警備業法とは?警備業法に違反した場合の処分について解説!

警備員の業務は、警備業法と呼ばれる法律で、その業務内容、違反事項などが厳格に定められています。今回は警備業法について徹底的に解説します。

目次

警備業法とは?

警備業法とは、昭和47年7月5日法律第117号として、警備業を事業として営む者またはそれをしようとする者に対して定められた日本の法律となっています。警備員が守るべき規則や業務分類、欠格事由、違反事由などを総合的にまとめた法律となります。

警備員は、常に警備業法に遵守した上で業務にあたる必要があります。警備業法は日本独自の法律となっており、また警備業界自体が開始が1960年代と比較的若い業界のため、警備業法も、都度法律の整備が行われています。2001年には明石花火大会における警備体制不備における死傷者発生を契機に、雑踏警備業務検定の創設も行われています。

警備業法の目的は、警備業法の規則にのっとった警備業務を行うことを目的としています。警備業を行う場所や時間や内容は、道路状から空港、人から核燃料まで多岐にわたるため、それぞれの業務における責任は、異なっている点が多くなります。

「警備業務」と定義されているものは、第1号警備業務から第4号警備業務までの4種類に分けられています。(参照 警備業法 第2条第1項各号 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=347AC0000000117

警備業務は、以下の4種類に大別されます。

第1号業務は、商業センターやオフィス建物などの施設や保安・見回りといった住宅・事務所における窃盗、災害発生を防止する業務となっています。現在、警備業務全体の約半分を占める業務です。この第1号警備業務には空港における保安警備も含まれています。手荷物検査場の金属探知機や受託手荷物のX線検査による機内持ち込みの監視も担当しています。近年では、家庭の防犯における防犯カメラや感知機器などの機器設置、火災、侵入者を確保するといった難しい案件も業務になっています。(参照 警察庁 警備業の概況 https://www.npa.go.jp/

2号警備業務は、道路や工事現場における車や人の通行を警戒する交通誘導、大規模会場における危険の回避・事故防止を目的とした場内誘導、動線維持等の業務です。工事の現場などにおける交通警備、ライブ会場・花火まつり・体育大会などの大きな催し物で、安全のために案内や規制を行う雑踏警備がこの業務に該当します。

第3号警備は、現金や金品といった犯罪の標的となりやすい物品を運ぶ貴重品運搬警備や、原発関連会社との綿密な打ち合わせで行われる核燃料物質等危険物運搬警備が含まれます。4号警備業務は、一般的にボディガードと呼ばれる身辺警護を指します。以前は、政治家や財界人、芸能人など有名人に限られていましたが、近年では無差別殺人、ストーカー被害、自暴自棄に伴う策人事権など社会の安全が不安定化していますので高齢者、児童、女性に対する個別契約も増加傾向にあります。

欠格事由該当の警備員

「警備業法」の第14条第1項「警備員の制限」において、「十八歳に満たない者または第三条第一号から第七号までのいずれかに該当する者は、警備員となってはならない」、また「警備業者は、前項に規定する者を警備業務に従事させてはならない」と明記されています。警備員になれない欠格事由は以下となります。(引用 警備業法第14条 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=347AC0000000117

一 破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者
二 禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して五年を経過しない者
三 最近五年間に、この法律の規定、この法律に基づく命令の規定若しくは処分に違反し、又は警備業務に関し他の法令の規定に違反する重大な不正行為で国家公安委員会規則に定めるものをした者
四 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則に定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
五 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第十二条若しくは第十二条の六の規定による命令又は同法第十二条の四第二項の規定による指示を受けた者で、当該命令又は指示を受けた日から起算して三年を経過しないもの
六 アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者
七 心身の障害により警備業務を適正に行うことができない者として国家公安委員会規則で定めるもの
八 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者。ただし、その者が警備業者の相続人であって、その法定代理人が前各号及び第十号のいずれにも該当しない場合を除くものとする。
九 営業所ごと及び当該営業所において取り扱う警備業務の区分(前条第一項各号の警備業務の区分をいう。以下同じ。)ごとに第二十二条第一項の警備員指導教育責任者を選任すると認められないことについて相当な理由がある者
十 法人でその役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。)のうちに第一号から第七号までのいずれかに該当する者があるもの
十一 第四号に該当する者が出資、融資、取り引きその他の関係を通じてその事業活動に支配的な影響力を有する者
(引用 警備業法 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=347AC0000000117

