警備業とは?警備員との違いや警備業ができない人について解説!

警備業と警備員を同じものと捉えている方がいらっしゃるようですが、両者には大きな違いがあり、法律で警備業をするための要件や警備員になれない欠格要件などが定められています。警備業と警備員の違いや、警備業を出来ない人および警備員になれない人について詳しく説明いたします。

目次

警備業とは

警備業の職務は、ショッピングセンターなどの商業施設や住居やテナントが入る大型ビル、生産の拠点となる工場など多種多様の施設を警備する「第一号警備」、工事現場やショッピングセンターの駐車場、各種イベントなどで事故が起きないように交通整理や人の誘導をする「第二号警備」、多額の現金や高価な美術品、核などの特殊な危険物を運搬および警護する「第三警備」、財界などの要人や危害を加えられる恐れのある方から身辺の警護を引き受けるボディーガード役の「第四号警備」の4つに大別されています。

警備業者と警備員

警備業は警備を依頼する側と警備する警備会社とで警備契約を取り交わし、契約と法に基づいて警備業務が遂行されます。

依頼を受ける警備会社は警備業を営むものであり、警備業者のもとで実際に警備にあたるアルバイトや社員を総称して警備員と呼んでいます。

そして、警備業を営むものを警備業者と、警備業者のもとで警備の実務に就くものを警備員、それぞれの欠格要件(警備業者または警備員になれないことを決定する条件)が、警備業法第三条に明記されています。

条文に明記されてある事項の一つでも該当する場合には、警備業者または警備員として仕事をすることができません。法律に明記されている条文を簡潔に要約したものを以下に記します。

警備業の欠格要件

①破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者

②過去に禁固以上の刑または警備業法の規定に違反し罰金刑となり、処分から5年以上経過していない者

③直近5年間で警備業法に違反した者

④集団・または常習的に警備業の規則に掲げる罪にあたる行為をする恐れがある

⑤暴力団員と関わりがある

⑥アルコールや薬物の中毒者

⑦心身に障害を抱え、警備業務を正しく適切に行うのが難しい者

⑧営業許可が下りない未成年者

⑨各営業所に法で定められた指導責任者を置くことができない

⑩会社の役員の中に1~7に該当するものがいる

⑪暴力団と裏でつながっている

第十三条一項の改訂

2019年に警備業法・第三条の一項に大きな改正が行われました。その内容について説明いたします。

法改正が行われるまでは「成年被後見人及び被保佐人及び破産者で復権を得ていない者」と記載されていました。

しかし、ご覧のように「成年被後見人及び被保佐人」という文言が無くなっており、現在では成年後見人や被保佐人と呼ばれる方も警備業者および警備員になれると変更されています。

この法律は、認知症や精神障害などを持つ人の意志決定に関わることで、所有する利益や財産などを失わないように弱者を守るためにつくられた法律でした。

精神的な弱者と言う意味もあり、成年後見人や保佐人には「就労制限」を設け、警備業および警備員になることを認めていませんでしたが、こうした制限は、差別や人権侵害になるとされ、2019年には警備業者の欠格要件から除外されています。

各事項の解説

①の破産者については裁判所に破産の申し立てをして、裁判所が破産の決定をしたときから警備業の資格を失います。

破産が決定すると一時的に就けなくなる職業は、警備業の他にもあり、これらの業務は、多額の現金などを扱うこともある信頼関係をもとに引き受ける業種であるため、一定の期間だけ就業することを禁じているのです。

しかし、破産者として長く生活するにはいろんな制限や制約も長く続くことになるため、「復権」という制度を設けており、復権して破産者でなくなれば、以前と同様に警備業を行うことができます。

②の禁固以上の刑とは、禁固・懲役・死刑の順に重くなりますが、つまりは刑務所に入った人は刑務所から出て5年が経過するまで警備業に就くことはできないということで、仮釈放も刑務所から出たといえるため、決定から5年が経過すれば、警備業をすることや警備員として働くことが可能になります。

③については、本業である警備に関する違反行為ですので、厳しい処分となっています。違反の種類や軽重に関わらず、国家公安委員会が規則に則って「重大な違反であるか」を判断します。

重大な違反と認定されれば、警備業界から5年ものあいだ追放されることになり、違反の中には労働基準違反も含まれているため、経営者の方は十分に注意する必要があります。

④と⑤については一般常識的なことでことで説明するまでもありませんが一般の方々を犯罪や災害などから守るはずの警備業を営む者や警備員が、暴力団と関わるなど許されない行為であり、疑いを持たれることさえ問題であるといえます。

⑥についても一般の常識で理解できることですが、ストレス社会のせいかアルコール中毒の方は少しずつ増えているようです。当の本人は中毒になっていることに気付かないこともあるようですので、周囲にそのような方を見かけたら早めに忠告してあげましょう。

⑦の「心身の障害」については難しい問題です。近年では現代病ともいえる精神疾患をかかえている方も多く、その多くが原因不明とされています。基本的には医師の許可によって判断するしかなく、問題を抱えている方は状況が悪化することも考えられますので、医師や家族と相談してみましょう。

⑧については、2022年に民法が改正され、いままで20歳で成年とされていたものが、「成年になる年齢の引き下げ」が行われ、18才より成年と変更されました。これにより、18歳以上の方は自分の判断で契約を締結できるようになりました。

また、未成年者であっても「ただし書き」にあるように、法定相続人(普通は親にあたります)が許可をして、法定相続人が一号から七号までの欠格事由に該当しなければ、未成年者でも警備業を営むことができます。

⑨については、警備業を行う条件に「営業所ごとに業務についての指導責任者を置くこと」と明記されており、この条件をクリアできなければ警備業はできません。

中には資格を持つ人の名前だけ借りようと考える方もいるようですが、これを防止する対策もとられており、公安委員会が目を光らせています。相応の理由についても公安委員会の裁量で決まります。

⑩は、特に役職などを特定していませんが、会社への影響力が大きい取締役などを指します。会社によっては執行役員などという肩書きもあるため、「会社に大きな影響力を持つ重役など」と覚えておくとよいでしょう。

⑪は、④⑤とも重複しますが、会社に大きな影響力を持つものが、暴力団などの反社会勢力とつながりを持つことは許されないと言っています。裏の社会に通じていると疑われるだけでも業務ができなくなることがあります。

⑪までの項目は警備業を営む警備業者の欠格要件であり、①から⑦までは、警備員にも共通する欠格要件となっています。警備員の場合には、この七つに加えて「18歳未満のもの」という欠格要件が付け加えられます。つまり、18歳にならないと警備員になれないということになります。

警備業者と警備員は信頼に足る人物であること!

警備員は警備業を営む警備業者のもとで働いています。そして、施設や人の持ち物などを安全に運ぶことや、健全に維持することが大きな業務となっており、依頼者との信頼関係が重要なビジネスです。

警備員および警備業者は、信頼するに足る人物であることが必要条件であり、法律にも詳しく明記されています。警備員の業務を良く理解し、疑いを持たれることのないような行動や生活に努めましょう。

(画像は写真ACより)

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