか、熱中症になったり、交通事故に巻き込まれたりすることもあり得ます。

万が一、業務中の事故で怪我や病気にかかった場合は、労災保険の補償を受けられます。

業務中の事故は完全に防ぎきれるものではありませんが、注意を払ったり、事前に事故の対策を講じたりすることで、事故が起きる可能性は低く抑えられます。

日頃から警備の業務中は十分に注意を払い、事故に巻き込まれることを防ぎましょう。

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