主なものをあげますと、18歳未満の未成年、禁錮以上の刑に処せられたもの、警備業法に違反して罰金以上の刑に処せられてから5年を経過しない人は警備員になることはできません。また、心身の障害者、アルコール中毒や薬物中毒の方も警備員になることができません。警備員本人だけでなく、警備会社自体、法人の役員にも同法律は適用されます。

警備業法に違反したらどうなるの?

次に、警備業法に違反すると想定されるよくあるケースをもとに見ていきたいと思います。警備会社における教育実施の虚偽記載違反

警備会社は、早期の退職も多く人の入れ替わりが激しい業界になっています。一方、警備業法においては業務着任前の新任教育20時間、警備開始後、年に1回10時間の現任教育が義務化されています。その新任教育・現任教育を実施していないにかかわらず、行ったとして登録することは警備業法違反となります。

この場合、警備業法違反が発覚すると10万円以下の罰金に処せられます。また、警備業法違反の罰金が科されると欠格事由に該当しますので、法人の認定証の返納と併せて5年間警備業を行うことができなくなります。また、指導教育責任者に対しても、指導教育責任者資格者証の返納命令が行われます。このように、新任教育、現任教育の実施記載漏れ、虚偽記載は警備会社にとって大きなペナルティになっています。絶対に違反しないことが大切です。

実際にあったよくある警備業法違反事例

これまでに発生した警備業法違反について説明します。

・違法派遣

違法派遣によくあたる場合が、自社の警備員では人員が不足するため、他の警備会社に応援を依頼した場合となります。応援依頼すること自体は適法ですが、適切な対応をとらないと、営業停止指示になる可能性があります。また、違法派遣の処罰は、応援を受けて派遣した警備会社と応援依頼した企業の両方の企業が罰則規定となるため特に注意が必要です。

・警備員への教育もれ

警備業法で、法定講習を行っていない場合も違反事例としてよくあげられます。新人採用時には、20時間の法定研修の実施が義務づけられていますが、実際には、新人の警備員へこの教育を実施せずに実務に就かせた場合には警備業法違反となります。教育内容の記載漏れ違反時の罰則は、違法派遣の場合とほぼ同じ処分となっていますが、営業停止期間については、一律5年間ではなく、違反者の割合によって異なっています。この罰則における営業停止期間は以下となります。

50%未満:1カ月
50%以上70%未満:14日間
70%以上90%未満:7日間
90%以上:指示処分

・教育実施簿の虚偽記載

警備業法の虚偽記載に該当する場合が、警備会社に対する立ち入り検査に対応するため、新人、現任教育が行われていない警備員を教育済みと虚偽報告や、教育実施簿に実施済みと記載する場合が発生しています。通常、警備会社の直接検査は1年に1回行われ、ルールに乗っ取った「警備員の名簿の作成」や「教育実施簿の詳細内容」など各項目を厳しくチェックされています。

また、不正の疑いがある警備会社は、年に2回以上の立ち入り検査が行われる場合も見られています。教育実施簿の虚偽記載が立ち入り検査によって判明すると、関係者は、30万円以下の罰金と資格の剥奪を受けるようになります。この認定取り消しは、実質同業務ができなくなるといった罰則になります。

まとめ

警備会社は全国で1万社ほどあり、また慢性的に人手不足の状況となっています。そのため、急ぎの採用や急ぎの支援依頼などが日常的に発生しています。しかし、手続きや教育の漏れは営業停止へと繋がる厳罰を受ける可能性があります。手続き漏れがないように常に気をつけなければなりません。

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